![依頼内容](./img/icon_outline.png)
防災について子どもと一緒に勉強したいのですが、良い方法はありませんか?探偵さん教えてください。
私たちの住む日本は、地震・台風などの被害を受けることも多く、近年は猛暑やゲリラ豪雨などの異常気象も増えてきています。そんな自然災害の多い国で暮らす私たちにとって、「防災」は本当に大切なテーマです。特に、家庭での防災対策は家族全員で取り組む必要があるので、子どもも交えて家族で防災知識を学べる機会があるといいですよね。そこで、探偵たちが調べてみたところ…「イザ!美(み)かえる大キャラバン!2020」という防災の知識が学べる子供向けのイベントを発見!神戸市中央区の「JICA関西」と「人と防災未来センター」で行われると聞き、さっそく調査を始めた探偵たち。会場に到着すると、多くの親子連れで賑わっていました。
![会場内は多くの人々で賑わいます](/portalc/contents-2/pc/tantei/__icsFiles/afieldfile/2020/04/03/200406_img01.jpg)
会場では、兵庫県内を中心に防災活動に取り組むさまざまな団体によって、数多くの防災体験プログラムが実施されていました。例えば、身近なもので防災グッズを作る「新聞紙スリッパをつくろうプログラム」。このプログラムでは、地震の際に、倒れた家具やガラスの破片などが散乱した家の中を安全に歩くために役立つ「新聞紙スリッパ」の作り方を教えてもらえます。また、「風水害きせかえゲーム」のコーナーでは、衣服や防災グッズなどが描かれたマグネットを使ったゲームを通じて、避難時に身につけるべきアイテムのポイントを学ぶことができます。どのプログラムも、楽しみながら災害時に役立つ知識を学べるよう工夫されていてスゴイ!
![写真左:新聞紙でスリッパを作成中、写真右:完成したスリッパ](/portalc/contents-2/pc/tantei/__icsFiles/afieldfile/2020/04/03/200406_img02.jpg)
![避難時の服装や持ち物をゲーム感覚で学びます](/portalc/contents-2/pc/tantei/__icsFiles/afieldfile/2020/04/03/200406_img03.jpg)
探偵たちに「子どもたちが楽しく学んでいる様子は見れましたか?」と声をかけてくれたのは、イベントの主催団体の一つNPO法人プラス・アーツ代表の永田さん。プラス・アーツは「子どもから大人まで夢中になれる防災」をテーマに、さまざまなイベントの企画・運営を行っている団体です。
![プラス・アーツ含め、「イザ!美(み)かえる大キャラバン!2020」のスタッフのみなさん](/portalc/contents-2/pc/tantei/__icsFiles/afieldfile/2020/04/03/200406_img04.jpg)
永田さんが防災に興味を持ったきっかけは、社会人になったばかりの時に起こった阪神・淡路大震災でした。「当時、生まれ育った西宮の街も壊滅状態になりました。しかし、仕事の都合で復旧・復興活動には参加することができず……そのときのやりきれない思いは、震災から年月がたっても消えることはありませんでした」と振り返ります。その後、子ども向けアートイベントのプロデューサーとして働いていた2004年、永田さんに転機が訪れます。兵庫県と神戸市が阪神・淡路大震災10年記念事業として、子ども向け防災イベントの開催を決定。その企画を永田さんが任されることになったのです。ここで永田さんは「ついに自分にもチャンスがやってきた!本気でとことんやろう」と決意し、イベントの実現に向けて動き始めました。
![NPO法人プラス・アーツ代表の永田さん](/portalc/contents-2/pc/tantei/__icsFiles/afieldfile/2020/04/03/200406_img05.jpg)
永田さんは、まず震災当時の状況を知ることが大事だと考え、震災を経験した方へのインタビューに取り掛かりました。被災者の話を聞いていくうちに、永田さんは一般的に広がっている防災対策とのギャップを感じ始めます。永田さんは、当時を振り返ってこう語ります。「例えば、防災グッズの必需品とされる懐中電灯。被災者の方からは“懐中電灯を持っていると片手がふさがるんです。暗い部屋から避難する際に、もう一方の手だけで倒れた家具などをどかしながら外に出るのは大変でした…”というお話を伺いました。この場合、ただの懐中電灯ではなく、手を使わずに頭に付けるヘッドライト式のものがあればよかったわけですよね。このように、インタビューを通じて震災を経験した方のリアルな話を聞いていくにつれて、子供たちに対して、本当に役立つ実用的な防災知識を伝えたい!という想いが強くなっていきました」
![甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災](/portalc/contents-2/pc/tantei/__icsFiles/afieldfile/2020/04/03/200406_img06.jpg)
そして、1年後の2005年。永田さんたちは、インタビューで得られたたくさんの声をもとに企画内容をしっかりと練り込み、楽しみながら防災を学べる防災教育イベント「神戸カエルキャラバン2005」を開催しました。イベントは大盛況でしたが、その裏ではさまざまな苦労や努力があったそうです。永田さんは、立ち上げ当初のエピソードをこのように紹介してくれました。「当時は、『防災教育を遊びながら行うなんて不謹慎だ』というご意見をいただいたこともありました。そこで、私たちは、まずはイベントを一度見に来てくださいとお願いしたんです。会場で子供たちがゲームや体験プログラムを通じて笑顔で防災を学び、グングンと防災知識を吸収していく光景を見ると、その方たちの反応も180度変わり、私たちのイベントを応援してくれるようになりました。すごく嬉しかったですね」
その後、カエルキャラバンの評判は神戸以外の地域にも広がり、徐々に各地からの開催依頼が舞い込むようになりました。そこで、日本中の子供たちに役立つ防災知識を伝えたいと考えた永田さんたちは、イベント名を「イザ!カエルキャラバン!」と変更し、活動の場を全国に拡大。企業や自治体との共催イベントや、他団体の主催分(カエルキャラバンのプログラムを使って他団体が主催したイベント)も含めると、その開催数はのべ500回以上に及びます。
![始まった当時の「イザ!カエルキャラバン!」の様子](/portalc/contents-2/pc/tantei/__icsFiles/afieldfile/2020/04/03/200406_img07.jpg)
また、プラス・アーツの防災教育プログラムは、海を越えてインドネシア、フィリピン、ネパールなど海外21ヶ国にも活動の輪が広がっています。海外で行うプログラムは、現地の被災者にヒアリングを重ねたうえで、その国の文化に合わせて作り直されます。例えば、骨折した際の応急処置。日本では、新聞紙を丸めて固定しますが、ネパールには新聞がそれほど普及していないため女性が持っている日傘を添え木として使います。このようにプログラムを現地仕様にすることで、防災の知恵や技がその地域のものとして根付いていくんですね。
![写真左:海外の子どもたちにも、プラス・アーツの防災教育プログラムは大人気!写真右:ネパールでは、骨折した際の応急処置として日傘を使用します](/portalc/contents-2/pc/tantei/__icsFiles/afieldfile/2020/04/03/200406_img08.jpg)
神戸からその活動をスタートし、世界中の子どもたちのために、楽しく防災を学べるステキな教育プログラムを広めてきた永田さんたち。最後に、これからの目標を聞いてみました。「これまでずっと取り組んできた子ども向けの防災教育では、かなり成果を出すことができたと思います。でも、いざという時は大人の判断力もとても重要です。そのため、次のステップとしては、避難指示などが出ているにも関わらず『自分は大丈夫』、『周りはまだ逃げてないから』と考えてしまう大人たちの心理にアプローチできるようなプログラムを考えたいですね。また、国内外を問わずカエルキャラバンの担い手を増やすこと、防災教育の講師を育てることに注力し、防災支援のネットワークをどんどん広げていきたいと思います」。
阪神・淡路大震災の経験をもとに、神戸の地から始まり、どんどんと進化を続ける「イザ!カエルキャラバン!」。今後のイベント開催予定は、本記事掲載時点(2020年4月6日)では、新型コロナウイルス感染症の予防および拡大防止のため未定となっていますが、再開時にはみなさんもぜひお子さまと一緒に参加してみてくださいね。最新情報は、カエルキャラバン!のホームページにてご確認ください。
※今回取材した「イザ!美(み)かえる大キャラバン!2020」は、2020年2月2日に実施されたものです。
![「国内外の防災教育をもっと充実させたい」と語る永田さん](/portalc/contents-2/pc/tantei/__icsFiles/afieldfile/2020/04/03/200406_img09.jpg)
![調査完了](./img/finish_img.png)