大阪生まれのアメちゃん「パインアメ」
にはいろんな味があった!
2019/04/01

最近、パインアメがいろんなお菓子やグッズになっていたり、さらにはパイン以外の味になっていたりするようですが、本当ですか?
パインアメといえば、昔ながらの「大阪のアメちゃん」。甘酸っぱい味や、口の中で輪っかがどんどん細くなっていくあの感じがたまりませんよね。パインアメのグッズやお菓子はときどき見かけますが、パイン以外の味のパインアメ(?)があるとは知らなかった探偵たち。スーパーに駆け込むも見つけられなかったので、パインアメを販売するパイン株式会社に直接聞いてみることにしました。お話を聞かせてくださったのは、広報担当の井守さんです。

まずはパインアメ味のお菓子やグッズに、どんなものがあるのか見せてもらいました。見た目はパインアメと似ているのにピーッと鳴る「フエラムネ パインアメ味」や、ショウガ×パインアメのハーモニーが興味をそそる「岩下の新生姜 パインアメ味」、ポップコーン屋さん・ポップコーンパパで販売している「パインアメポップコーン」など。さらに斬新なのが、「パインアメリップクリーム」です。このリップクリームは、なめるとパインアメの味がするようです。なめずに我慢するのが大変かも!?

実にユニークなコラボ商品ばかりですねと言ったら、井守さんからは「私たちは、コラボ商品の味とパッケージデザインを監修しているだけなんですよ。商品内容は、各企業さんが自由に考えて出してくれたものばかりです」という意外なお返事が返ってきました。その方が楽しいと笑う井守さんのイチオシコラボ商品は、パインアメを大胆にあしらったライダースジャケットです。

次にパイン以外の味のパインアメ(?)の企画も手がける営業部長の子安さんにお話をお聞きしました。子安さんが見せてくださったのは、パインアメとそっくりなパッケージの「ピーチアメ」と「スモモアメ」。パインアメと同じくレトロな感じでカワイイ!

「私はパイン以外の味の商品企画を担当しています。数量限定でファミリーマートでのみ販売しているんですよ」と子安さん。ほかにも、「おいしすぎる!」と昨年SNSなどでも話題になった「ナシアメ」や、マスカット・サクランボ・キョホウ(巨峰)の3つの味がひと袋になった「フルーツアメ」など、これまでに68種類ものラインアップを世に出してきました。そんなにたくさんあったなんて、全然知らなかったー!

数量限定商品は年間約5種類、毎回約20万個ずつ出荷しているのですが、なんとすべて完売!基本的にはいずれも1回か2回きりの販売なのですが、「スモモアメ」だけは最も好評だったことから例外的に、春の定番商品として毎年販売されています。

数量限定商品をはじめたきっかけについてお聞きしたところ、「もともとはファミリーマートのバイヤーさんに、パインの味じゃないパインアメをつくったら絶対おもしろいからつくってほしいと押し切られ、上層部を説得する形でスタートしたんです」ということでした。当初、社内では「こんなの売れないのでは?」と半信半疑の人が大多数でしたが、バイヤーさんの思惑通り大ヒット。現在は、開発部のメンバーが2~3ヶ月ごとに10案以上出しては試食し、最終的に2~3案に絞ってから提案しています。「名前を聞いてすぐに想像できる味でありながら、新しい味というのを心がけていますが……。休日は果物屋さんで、いろんな種類の果物をずっと見つめてしまいますね」と、その苦労を語ってくれました。

ここで子安さんは、「数量限定商品には『シークレット』があるんですよ」と急に話題を変えてきました。シークレットっていったい何のことでしょう?詳しく聞いてみると、シークレットとは通常とは異なる種類のパッケージデザインや低い確率で混ぜるレア柄の小包装のことだそうです。たとえば「アセロラアメ」は、パッケージの裏面にあるアセロラモチーフが迷路になっていたりとか……。「シークレットづくりに関しては、自由にアイデアを出しています。私なんてシークレットを考えるのが楽しくて、この仕事をしているようなものですよ」とまで言い切る子安さんでした。

パインアメが登場したのは1951年。戦争直後はまだ高級食品だったパイナップルを、誰もが手軽に味わえるようにという思いから生まれました。当初はパインの型押しのみでしたが、こだわり出したらキリがない「パインアメの生みの親である」先代社長。「穴を開けないと完成品じゃない!」といって、機械が完成するまでは腱鞘炎になりながらも割りばしで穴を開けていたとか。そんな苦労をしてまでこだわった商品だから、売れなくなった時期があっても、パインアメの販売をやめることは一度もなかったそうです。販売をずっと続けていたから、今のコラボ商品や数量限定商品の開発につながっているのですね。

先代社長に限らず、現社長、社員さんも、みんなパインアメが大好き。会社ではパインアメが食べ放題で、中には毎日10個以上も食べるパインアメ好きさんもいるのだとか。大好きなパインアメの味やパッケージを70年近くずっと守りながら、自由なコラボ商品や新しい味、シークレットで楽しませてくれるパイン株式会社。これからもおいしくて楽しい「大阪のアメちゃん界」をリードし続けてほしいですね。

