自分好みの味に調合したポン酢が手に入る場所があると聞いたのですが、どこでしょうか。ぜひ行ってみたいので、調べてください!
関西人は言わずと知れたポン酢好き。各家庭で数種類常備して使い分けたり、ブレンドしてオリジナルの味を楽しむ家もあるほどです。一説によると、関東の標準的なスーパーでのポン酢の取り扱いは10〜15種類程度ですが、関西では20~25種類にもなるとか。出汁で具材を煮て、素材そのものの味をあっさりと楽しむ水炊き文化が根づいた関西人にとって、ポン酢はソウルフードならぬソウル調味料といったところでしょうか。
そこで調べたところ、ポン酢を自分好みの味につくれる場所が京都にあるとわかりました。さっそくやってきたのが、「京・西陣孝太郎の酢」です。西陣の一角にある創業180余年になるお酢屋さんで、「Myぽん酢づくり」を体験できます。
1830年に創業した当時から変わらぬ製法で、京都の名水と国産米をじっくりと熟成させた、味の深みとまろやかさのある食用酢を製造しています。「添加物や化学調味料を一切使わずに、おいしくて体にいいものを出したくて、素材を深く吟味。時間を惜しまず、手間暇かけてつくり続けています」と語るのは、代表取締役社長の林さん。さっそく工場長の佐藤さんと一緒に、Myぽん酢づくりに挑戦です。
ポン酢のベースは、じっくりと熟成させたお酢とかつお節や昆布、しいたけから取った合わせ出汁に、かえし(しょうゆ・みりん・酒・砂糖など)を調合したものになります。「味の角を取り、なじませるために合わせ出汁については、一日寝かしてから調合しています」とそのこだわりを教えてくれました。
「Myぽん酢づくり」では、果汁の分量を自分好みに調整できるのが特徴。まずは、だいだい・すだち・ゆず、3種類の果汁を味見して、好きな果汁を選びます。コップに注がれた果汁を口に含んでテイスティング。だいだいはまろやかな酸味と甘みが、すだちは清々しい酸味があり、ゆずは濃厚な香りと強い酸味があります。
だいだいは白身の魚など淡白な味によく合います。すだちはサバやサンマ、肉など脂の強い食材をさっぱりさせてくれるし、ゆずは味の濃い料理に負けない強さがあるのだとか。「よく食べるおかずや、合わせたい料理に応じて決めるのがいいですよ」とは佐藤さんからのアドバイス。異なる果汁のブレンドは行っていないため、探偵たちは悩んだ結果、3つの果汁からだいだいとすだちの2つを選んで1本ずつつくることにしました。
選んだ果汁とポン酢のベースの比率を変えながら、好みの味を探っていきます。調合はお店の方がしてくれるので、参加者はテイスティングして好みの分量を伝えていきます。
まずは「だいだいを使ったMyぽん酢」から。一瓶(360ml)に対して、加える果汁を100mlにしてみました。市販のポン酢もメーカーやブランドごとに果汁の量が異なりますが、平均的なものと比べても、この状態でもうすでに果汁の量は相当多めです。せっかくだから市販のものではなかなか手に入らない、果汁がたっぷり入ったものにしようと、そこからさらに増量。だいだいを増量しながら、ポン酢のベースともバランスよく調整していきます。「ご自宅でお手持ちのオリーブオイルと合わせれば、ドレッシングとしても使えますよ」と佐藤さん。
もう1本のすだちも比率を変えながら調合。すだちは後から来る酸味が強く、油の強い食材などと好相性で、よりさわやかな風味になるようにこれも果汁多めで調合してもらいました。できたMyぽん酢は、その場で瓶詰めしてもらいます。
瓶詰め後は、名前やイラストなどを書いたオリジナルラベルをつくり、それを貼ったら完成!ラベルに赤ちゃんのお顔写真を入れて、出産内祝いにする方もいるとか。完成したポン酢はそのまま持ち帰れます。ちなみに、林さんいわく「ブレンドした当日の“つくりたて”と、一晩寝かせて味がなじんだ翌日以降では味わいが異なるので、それぞれ楽しんでください」とのことでした。
実は、Myぽん酢づくりで使った酢をはじめ、孝太郎の酢が販売する調味料の賞味期限は約3か月と短く、早めに使い切らないといけません。「でも、半年以上腐らないポン酢を使う方が、怖いと思いませんか?」と林さんは話します。「化学調味料や防腐剤を一切使わない、本物の出汁や果汁の味、熟成させたお酢による、本当のおいしさをもっと多くの人に広げていきたいですね」。
2014年から始まった「Myぽん酢づくり」は、東京・日本橋のデパートで開催された京都物産展に参加したことがきっかけとなりました。何か新しい試みができないかとやってみたところ、SNSなどでも拡散されるほどの好評をうけて、本店の京都でも行うことになったそうです。
なお、オリジナルレシピは保管してくれるので、電話で注文すると同じ味のものをつくって届けてくれます。結婚式の引出物やお中元、お歳暮といった贈り物用に注文される方や、自分でつくったMyぽん酢をかけたら野菜をパクパク食べるようになった野菜嫌いのお子さんのために、定期的に注文する方もいるとか。
世界にひとつだけのMyぽん酢づくりに、皆さんもチャレンジしてみてはいかがでしょうか?事前に予約を受けてから人数分を用意するため、予約は3日前までに必要となるのでお忘れなく。