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自然とアートを楽しめる!
秋の「六甲ミーツ・アート芸術散歩」

2021/10/04
依頼内容

毎年秋に六甲山で開催されている芸術祭があると聞きました。どのような展覧会なのでしょうか?探偵さん、調査をお願いします。

六甲山で芸術祭がおこなわれているのをはじめて知った探偵たち。六甲山といえば牧場やスキー場などのイメージがありますが、芸術祭ではどのようなことをおこなっているのでしょうか?調べてみると、「六甲ミーツ・アート芸術散歩」という名称で毎年開催されているとわかりました。詳しい話を聞くため、さっそく六甲山へ向かいました。

六甲ケーブル下駅から2両編成のケーブルカーに乗り、木々の間から見える海にワクワクしながら山頂へと上ります。訪れたのは、六甲ミーツ・アート芸術散歩を運営する六甲山観光株式会社。

写真左:六甲ケーブル下駅から、六甲山上駅までの約1.7kmを約10分間で結びます、写真右:六甲山上駅の中にある六甲山観光株式会社に到着
写真左:六甲ケーブル下駅から、六甲山上駅までの約1.7kmを約10分間で結びます、写真右:六甲山上駅の中にある六甲山観光株式会社に到着

お話を聞かせてくれたのは、「六甲ミーツ・アート芸術散歩」を担当する高見澤さんと水野さん。高見澤さんは、総合ディレクターとしてアーティストの選定や交渉、芸術祭全体のデザイン・コンセプトづくりをおこなう責任者。水野さんは、集客のための広報を担当するチームに所属されています。

もともとは学芸員として勤務していた高見澤さん(写真左)。水野さん(写真右)は美術大学で版画を学んでいたそうです
もともとは学芸員として勤務していた高見澤さん(写真左)。水野さん(写真右)は美術大学で版画を学んでいたそうです

さっそく高見澤さんに、「六甲ミーツ・アート芸術散歩」はどんな芸術祭なのかお聞きしてみました。「『六甲ミーツ・アート芸術散歩』は、六甲山の豊かな自然を感じながら、散歩感覚でアートを楽しめる展覧会です。六甲ケーブルの六甲山上駅からはじまり、六甲ガーデンテラスや植物園、ミュージアムなどの施設をぐるりとまわって、各所に展示されている作品を楽しむことができます。スタートしたのは2010年なので、今年で12回目になります。これまで400組を超えるアーティストが出展してくれているんですよ」。

六甲山のいろんなエリアで作品が展示されています
六甲山のいろんなエリアで作品が展示されています

「六甲ミーツ・アート芸術散歩」は、1995年の阪神・淡路大震災以降、お客さんが少なくなっていた六甲山に、「なんとか賑わいを取り戻したい」と六甲山の施設同士が協力してはじまった一大プロジェクトでした。もともとは野外美術館をつくる計画もあったそうですが、美術館という「ハコ」ではなく六甲山×美術品の楽しい「コト」で多くの人が集まる企画を考えたのだとか。そこから生まれたのが、年に1度、六甲山の施設をめぐりながら芸術作品を楽しめる野外芸術祭「六甲ミーツ・アート芸術散歩」だったのです。

今年12回目を迎えた「六甲ミーツ・アート芸術散歩」のメインビジュアル。自然の中に展示されたアートが目を引きます
今年12回目を迎えた「六甲ミーツ・アート芸術散歩」のメインビジュアル。自然の中に展示されたアートが目を引きます

どんな作品が展示されるのかお聞きしてみると、こう教えてくれました。「多彩な表現で、心を刺激するような作品を展示していますよ。自由な発想でつくられた作品を、まずは楽しいと感じて『どうしてこれをつくったんだろう』『どういう意味だろう』と自由に想像してほしいですね。アート好きはもちろんのこと、アートにふれる機会がないお客さんにも楽しんでもらうため、親しみやすいビジュアルのものや気軽に楽しめる作品も展示しています」。

展望台の一角に置かれた作品。眺望や青空とアートのコラボレーションが楽しめます《種々多様》勝川夏樹
展望台の一角に置かれた作品。眺望や青空とアートのコラボレーションが楽しめます《種々多様》勝川夏樹

2021年の開催は、9月11日~11月23日。今年の見どころを高見澤さんに聞いてみました。「毎年、招待アーティストによる作品と、公募によって選出された作品を展示します。今年の見どころは招待アーティストの1人、アニメーション作品で世界的に知られる兵庫県ゆかりの作家・束芋(たばいも)さんの作品ですね。安藤忠雄さんが設計した『風の教会』の天井に映像が映し出されるというものなんですよ。さらに、国内外3つのアートグループC.A.P.(特定非営利活動法人 芸術と計画会議)・Videokaffe・Galerie Heroldから集まった総勢44名による合作が展示されます。コロナの影響もあり、オンラインでワークショップをおこないながら制作しているんですよ。このような取り組みは世界的にも珍しいので、非常に楽しみです」。水野さんも「ほかにもたくさんあるので、六甲山上のいろいろな展示会場をまわりながら、ぜひご覧いただきたいです。また今回は新たな取り組みとして、有馬温泉のサテライト会場や、JR三ノ宮駅前など六甲山以外でも展示しています」とにっこり。

公募枠の作品を選定風景。今年は約240組の公募の中から、15組の作品を選出しました(写真は2020年の様子)
公募枠の作品を選定風景。今年は約240組の公募の中から、15組の作品を選出しました(写真は2020年の様子)

ところで、六甲山上の野外会場で約2ヶ月半ものあいだ美術作品を展示するのは、なかなか大変なのでは?「毎年、開催中に台風が3つくらい来るんですよ。暴風雨の影響で、作品が壊れたり飛んでいってしまうこともあるんです。だからギリギリまで展示して、台風が近づいて来たら急いでシートやロープで養生したり、屋内に避難させたりします。そして台風が過ぎ去ったらまた急いで養生を取って、作品を展示し直して……。毎年バタバタしていますね(笑)」と、水野さんが苦労話を聞かせてくれました。

覗く角度によっていろいろな表情が楽しめる作品《小さな家》長井朋子
覗く角度によっていろいろな表情が楽しめる作品《小さな家》長井朋子

高見澤さんは最後に六甲ミーツ・アート芸術散歩への思いをこう話してくれました。「六甲山の開放的な自然の中でアート作品を楽しんでもらい、より多くの人に現代アートへの興味を持ってほしいと思っています。また、作品を通して普段とは違った六甲山の魅力も発見してほしいですね。六甲ミーツ・アート芸術散歩の『ミーツ』の部分には、さまざまなものとの『出会い』という意味を込めているんです」。

今年のキャッチコピーは「アートで心に風がふく」。来場してくれるお客さんの心を、アートの風でほぐしたいという気持ちを込めたそうです。皆さんもこの秋、六甲山の自然の中でアートを楽しんでみてはいかがでしょう。きっと、新しい何かに出会えるはずです。

六甲山で芸術の秋を感じてみませんか《山々を泳ぐ方舟》パルナソスの池(淺井裕介・高山夏希・松井えり菜・村山悟郎)
六甲山で芸術の秋を感じてみませんか《山々を泳ぐ方舟》パルナソスの池(淺井裕介・高山夏希・松井えり菜・村山悟郎)
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