依頼内容

伊丹市の盆踊りでは、「ビューティフル・サンデー」を踊ると聞きましたが、本当なのでしょうか?

夏祭りといえば、太鼓のリズムと歌に合わせて踊る、盆踊りをイメージする方も多いでしょう。盆踊りの代表曲は「炭坑節」「河内音頭」「東京音頭」といった民謡ばかりです。しかし、今回の依頼によると伊丹の盆踊りでは、1976年に大ヒットしたポップス「ビューティフル・サンデー」で踊っているようです。調査を進めていくと、今年の“伊丹ふれあい夏まつり”にて当時「ビューティフル・サンデー」を歌っていた田中星児さんが盆踊りに参加し、生歌を披露するという情報を入手しました。伊丹流盆踊りの実態を知るべく、夏祭り会場に潜入してきました!

伊丹は盆踊りがとても盛んな土地で、毎年50ヶ所以上で盆踊りが実施されています!
伊丹は盆踊りがとても盛んな土地で、毎年50ヶ所以上で盆踊りが実施されています!

「ビューティフル・サンデー」とは、1976年、英国の歌手が歌っていた曲を、NHK「おかあさんといっしょ」の初代うたのおにいさんだった田中星児さんが日本語でカバーして、80万枚を売り上げた大ヒット曲。77年には選抜高校野球の行進曲にも選ばれました。日本の盆踊りでは、昔ながらの四拍子と節回しの民謡である音頭が定番。それとは全然違うリズムとメロディで、しかも、イギリスのポップサウンドである「ビューティフル・サンデー」。伊丹市民は、盆踊りのときにこの曲で本当に踊っているのでしょうか。

ヨーヨーつり、かき氷、金魚すくいに焼きそばなどお祭りの定番が勢ぞろい
ヨーヨーつり、かき氷、金魚すくいに焼きそばなどお祭りの定番が勢ぞろい

さっそく、会場にいた40歳代の方にインタビューしてみました。すると「『ビューティフル・サンデー』、踊りますよ!軽快な曲調なので、めちゃくちゃ盛り上がるんです。伊丹ではずーっと前から踊っているので、自然と振付も身につきましたね。自分の親世代や子ども世代もお祭りに一緒に行くことが多いから、伊丹市民なら踊れない人はいないと思います」とのこと。やはり、噂は本当のようです。いったいどんな踊りなのか、期待感が高まります!

伊丹市民なら、3歳~100歳まで「ビューティフル・サンデー」で踊れます!
伊丹市民なら、3歳~100歳まで「ビューティフル・サンデー」で踊れます!

ちなみに、「ビューティフル・サンデー」だけでなく「むぎわら音頭」「ワッショイ伊丹」といった、伊丹オリジナルの盆踊りソングもあるのだとか。こちらの2曲は子どもとおじいちゃん・おばあちゃんには盛り上がるようですが、20~40歳代には「ビューティフル・サンデー」が一番盛り上がるそうです。

また、伊丹は自衛隊の駐屯地でも盆踊りが開催されますが、そこでも「ビューティフル・サンデー」で踊っています。自衛隊の方は転勤が多いため、転勤先でも「盛り上がるから」という理由で盆踊りの演目に追加したり、民謡協会が地方で盆踊りに出演する際に演目に組み込んだりして、「ビューティフル・サンデー」は全国展開しつつあるようです。

盆踊りが始まり、伊丹市民が続々と集結!「むぎわら音頭」を軽快に踊っています!
盆踊りが始まり、伊丹市民が続々と集結!「むぎわら音頭」を軽快に踊っています!

「ビューティフル・サンデー」が根づいていることはわかったけれど、どうしてこの曲なの?そこで、起源を探るべく、伊丹小学校地区自治協議会の会長・佐々木さんと伊丹民謡協会の会長・小野さんにお話をうかがいました。
お話によると、1970年代後半、若い女性にもっと盆踊りに参加してほしいと思い、若い女性が楽しく踊れる曲がないかと頭を悩ませていた小野さん。そのとき、たまたま阪神尼崎駅前の盆踊り会場に、「ビューティフル・サンデー」で踊っている姿を目撃。若い女性に大受けだった様子を見て、これだ!と思い、「ビューティフル・サンデー」を地元の盆踊りの演目に組み込んだのが始まりだとか。初心者にも受け入れやすくするために、振付を簡単にして誰にでも踊りやすいようにアレンジしたそうです。

「今年は田中星児さんが来ますから、記念すべきサンデーです!」と語る佐々木さん(当日は日曜日)
「今年は田中星児さんが来ますから、記念すべきサンデーです!」と語る佐々木さん(当日は日曜日)

最近では、アレンジを加えて激しく踊る人もいるけれど、もともとの振付は、初心者でも簡単に踊れるものです。ポイントは腰に手をあて、クイッ、クイッとお尻を振るところ。

実際に踊っていた奥様たちが振付を教えてくれました
実際に踊っていた奥様たちが振付を教えてくれました

このお祭りにスペシャルゲストとして駆けつけていた田中星児さんにも、お話をお聞きすることができました。この曲が40年近く前から踊られてきた事実を、最近になって知ったそうで、本当に踊っているかどうか確かめたかったそうです。今回、初めての伊丹訪問で、「実際に見てみると、老若男女問わず、とても楽しそうに踊っていらっしゃいますね。でも、振付はなかなか難しそうです」と感心しておられました。

田中さんは笑顔で「踊り継がれてきたことを本当に嬉しく、誇りに思っています」
田中さんは笑顔で「踊り継がれてきたことを本当に嬉しく、誇りに思っています」

田中さんがやぐらに登り、はっぴ姿で軽妙に「ビューティフル・サンデー」を歌うと、観客も大熱狂!終始大盛り上がりの様子で、盆踊りは幕を閉じました。

お約束のアンコールも。会場ではこの日4回も「ビューティフル・サンデー」が流れていました!
お約束のアンコールも。会場ではこの日4回も「ビューティフル・サンデー」が流れていました!

調査の結果、「ビューティフル・サンデー」は、伊丹市の盆踊りの演目として長年愛されてきたことがわかりました。初めて盆踊りの演目に組み込まれてから現在にいたるまで、ずっとそのポップで爽やかなメロディに乗って踊り続けてきた伊丹市民。親から子、そして孫世代までずーっと受け継がれていけば、伊丹流盆踊りが全国で盛り上がる日が来るのもそう遠くないかもしれません。

ご協力してくださった、伊丹小学校地区自治協議会の会長・佐々木さん、伊丹民謡協会の会長・小野さん、田中星児さん、伊丹市民の方々、どうもありがとうございました!

マイマイ姉妹にも「ビューティフル・サンデー」で踊ってほしい
マイマイ姉妹にも「ビューティフル・サンデー」で踊ってほしい
調査完了