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海のギャング
「ウツボ」を食べてみたらビックリ!

2018/01/22
依頼内容

ウツボって食べられると聞きましたが、本当ですか?また、おいしいんでしょうか?探偵さん、ちょっと食べてみてください!

尖った顔に大きい口、鋭い歯。見るからに獰猛なビジュアルから「海のギャング」との悪名高いウツボですが、実は和歌山県南部では古くから食べられているそうです。どうやって食べるのかと思い調べてみたところ、和歌山県田辺市にウツボ料理が有名なお店があると判明。探偵たちは、JR紀伊田辺駅から徒歩約3分のところにある「銀ちろ 本店」に向かいました。

外国人観光客にも人気の郷土料理のお店
外国人観光客にも人気の郷土料理のお店

出迎えてくれたのは店のオーナーの保田さん。店内には、水揚げされたのち運ばれてきたウツボがたくさんいます。体長は20cm~4mと種類によって大きく変わりますが、ここに運ばれてくるのは1m前後で体重3kg前後のものが多いのだそう。

銀ちろ2代目の保田さん
銀ちろ2代目の保田さん

「まずは実物をご覧ください」と、保田さんは探偵たちを水槽の前へ連れて行ってくれました。

ギョギョッ、こわい
ギョギョッ、こわい

おとなしくしているのでカメラを近づけると、大きな口をガバッ!鋭い歯が見えた探偵たちは、思わず後ずさり……。「中には人慣れしていて温厚なウツボもいますが、大体は大きな口を開けて威嚇してかみついたりします。毒はありませんが、かみ切る力が強く料理人はケガをすることもあるので調理時は要注意です」と保田さん。さすが海のギャングです。「網で出してみましょうか」と、料理人さんが暴れるウツボを魚網ですくい上げお皿へ。

お目めはつぶらでキュート
お目めはつぶらでキュート

ウツボは2cmくらいの小骨が100本以上並んでいるうえ、それらが身の中に埋まっていることから、別名「沖ハモ」と呼ばれているくらい、骨を取り除くのが至難の業!しかも表面にヌメリがあり、皮と身の間にゼラチン質があるため、スムーズにさばけるようになるには、経験と熟練の技術が必要です。

神経を抜き、ヌメリを取り、氷で締めてからさばいていく
神経を抜き、ヌメリを取り、氷で締めてからさばいていく

見た目が恐ろしくて狂暴、さばきにくいと3拍子そろった料理人泣かせのウツボですが、表面の黄色味が強いものほど深いところに生息しているのでおいしいとか。そのおいしさと優れた栄養価が評価されて、認知度も上昇中。良質なたんぱく質やカルシウム、鉄分が多く含まれているうえ、陸に打ち上げられても30分以上は生きているという強い生命力が、滋養強壮にも効果があるようです。鱗と身の部分にコラーゲンが分散している魚が多いのですが、鱗のないウツボは身と皮の間のゼラチン質に、天然のコラーゲンがたっぷりと集中して含まれています。研究によると、ウツボの皮100gから約20gもの豊富なコラーゲンが得られるのだそう(和歌山工業高等専門学校の土井教授の研究による)。

皮部分には豊富なゼラチン層がたっぷり!
皮部分には豊富なゼラチン層がたっぷり!

さらに保田さんは、「ウツボなどに含まれるフィッシュコラーゲンは、豚や鶏など動物由来のコラーゲンに比べて、より体に吸収されやすいという特徴があります。もともとこの地域では、産後にウツボを食すと母乳の出がよくなったり、体の回復が早くなるという言い伝えがあり重宝されていました」と話します。

ウツボの旬はおおむね11月~3月頃
ウツボの旬はおおむね11月~3月頃

それでは、マイマイ姉妹もウツボ料理に初挑戦!皮目をあぶったタタキの身はムチムチしていて皮はプニプニ、鍋に入れるとゼラチン層がほどよく溶けてプルプル、唐揚げにするとふわふわと柔らか。「見た目で敬遠されがちなウツボですが、クセのない白身なので、タタキや鍋、唐揚げ、照り焼き、塩焼きなどのさまざまな調理法によって味わいが変わるんです」とウツボ料理の醍醐味を語る保田さん。

お皿手前/照り焼き、塩焼き お皿奥/タタキ
お皿手前/照り焼き、塩焼き お皿奥/タタキ

「銀ちろ」がウツボ料理を始めたのは約30年前。全国的な地産地消ブームを経て、メニューに組み込むことにしたそうです。そのころから他の田辺市中心市街地の飲食店でも、ウツボ料理を取り扱う店が徐々に増えてきました。そして平成22年、田辺市が全国にその魅力を伝えるべく、ウツボ料理PRプロジェクトをはじめました。

ウツボPR事業を担当した田辺商工会議所の中山さん
ウツボPR事業を担当した田辺商工会議所の中山さん

「地元では、ウツボはもっぱら漁師料理や保存食として食べられてきました。網にかかったウツボの内臓を漁師たちは甘辛く煮てすき焼きのようにして食べたり、佃煮のように味つけした飴煮が親しまれてきたんですよ」と教えてくれたのは、田辺商工会議所の中山さん。背開きされたウツボが吊るされて潮風に揺れる風景は、南紀地方の冬の風物詩だとか。


インパクトのあるビジュアルから県外の人に興味を持ってもらいやすいと考え、ウツボ料理をPRすることに決定。「ウツボ料理の講演会を実施したり、ウツボ料理を楽しめる飲食店マップづくりなどに取り組んだところ、新聞の文化面で特集されたこともあります。まだまだウツボを食べたことがない人は多いとは思いますが、認知度は向上したのではないでしょうか」とのこと。

田辺商工会議所が作成した「うつぼづくしマップ」
田辺商工会議所が作成した「うつぼづくしマップ」

家庭で食べるには難易度の高いウツボですが、手軽に入手するなら、天日干しにしたウツボを佃煮風に加工した珍味「小明石煮」がおすすめ。和歌山の隠れ名物として注目度が上昇中で、東京有楽町にある県のアンテナショップや県内の産直市場、土産物店、ホテルなどで販売されているそうですよ。さらには「ウツボカレー」という変わりメニューも!ちょうどいい辛さとウツボのトロッとした食感がベストマッチです。

おつまみに最適なウツボの小明石煮
おつまみに最適なウツボの小明石煮

見た目は怖くても実はヘルシーなウツボ、気になりますよね。みなさんも和歌山にお越しの際は、ぜひコラーゲンたっぷりのウツボ料理にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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