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言葉が飛び出す!?
不思議な森を調査

2022/09/05
依頼内容

「言葉が飛び出す森」の話をお友だちから聞いてきた娘。毎日「私も行きたい!連れてって!」とせがまれているのですが、何のことだかわからず困っています。探偵さん、「言葉が飛び出す森」はどこにあるのでしょうか?それはどんなところなのでしょうか?調査してください。

言葉が飛び出す森?調べてみると、その森はどうやら大阪の中之島にあるようですが、中之島といえば川の近くにあるビルの街、というイメージ。森なんてあったかな……?とにかく行ってみようと、探偵たちはさっそく中之島へ向かいました。

まずは中之島公園にやってきた探偵たちですが、どこを見わたしても森らしきものは見あたりません。探索していると、堂島川に沿って建つ特徴的な建物を発見。近づいてよく見てみると、「こども本の森 中之島」の文字が。森!?もしかしてここ?さっそく中へ入ってみましょう!

京阪なにわ橋駅下車すぐのところにある「こども本の森 中之島」
京阪なにわ橋駅下車すぐのところにある「こども本の森 中之島」

足を一歩踏み入れると、緑のエプロンをつけた人たちが「こんにちは!私たちはこの森を管理している『もりびと』です。よろしければ中をご案内しましょうか?」と声をかけてくれました。
もりびとには、森の人という意味と、本や来館者を守る人という意味があるそうです。「さあ、こちらへどうぞ」と中へ案内してくれました。

笑顔で案内してくれたもりびとさんたち
笑顔で案内してくれたもりびとさんたち

もりびとさんと一緒に奥へ数メートル進んでいくと、3階まで吹き抜けの大階段の前に出ました。そこは見わたす限り、本、本、本!壁という壁が本で埋め尽くされています。わぁ……!と思わず大きな声が出てしまった探偵たち。静かにしなきゃ!と慌てて口を手で塞ぐと、もりびとさんは「お話ししても大丈夫ですよ。ここは図書館ではないので、声を出してもいいんですよ」と笑顔で教えてくれました。「よかった…ここは何の施設なんですか?」探偵たちの頭にハテナが浮かびます。

上から下まで、本がいっぱい!
上から下まで、本がいっぱい!

もりびとさんによると、「こども本の森 中之島」は子どもや親子のための本をそろえた文化施設。図書館と違って本を借りることはできませんが、館内のどこでも好きな場所で読むことができ、さらに中之島公園内であれば、外に本を持って行っていいのだとか!

「本がおもしろければ声を出して笑ってもいいし、本の内容についておしゃべりをしたっていいんですよ」ともりびとさん。たくさんの本に囲まれて、思い思いに過ごせる空間……なるほど、まさに本の森ですね!

大きな木の根っこのような大階段で、自由に本を読む子どもたち(写真:伊東俊介)
大きな木の根っこのような大階段で、自由に本を読む子どもたち(写真:伊東俊介)

館内は、どこを歩いても本とめぐりあえるような工夫が凝らされています。本に囲まれながら歩く曲線やジグザグ道、トンネルのような細い道や思わず入りたくなる小部屋もあって、一歩踏み出すごとにワクワクします。

まるで森の中を流れる川のような曲線を描いた本棚
まるで森の中を流れる川のような曲線を描いた本棚
トンネルのような通路を発見。この先にはなんと!答えは最後まで読んでね
トンネルのような通路を発見。この先にはなんと!答えは最後まで読んでね

さて、本の森を探索しましたが、まだ、「言葉が飛び出す」の謎が解けていません。いったいどこにあるんだろう?とキョロキョロしていると、「こちらにありますよ」ともりびとさんが案内してくれました。

ついた先で目に飛び込んできたのは、空中に浮かんでいる言葉!これはいったいなんですか!?「名作『スイミー』に出てくる『ぼくが、めになろう』というセリフです。まるで本から言葉が飛び出してきたように見えませんか?」ともりびとさん。浮かんでいる言葉を眺めていると、まるで探偵たちに「読んでみて」と語りかけているようです。

仲間と力を合わせて生きるスイミーのセリフ(出典:『スイミー』レオ・レオニ 好学社)
仲間と力を合わせて生きるスイミーのセリフ(出典:『スイミー』レオ・レオニ 好学社)
生きる意味を問う『100万回生きたねこ』のセリフ(出典:『100万回生きたねこ』 佐野洋子 講談社)
生きる意味を問う『100万回生きたねこ』のセリフ(出典:『100万回生きたねこ』 佐野洋子 講談社)

この飛び出す言葉は「言葉の彫刻」といい、子どもたちがいろんな本に興味を持てるように、印象的な言葉を抜き出して浮かべているそうです。言葉の彫刻のすぐ下に、該当の本と紹介文が置いてあるので、読みたい!と思ったらすぐに読むことができます。

「こども本の森 中之島では、絵本、児童書、小説といったジャンル分けではなく、『自然とあそぼう』『未来はどうなる?』『生きること/死ぬこと』など、子どもたちの日常生活や好奇心に合わせて選べる12のテーマに分けて本を配置しています。『言葉の彫刻』は、それぞれのテーマに合う言葉が各フロアにいくつかあるんですよ」ともりびとさん。
探偵たちの近くでも「これなあに?」と、言葉の彫刻に興味を示している子どもたちがいました。

「言葉が浮かぶのは、ここだけではありませんよ。よかったら見に行きませんか?」。もちろんです!とついていくと、トンネルのような道を通り抜け、薄暗い円筒形の部屋にたどりつきました。

「あ、もうはじまっていますね。壁に注目ですよ」といわれ、いったい何が!?と目を凝らしていると、壁に「さようなら」という文字がゆっくり浮かびあがってきました。わっ!と驚いているうちに、ほうきに乗った魔女が現れ、空へ空へと昇りながら紙芝居のように物語がくり広げられていきます。幻想的な演出とリズムのいい展開に、ついつい最後まで見入ってしまいました。

全部で4作品。映し出される物語の世界に、子どもたちも引き込まれていました(写真:伊東俊介)
全部で4作品。映し出される物語の世界に、子どもたちも引き込まれていました(写真:伊東俊介)

かわいらしく飛びまわる魔女にすっかり魅了された探偵たち。「続きはどうなるの?」「この本読んでみたい!」思わず漏れ出てしまった探偵の声に、もりびとさんはにっこり。「この動く紙芝居のような映像作品も、本の中の言葉が飛び出したような『言葉の彫刻』も、まさに『この本を読んでみたい』と子どもたちに思っていただくためのしかけなんです」。

もりびとさんによると「家では本を読まない子どもが、ここでは本の世界に没頭するんですよ」とうれしそうに話していたお母さんもいたそうです。森の中は、子どもたちが本に興味を持ち、手に取りたくなるように、たくさんの工夫であふれていました。

「こども本の森 中之島」は、大阪出身の建築家・安藤忠雄さんが「子どもたちが『自分だけの一冊』と出会える場になってほしい」という願いを込めて発案・設計し、寄贈された施設だそう。言葉が飛び出す森は、子どもと本が出会える場所だったんですね。

引き出しの中にも絵本が!宝探しみたいに新しい絵本と出会えるしかけも♪
引き出しの中にも絵本が!宝探しみたいに新しい絵本と出会えるしかけも♪

「インターネットでどんなことでもすぐに調べられる時代だからこそ、自分で本を選んで、手に取って、読むという生の体験を大切にしてあげたいんです。この場所で出会った本が、子どもたちの将来をより豊かなものにするきっかけになってくれたら、うれしいですね」ともりびとさん。

子どもと本との新しい出会いの場となる「本の森」。読書の秋、たくさんの言葉を探しにぜひ訪れてみては。

私たちもたくさんの本に出会ったよ♪
私たちもたくさんの本に出会ったよ♪

  • ※「こども本の森 中之島」への入館は事前予約が必要です

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