
デイリースポーツのロゴが、全米オープンで大坂なおみ選手が優勝したときにテニスラケットになっていてびっくりしました!いろいろ変化するのでしょうか?
デイリースポーツといえば、「阪神タイガース広報誌」などと呼ばれることもあるスポーツ新聞です。有名スポーツ選手の引退や新政権誕生など、ほかのスポーツ紙がこぞって1面記事で取り扱うような大ニュースがあったときも、デイリースポーツだけは阪神タイガースのニュース。その「ブレない阪神タイガース愛」は、たびたび話題になっています。

その愛の象徴ともいえるのが、紙面右肩にある「デイリー」というロゴ。この「デイリー」の「ー」の部分が、阪神タイガースが勝った翌日には、踊っているかのようなトラのしっぽに変身するんです。前日の試合を見逃した人も、このロゴを見れば試合結果がわかります。


今回寄せられた依頼内容では、そのロゴがテニスラケットだったとのこと。ということは、ほかにもいろいろあるのでしょうか。気になった探偵たちは、神戸のハーバーランドにあるデイリースポーツ本社を訪ねてみました。


お話を聞かせてくれたのは、かつては虎番記者として活躍し、今は編集局の次長として、全部署の統括をしていらっしゃる善積さんです。

お会いして早々に、疑問をぶつけてみました。「デイリースポーツのロゴにはしっぽとかテニスラケットなどがあるようですが、ほかにもあるんですか?」。善積さんは「いろいろありますよ」と机の奥をゴソゴソ。出てきたのは、ロゴの一覧表!基本形となる25種類をつくったのは整理部の担当者。思ったよりたくさんあって、探偵もマイマイ姉妹もびっくり!

デイリースポーツの読者には阪神タイガースファンが多いため、シーズン中の1面はほぼ必ず阪神タイガースの記事となります。でも、有馬記念がある年末などは1週間ずっと競馬を扱うこともあるし、世の中の関心が集まるできごとがあれば、編集局で話し合い、そちらを取り上げることもあるそうです。365日中、およそ300日以上が阪神タイガース関連、残りがそれ以外という割合だとか。
そういうときに活躍するのが、このさまざまなロゴ。たくさんある中で目についたのは、野球。「この金属バットは、高校野球のときに使われます」とのこと。カキーンという気持ちいい音が聞こえてきそうです。続いてスケート版のロゴでは、スケート靴の刃の部分で「ー」を表現しています。

同じスポーツでも、よく見ると違う場合も。2種類のサッカー版は、上が2018年ワールドカップロシア大会の公式試合で使われた試合球、下がFIFAの公式試合球の柄になっています。また、テニスは男子と女子でラケットに違いがあります。


さらには、スポーツ以外のものもありました。たとえば、芸能ニュースが1面を飾るときは、マイクバージョンに。阪神タイガースの選手が結婚したときは、愛とおめでたさが伝わるものに。将棋のロゴをつくった際は、苦心の末「ー」の上に王将の駒を乗せてみました。

こんなにいろいろあったなんて!ここで、善積さんに意地悪なことを聞いてみたくなりました。「これって、ブレていることにならないのでしょうか?」善積さんは「確かに、微妙にブレてるかも」と苦笑い。さらに「そういう意味でいうと、広島東洋カープを応援する広島版があるっていうのも、ブレているって言われちゃうのかな~」とポロリ。聞けば、デイリースポーツは関西版・東京版のほかに広島版もつくっているとのこと!しかも、阪神タイガース推しの関西版と東京版に対して、広島版はカープ推し。ロゴもそれに合わせて、コイになるのです!試合に勝つと、赤くなったコイがニッコリ笑顔に。

ここまでくると、ブレているどころの騒ぎじゃないのでは!?と突っ込む探偵たちに対して、善積さんは「でも、読者がよろこんでくれるおもしろい紙面をつくるという点はブレてないですよ」とキッパリ。広島版のロゴの上に「がんばろう広島」という文字が入っていますが、これもこの夏の土砂災害で被害に遭った広島の読者に対するメッセージなんです。

話は変わって、ロゴがはじめてトラのしっぽになったのは、阪神タイガースが野村克也監督を迎えたころの1999年。長年続いていた暗黒時代を終わりにしようと、チームもファンも必死でした。デイリースポーツも、何とか紙面で盛り上げたい!という思いから、勝った日の翌日はロゴをトラのしっぽのロゴにするというアイデアが生まれたのです。以来約20年、トラのしっぽにもさまざまなバリエーションが登場し、紙面を盛り上げ続けています。変わったところでは、くす玉や背番号、ユニフォームなどをトラのしっぽに乗せたスペシャルなロゴもあるとのことで、見せてもらいました。



「ブレない阪神タイガース愛」を掲げるデイリースポーツですが、その真の姿は、「ブレない読者愛」のデイリースポーツということがよくわかりました。ブレない読者愛があるから、創刊から70年も続いたのですね。
さて、今年は最下位だった阪神タイガースですが、来年はどうなるのでしょうか。善積さんは、「もうあとは上がるしかないから、紙面でも一所懸命応援します。勝ったら新しいしっぽのロゴを出したいですね!」と明るい笑顔で答えてくれました。探偵たちも、トラのしっぽが超豪華バージョンになる日を楽しみにしています!

