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炎の探偵社

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長浜名物ご当地パン
「サラダパン」の中身は、○○だった!

2017/12/18
依頼内容

滋賀で大人気のご当地パンに「サラダパン」があるようですが、どんなパンなのでしょうか?

かつて北陸と近畿を結ぶ北国街道の宿場町だった滋賀県長浜市木之本町には、創業して60年以上になるパン屋「つるやパン」があります。ここの名物パンとして、1960年の販売当初から57年間も愛され続けている「サラダパン」が、知る人ぞ知るご当地パンとして有名みたいです。でも、なぜそんなに長く人気なのでしょうか?興味津々の探偵たちは早速調査を開始、つるやパンの本店を訪れました。

コッペパン型の看板がある店頭
コッペパン型の看板がある店頭
つるやパンのもう一つの名物・まるい形の食パンを型取った商品棚
つるやパンのもう一つの名物・まるい形の食パンを型取った商品棚

「サラダパンをつくったのは、僕のおばあちゃんなんですよ」と話すのは、専務取締役の西村さん。近隣に住む年輩の男性から、「アンパンやジャムパンのように甘いパンだけじゃなく、おかずパンとして食べられる商品もつくってほしい」とリクエストされたことがきっかけです。

サラダパンをつくった方のお孫さんでもある専務の西村さん
サラダパンをつくった方のお孫さんでもある専務の西村さん

1960年ごろ、西村さんのおばあちゃんは、雑誌にマヨネーズのレシピが載っているのを発見。まだ世間ではマヨネーズは珍しく、材料に使うサラダ油も目新しい時代でした。レシピ通りにつくってみると、とてもおいしかったためパンに挟んでみようと考えました。千切りキャベツと和えると、さらにおいしくヘルシーなパンになり、店で売り出したところ大ヒット!これがサラダパンのはじまりとなりました。注文が相次ぎ、1日300個ほどを製造販売するまでになり、納品にまわるのに忙しかったと振り返るおばあちゃん。どうやら、サラダパンの名前はサラダ油から名づけられていたようです。

サラダパンの生みの親!
サラダパンの生みの親!

黄と緑が基調の鮮やかなパッケージは、発売当時から変わっていないそう。ではさっそく、いただきまーす♪ ほのかな塩味とマイルドなマヨネーズが口の中で溶け合い、パンと抜群のハーモニーを奏でて、とてもおいしいのですが、なんだか食感がキャベツじゃないような気が……。

黄色はマヨネーズ、緑色はキャベツをイメージ
黄色はマヨネーズ、緑色はキャベツをイメージ

「以前は、確かにマヨネーズで和えたキャベツだったのですが、今はたくあんの千切りなんですよ」と西村さん。えっ、たくあん!?

こちらがサラダパンの中身
こちらがサラダパンの中身

なぜキャベツがたくあんに!?西村さんにお聞きしたところ、「キャベツの水分でパンがふやけてしまう問題が発生したため、販売開始から1年ほど経過したころに、いったん製造をストップしました」と答えてくれました。


大量に残ってしまったサラダパンのパッケージを無駄にしないために、日持ちして、しかもキャベツの千切りのような食感を楽しめる食材はないだろうかと探したところ、家で漬けていたたくあんが目に入り、マヨネーズと和えてみたら意外にもおいしい!キャベツのように水分でふやける心配もないことから、販売停止から1年後の1962年に販売を再開しました。中身は代わりましたが、パッケージの色と名前はそのまま使われています。

こちらも昔から変わらない色合いがカワイイ!つるやパンのトラック
こちらも昔から変わらない色合いがカワイイ!つるやパンのトラック

続いて西村さんは、本店近くのパン工場へ案内してくれました。ふんわり焼き上げたパンをカットしたあと、工場のスタッフが一つひとつ手作業で、たくあんマヨ和えをパンに挟んでいます。

本店からすぐのパン工場で製造されています
本店からすぐのパン工場で製造されています

中身がたくあんに変わってからは初代サラダパンに比べると勢いは落ち着いたものの、以降40年ほどは、コアなファンのために1日20~30個程度を製造販売し続けてきました。それが、現在はなんと100倍の1日2,500~3,000個を製造するまでに!理由は、15年ほど前からSNSでサラダパンファンのコミュニティが生まれたり、テレビ番組などのご当地グルメブームが後押しして、地元だけでなく県外からのお客さんが増えたから。確かに探偵が訪れた日も、金沢から同店目あてに訪れたカップルや大人買いする方がいらっしゃいました。

製造年で微妙にロゴが異なるケースにも歴史がたっぷり
製造年で微妙にロゴが異なるケースにも歴史がたっぷり

西村さんは大学卒業後、東京で就職しました。東京暮らしをしているときに、SNSでサラダパンの話題が盛り上がっているのを見ながら、いかに実家のつるやパンが魅力あふれるローカルパン屋だったか、実家から離れた東京にいたからこそ再認識できたそうです。そして2005年、ついにお店を継ぐ決意をして東京から戻ってきました。戻って来たばかりのころは、遠方のお客さまからの電話注文を受けていたおばあちゃんが、耳が遠くなったことが原因で住所を聞き間違える問題が発生。何かいい方法はないかと、見よう見まねで西村さんはつるやのホームページを制作し、地元のローカルパン屋としては珍しく、革新的なネット注文の仕組みをつくりました。おばあちゃんのためを思ってつくったシステムによって、県外からの注文がさらに増えたにもかかわらず、誤配送トラブルは減少したそうです。

サラダパンをパッケージに包む西村さん
サラダパンをパッケージに包む西村さん

2016年には、JR長浜駅近くに念願の2号店「まるい食パン専門店」がオープン。つるやパンのもう一つのロングセラー、まるい食パンでつくるサンドイッチを、対面販売するお店です。お客さまからの注文に応じて、その場で自家製バタークリームやソース焼そばなどの具材を挟んで販売しています。ここから次なるサラダパンが生まれてくるのでしょうか。なんだか楽しみですね。「これからは工場見学を開催したりするなど、つるやパン全体を楽しんでもらえるよう、地域に密着した仕組みも考えていきたい」と西村さんは話します。


約50年前に西村さんのおばあちゃんがつくったどこか懐かしく、愛情をたっぷりと感じるサラダパン。意外な中身には驚かされましたが、これからもずっと地域密着のご当地パンとして、また、地元以外の人からもグローバルに愛され続けていくことでしょう。長浜を訪れたら、つるやパンでサラダパンをどうぞ。一度食べるとトリコになっちゃうことうけあいです。

サラダパンTシャツもおみやげにどうぞ
サラダパンTシャツもおみやげにどうぞ
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