インコが大好きです。インコアイスというものがあると聞きましたが、どんなアイスなのか気になります!探偵さん、調査をお願いします。
鮮やかな色彩の羽に、ふわふわのボディ、つぶらな瞳……。マイマイ姉妹もインコが大好きです!だけど「インコアイス」の話は聞いたことがありません。今回の依頼を受けて調べたところ、神戸市灘区にインコアイスというものを販売している「とりカフェ」があるとわかりました。どうやらここで詳しい話が聞けそうです。さっそく現地に向かいます。
やってきたのは阪急王子公園駅から徒歩3分の場所にある「とりみカフェ ぽこの森」。扉を開けるとインパクト抜群の小鳥Tシャツと帽子を身に着けたオーナーの梅川さんが迎えてくれました。中に入るとガラス張りの向こう側に鳥たちがいて、手前にカフェやグッズが並ぶスペースがあります。「当店は、鳥が店内を飛びまわっている『鳥カフェ』ではなく、ガラスの向こう側にいる鳥を眺めながら、お客さまにお茶を楽しんでいただく『鳥見カフェ』なんですよ。ゆっくりしていってくださいね」と梅川さん。
こちらのお店で会えるのは、オカメインコ、セキセイインコ、ブンチョウ、カナリア、キンカチョウ、ウズラなど。「カフェには、約20羽の『鳥社員』が毎日出勤しています」。え?彼らを社員と呼んでいるんですか?「鳥たちはとても頭がよく、鳴き声でコミュニケーションを取り合う社会性のある生き物なんですよ。そんな鳥たちの自主性を尊重して、カフェを営む社員として一緒に働いているんです」と梅川さん。カフェでは鳥をモチーフにしたメニューが味わえ、梅川さんがデザインしたグッズが並びます。
ところで、梅川さんはどうして鳥見カフェをはじめようと思ったのでしょうか?「子どものころから鳥が大好きだったんですよ。動物園に連れて行ってもらっても、ゾウやキリンではなくて檻の前にいたハトに夢中になっていました」。大人になってからは別の仕事をしていましたが、鳥インフルエンザの流行により鳥の人気が低迷したことで、「鳥好きとして、なんとか盛り上げていかないといけない!」という使命感にかられて一念発起。2007年に鳥を見ながらお茶を楽しめるカフェをオープンしました。カフェ営業のかたわら、「鳥好きをもっと増やしたい、鳥が好きな人にもっと好きになってもらいたい!」という思いから、鳥をモチーフにしたグッズの制作をおこない、全国のイベントなどにも参加しています。
鳥をモチーフにした新メニューを考えているとき、ふとインコがおいしそうにえさを食べている様子に目がとまった梅川さん。「インコがおいしそうに食べているものを、私も食べたいと思ったんですよね」。そこで、インコが食べているきびやあわを使ってアイスを作ることにしました。「おいしさ」と「インコをイメージさせる色や原材料」を追求し試行を重ねた結果、現在のインコアイスが誕生!インコが食べているものをアイスに混ぜ込んだことで、「インコからふんわり漂うにおい」まで再現できました。パッケージのイラストにもこだわったインコアイスは、鳥好きの人たちに大ヒット。全国の百貨店の催事や鳥フェスに出品するたびに即完売するほど人気商品になったそうです。中には「昔飼っていたピーちゃんの香りがする!」と涙を流して喜んだ方もいたほどだったとか。
探偵たちは、早速インコアイスを食べてみることに。セキセイインコアイスにオカメインコアイス、すずめアイスなどバリエーションが豊富です。
インコのにおいって……とドキドキしながら、梅川さんおすすめの「セキセイインコ」アイスを食べてみることに。梅川さんから「スプーンいっぱいに取って食べてみると、よりインコのにおいを感じると思います」と教えていただき試してみると、鼻へ抜けるさわやかな香りの中に、穀物の香ばしさが感じられます。これが「インコのにおい」なんですね!アイス自体はすっきりとした甘さで、ザクザクとした食感のひえやあわ、麦の他に甘い蜜リンゴが混ぜ込まれていて、とってもおいしい。人気商品になるのも納得です!
インコアイスのヒットを受けて、「ほかの鳥のアイスも作ってみよう」と決心した梅川さん。それぞれの鳥の特色を出すために、色味や食感も工夫しました。「ぶんちょ仕立てのフィンチアイス」は、ブンチョウの胸の羽毛のやわらかさをマシュマロで表現。「すずめチュンアイス」は、稲刈りの終わった秋の田んぼで遊ぶスズメをイメージして、スズメの茶色を表現したほうじ茶をベースに雑穀や黒蜜を入れ仕上げた一品です。「すずめチュンアイス」はなんと、「日本アイスマニア協会 あいぱく®アワード」の特別賞を受賞したそう。現在アイスは6~9種類をラインアップしています。また、イベントに合わせて、新しいフレーバーのアイスも開発しているそうで、今後は、どんな鳥がアイスになって登場するのか楽しみです!
最後に、梅川さんはこう話してくれました。「鳥は人間にとって身近な動物でありながら、意識をしなければ目にとまることはありません。ですから、皆さんも身のまわりにいる鳥たちに目を向けて、鳥たちのことをもっと知って好きになってもらいたいです。そのために、お店やイベントだけでなく、SNSでも鳥の魅力をどんどん発信していきたいですね!」。
皆さんも、かわいい鳥たちを眺めながらまったりとお茶が楽しめる「鳥見カフェ」で、梅川さんのお話を聞きながらインコアイスを味わってみてはいかがでしょうか。今までとは違った視点で鳥たちを見ることができ、きっと鳥たちの「トリコ」になることでしょう。