琵琶湖がどんどん小さくなっていると聞きました。ホントに小さくなっているの?
滋賀県が誇る、日本最大の湖「琵琶湖」。近畿1,400万人もの人々を支える貴重な水源であり、「Mother Lake(母なる湖)」という別称も持っています。琵琶湖がどんどん小さくなっているなんて、本当なんでしょうか。でも、「火の無い所に煙は立たぬ」ともいいますし、こんな調査依頼を頂くということは、多分何か起きているのでしょう。
そこで探偵社一行は専門家の方にお話を伺うべく、滋賀県草津市にある滋賀県立琵琶湖博物館にやってきました。真相はいかに・・・?
お話を聞かせていただいたのは、琵琶湖博物館学芸員の里口さん。地層や火山灰などにかかわる地質学を専門分野とされていて、古琵琶湖(ずっと昔の琵琶湖)時代に堆積された地層の研究もされているそうです。
そこで、さっそく今回のテーマである「琵琶湖、小さくなっている説」の真偽をお伺いしました。
答えは・・・「本当です」!!
とはいえ、小さくなっていると言っても1年に数ミリ程度で、琵琶湖がすぐに無くなってしまう恐れは無いそうです。琵琶湖に流れ込んでいる100以上の河川が運んでくる土砂が湖の縁を埋めるのが原因で、どんな湖でも起こる現象だそうです。
しかし、その後、里口さんから謎の一言が・・・「でも、実は大きくなってるんですよ」
里口さん曰く「いまは徐々に小さくはなっているけれど、地球規模の時間で考えると琵琶湖は大きくなっています」。小さくなっているのに、大きくなっている?うーん、まるで禅問答!
その謎をとく鍵は「断層」と「地震」。琵琶湖の西側には断層があるのですが、それが数百年~数千年に一度の周期で地震を起こし、琵琶湖の湖底が下がって深くなり、湖岸線の位置がずれて湖の面積が広くなります。その結果、琵琶湖の貯水量(体積)が大きくなるんだそうです。
琵琶湖が誕生したのはおおよそ400万年前。湖の寿命は一般的には数千年~1万年くらいなので、琵琶湖はとても長生きな湖ということになります。そして、琵琶湖は、その場所も変え続けています。琵琶湖が生まれたのは現在の伊賀盆地あたりで、いまよりもだいぶ小さかったようです。里口さんのおっしゃるとおり、400万年という「地球規模の時間」で見るとだいぶ大きくなったことが分かります。
当時は、日本列島もまだユーラシア大陸と地続きの半島でした。そのため、古琵琶湖時代の地層からは、大陸由来の動物の化石が発掘されることもあり、琵琶湖博物館でも古代象アケボノゾウの化石が展示されています。地球規模の大きな時間の中で、琵琶湖そのものやその周辺環境が変化してきたことをうかがい知ることができますね。
さて、琵琶湖は今後どうなるのでしょう?その答えは誰も分かりませんが、なんと「琵琶湖はこのまま北へ北へと移動し、いずれは日本海とくっついて湖でなくなるかもしれない」という説もあるそうです。地球規模の時間で考えると、琵琶湖は常に姿を変えていて、私たちが慣れ親しんだ今の形や位置も永遠のものではないようですね。
今回の調査では、ミクロな数ミリの話からマクロな数百万年の話まで、壮大な琵琶湖の歴史を楽しく学ぶことができました。里口さんの後ろに写っているのは、琵琶湖博物館で2015年11月23日(月)まで開催されている企画展「琵琶湖誕生」の看板。琵琶湖の成り立ちなども展示されているので、ぜひ足を運んでみてくださいね。