堺市には「堺っ子体操」なるものがあり、多くの市民が知っていると聞きましたが、どんな体操でしょうか?
調べたところ、堺市内で行われている堺っ子体操は、市民の大多数が知っているそうです。どこかで堺市出身の人同士が出会うと、かなりの確率で「堺っ子体操、覚えている?」「今でもできる?」という話になり、さらには「私は『新』やった」「えー、僕は『旧』世代」と話が盛り上がるのだとか。体操と言えばラジオ体操しか知らない探偵たちですが、堺市役所へこの体操のことを調査しに出かけることにしました。
堺市役所に到着してエレベーターに乗り込むと、どこからともなくリズミカルな音楽が流れてきました。ついつい体を動かしたくなるリズムだなぁと思っていると、「これが『堺っ子体操』のメロディです」と声をかけてくれる人が。広報部シティプロモーション担当の松原さんです。
体操の動きは足ぶみ・腕ふり・腕まわし・上体そらしなど簡単なものが多く、年齢や体力、運動神経に関係なくできそうですね。この体操について、堺市教育委員会の橋本さんが詳しく説明してくれました。誕生のきっかけとなったのは、昭和56年に一般公募で選ばれた歌詞にメロディをつけた「堺っ子のうた」です。歌ができた翌年、市立小学校の体育教師たちが、これに「いつでも、どこでも、だれもが」できるような振付をつけた体操をつくり、「堺っ子体操」と名づけました。その後平成元年になってから、小学校高学年向けにリズムダンスの要素を取り入れて、振付を改編したものを新たに発表。これが、現在まで続く「新堺っ子体操」です。堺市出身者同士でも、同じ堺っ子体操でも世代によって振付が違うことから、「新」か「旧」かで、話が盛り上がるってことですね!
ところで、この堺っ子体操は、市内の小学校のうち何校ぐらいで行われているのでしょうか?「堺市内に94ある市立小学校のすべてで行われています!」と橋本さん。堺市では、6年生一同が各競技を競う歴史と伝統ある催し「堺市立小学校連合運動会」が毎年開催されています。この開会式後の準備体操として、堺っ子体操が取り入れられているのだとか。そのため、小学校では5年生に進級したら連合運動会に備えて堺っ子体操を練習しはじめるので、堺市内の小学校出身者のほとんどが歌えて体操もできるんです。まるでラジオ体操みたいですねと言うと、「逆に堺っ子体操で育った子が市外の高校へ進学したときに、ラジオ体操ができなくて困ったという子もいたくらいです」という言葉が橋本さんから返ってきました。堺市の子どもたちには、ラジオ体操より堺っ子体操の方が身近なんですね!
各学校では日ごろから体操に親しんでもらおうと、給食の時間に「堺っ子のうた」をBGMで流したり、体育の時間の準備体操として取り入れたり、プールの時間に水中で堺っ子体操をするなど、さまざまな取り組みを進めています。また、小学校だけでなく、地域のお祭りでも準備体操としても親しまれているのだとか。「堺っ子体操は、市民の心と身体に染みついています。堺市民にとって、ソウルフードならぬソウル体操ですね」とのこと。
新旧含めると40年近く親しまれてきた堺っ子体操ですが、最近では「バブリーダンス」で大ブレイクした登美丘高校ダンス部がアレンジしています。「全国区となった登美丘高校ダンス部の人気にあやかって、市のPRができないかと依頼しちゃいました」と松原さん。大仙公園や大浜公園相撲場、旧堺燈台などの堺市内の名所を舞台に、制服姿で踊るキレッキレ&キュートなダンスが素敵です。
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ここで松原さんから突然クイズが。「両腕で円を描くポーズは、何をイメージしているでしょうか?」。えっ、全然わかりません……。「大きな円と言えば、堺市が誇る前方後円墳でしょう!」なるほど、堺市内の人々にとっては常識なのかもしれませんね。
最近では、堺市外の人々にも堺っ子体操が広がりつつあるようです。毎年市内で開催される野外ロックフェス「SAKAI MEETING」のオープニングでは、アーティストとお客さまが一緒に堺っ子体操を行うとか。アーティストとの体操を楽しみにしているお客さまが、YouTubeなどを見て練習して全国から来場されるのだそうです。市民のみならず多くの人たちに愛されている堺っ子体操。これから堺っ子体操の知名度がどんどん上がり、そのうち全国区になる日も近いかもしれませんね!