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カラフルなそろばんがつくれる
スポットを発見!

2019/03/18
依頼内容

「そろばんビレッジ」という場所があるようですが、どんなところでしょうか?探偵さん、調査をお願いします。

子どものころ、そろばんを習っていた方もおられると思います。最近では電卓やパソコンの普及とともに、そろばんを使う人は減ってしまいました。しかし、その人気は再び脳が鍛えられる、集中力がつくなどの効果が期待されることから、高まりつつあります。たとえば、小学校の授業で復活したり、そろばん教室へ通う子どもが増えているなど。

人気が再燃しているそろばんについて調べていると、「そろばんビレッジ」は兵庫県小野市にあることが判明しました。さらに詳しく調べると、小野市はそろばん生産量で全国シェアのなんと約7割を占めているとか!そろばんビレッジについてもっと知りたくなった探偵たちは、小野市へと向かいました。

なんだかオシャレな感じがする「そろばんビレッジ」の看板
なんだかオシャレな感じがする「そろばんビレッジ」の看板

室内に入って、まず驚いたのは天井。びっしりと本物のそろばんが飾られています。壁には、実にカラフルなそろばんが並んでいます。枠も珠(たま)も赤・青・緑・黄・ピンクなど色とりどり。なんだかおもちゃみたいで楽しくなっちゃいます!

天井にびっしりとそろばんが飾られています
天井にびっしりとそろばんが飾られています
カラフルなそろばん
カラフルなそろばん

「ははは、そろばんと言えば、黒い木枠に茶色の珠という地味~なイメージですよね。でも、うちのそろばんは全然違いますよ」と案内してくれたのは宮永さん。「そろばんビレッジ」を運営するそろばん製造販売会社「ダイイチ」の5代目です。

「株式会社ダイイチ」の5代目宮永さん
「株式会社ダイイチ」の5代目宮永さん

「ここでは好きな色の枠や珠といったパーツを選んで、自分好みのそろばんをつくるワークショップを開催しています。せっかくなので、そろばんづくりを体験してみませんか?」と宮永さんが提案してくれました。そこで、そろばんづくりにチャレンジ!まずは、9桁・12桁・15桁の中から好きなタイプの枠を選びます。探偵たちはコンパクトで持ち運びやすい9桁タイプをつくることにしました。

枠5色、珠11色、枠を留めるネジは5色で、その組み合わせは何万通り!
枠5色、珠11色、枠を留めるネジは5色で、その組み合わせは何万通り!

次に、上下の境となる梁(はり)、軸となるひご竹を選びます。ひご竹を梁にトンカチでトントンと打ってはめ込んだら、11色の珠から好きな色を選んではめていきます。「自分のイニシャルを表現したり、一列ずつ同じ色にしたりと、みなさん自由に組み合わせていますね」と宮永さん。

写真上左:上下左右の枠に梁を入れた状態、写真上右:トンカチでひご竹を打ちつける、写真下左:珠を通しているところ、写真下右:もうすぐ完成!
写真上左:上下左右の枠に梁を入れた状態、写真上右:トンカチでひご竹を打ちつける、写真下左:珠を通しているところ、写真下右:もうすぐ完成!

探偵がつくったのは、全部の色を使って1列ずつ異なる色使いにしたそろばんです。上下左右の枠をはめ、珠を通したら、簡単にキュートなそろばんが完成!宮永さんにサポートしてもらいながら、1人約30~40分程度でできます。中には2時間ほどかけてどんな配色にするか考え込む人もいるとか。宮永さんは、「体験した方たちはそろばんのつくり方を知って驚いたり、好きな色を選べることがうれしそうでした」と語ります。世界にひとつだけのマイそろばんづくりをきっかけに、そろばんを習いはじめた子どもも多いそうです。

かわいいそろばんができたよ!
かわいいそろばんができたよ!

明治42年に創業した「ダイイチ」は、もともと黒い木枠に茶色の珠の一般的なそろばんをつくっていました。ひところに比べてそろばんを使う人が激減したことから、なんとかしなくてはと頭を悩ませていたところ、知人のデザイナーから「カラフルにしたらいいんちゃう?」とアドバイスを受け、カラーそろばんづくりをスタート。さらに「工作感覚で、そろばんづくりができるワークショップを開催したらおもしろいかも!」と、このスペースを7年ほど前にオープンさせました。今では口コミで人気が広がり、他府県からもお客さんが訪れるほか、さらには東京で「出張そろばんビレッジ」としてワークショップを年7回ほど開催しています。

子どもたちも夢中!
子どもたちも夢中!

そろばんの歴史は古く、古代メソポタミアで土や砂の上に線をひき、そこに小石を置き計算していたのがはじまりと言われています。道具として進化していくうちに、シルクロードから中国へ伝播して、そろばんの原形ができました。日本にそろばんが伝わったのは、室町時代の末期と言われています。

播州そろばんは、天正年間に豊臣秀吉が小野市の隣にある三木城を攻略した際、戦火を逃れた小野近辺の住民の一部がそろばんの生産が盛んだった大津方面に避難し、そこでそろばんの製法を習得し、地元に帰郷後製造を始めたことが起源のようです。その後、400年以上もの間、技が連綿と受け継がれていきました。

400年以上の歴史がある播州そろばん
400年以上の歴史がある播州そろばん

また、そろばんは播州そろばんだけでなく、島根県仁多郡仁多町および横田町の「雲州そろばん」も知られています。ところが現在、雲州そろばんの工程の一部を行える職人が、島根県にはいません。そのため播州そろばんのパーツを供給したり、雲州の職人が播州に玉削り工程を習いに来たりしています。「播州そろばんと雲州そろばんは、ちょっとした大きさの違いはあるものの、制作方法は同じ。ライバルではありますが、同じそろばんをつくる者同士で協力しあえたら、業界の維持や発展につながるはずです」と宮永さんは語ります。

そろばんの業界や歴史について語ってくれました
そろばんの業界や歴史について語ってくれました

播州そろばんの広がりは、それだけにとどまりません。海外でもそろばんが注目されています。計算力が身につくだけでなく、集中力・処理能力・判断力を養える最適な教育ツールとして評価されているそうです。「マレーシア・ベトナム・中国などのアジア圏を中心に、南アフリカ、レバノンからの視察が増えています」と宮永さん。算数・数学教育への不安があることを理由に、特に発展途上国からそろばんの視察が増えているとのこと。さらには、計算ツールとして注目されるだけでなく、そろばんの珠が手芸にも利用されているなど、活躍のフィールドが広がりつつあるそろばん。新しいそろばんのありかたに興味のある方はぜひそろばんビレッジへ!

かわいいそろばんをつくってみてね!
かわいいそろばんをつくってみてね!
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