三田市に子どもしか入れないお菓子屋さんがあるって聞きました。本当に子どもしか入れないのか、調べてきてください!
世の中にはお子様ランチのような子ども限定のメニューや、子どもだけが参加できるイベントってありますよね。でも、そばに大人がついていることが前提で成り立っているサービスばかりで、完全に大人抜きというものはそうありません。はたして本当に子どもだけしか入れないお店なのか、ウワサの「未来製作所」に行ってみることにしました。
子どもしか入れないお店「未来製作所」は、三田市の閑静な住宅街の中にあります。このお店をつくったのは、「小山ロール」で有名な洋菓子店「パティシエ エス コヤマ」を設立した小山さん。探偵たちを出迎えてくれた小山さんに、さっそく聞いてみました。
壁一面にマカロンかマーブルチョコのようなものが貼りついている、かまくらのようなところが、未来製作所への入口です。実はこのトンネルのような入口、世界的な左官職人さんの手によるものなのだとか。こんなところにこだわりが発揮されていますが、その入口のすぐ横には「大人進入禁止」のかけ札が。とはいえ、取材OKってことは探偵たちは入ってもいいんでしょう?ねえ、小山さん!と中に入ろうとした探偵たちでしたが、「ダメですよ!ここは12歳までしか入れません」と断られてしまいました。しょんぼり……。
とはいえ、これまでにも数々の難題をクリアしてきた探偵たち。こんなこともあろうかと、実はこの日のために、探偵はわが子に協力を要請していました。協力してくれる子ども探偵は8歳の女の子。手には財布を、首にはカメラを託して準備は万端。いよいよ初の子ども探偵による潜入調査開始です!
うまくいくかなあ……とドキドキしながら子ども探偵が戻ってくるのを待つ間、小山さんにどうして大人は入れないのか質問してみました。すると、「大人が子どもの言葉を聞くためのしかけだからです」との答えが返ってきました。言われてみれば、まわりの大人たちの様子を見てみると、「お店の中どんなんやった?」「お菓子いっぱいあった?」と子どもたちにあれこれと聞いています。それに対して子どもたちは買ってきたお菓子を見せたり、「ガチャガチャでこれもらったよ!」と興奮気味に答えていて、どの大人もみんな熱心に聞いています。
潜入から約10分、子ども探偵が帰還してきました。中には何があるの?と聞いてみると、「お店の人がお菓子をつくっていたよ!」との報告が。ほかにも、でき立ての焼き菓子やプリンなどが並び、クジやガチャガチャもあるんだそう。「これがクジだよ」「なんか壁にアニメみたいなものが映っていたよ」と子ども探偵は写真を見ながら、中の様子を教えてくれます。いやー、わが子ながら見事な探偵ぶりです。
写真を見ながら質問しているうちに、マイマイ姉妹は子どもだからお店に入れるのでは……ということに気づいた大人探偵。マイマイ姉妹もいいですか?と小山さんに聞いてみるとOKが!一度お店に入って、すっかり自信がついた子ども探偵も、マイマイ姉妹と一緒にはりきって再潜入してくれました。
しばらくすると、「いっぱい写真撮ったよー!」と子ども探偵が元気な様子で帰ってきました。中は製作所という名前の通り、どこか研究所や工場っぽい雰囲気がよくわかるものばかりで、実際にスタッフの方がお菓子をつくっている様子、マイマイ姉妹を入れて撮影した写真など、たくさん撮ってきてくれました。手には買い物袋を握りしめ、「中でこのお菓子を買ったよ。甘くておいしかった!」と焼き菓子を見せてくれました。実は潜入前、「一人で行くのは嫌だよ~」と不機嫌だった子ども探偵でしたが、スタッフの方にマイマイ姉妹を持ってほしいとお願いして撮影するまでに成長したようです。子ども探偵の成長っぷりを目の当たりにした大人探偵は、すっかり親ばか探偵に。
子どもと大人のやりとりを見守りながら、小山さんは「子どもは、たとえばギャグを言ってウケたらこれは面白いんだなと学んだり、大人に誉められることで、これはいいことなんだと気づいたり、毎日がいろんな実験の場です。それを通して成長しています」と教えてくれました。
小山さん自身も、子どものころはお母さんや近所の人と毎日よく話をしたそうです。学校であったことを話したり、なにか近所のものを壊してしまったときに、一緒に謝ってくれたりしたこともあったのだそう。「このお店では、自分が食べるお菓子を実際につくっているところを見てそれを人に伝えたり、スタッフと会話したりすることで、経験の幅を広げてほしいと思っています。お菓子づくりの技術は学校で学べますが、大事なのはそれを身につけてから自分独自のアイデアを生み出すこと。それには、体験の積み重ねがとても大事なんですよ」と思いを語ってくれました。
今回大役を果たした子ども探偵も、最初の不安そうな表情から次第に目がキラキラしていき、ついに撮影は私にまかせて!という表情に変わっていました。子どもたちは未来製作所での体験だけでなく、たくさんのことを体験して、自信をつけていくのでしょう。子どもたちがこれからどんな新しい未来をつくってくれるのか、楽しみですね。