
お米をトロトロになるまでじっくり煮込んだ「ジョーク」。消化もよく優しい味つけで、朝ごはんにぴったり!
- 今回の旅のパートナー
- 金城ジラポーンさん
- 15歳のころから日本に住むジラポーンさん。日本にあるタイ国政府観光庁で観光プロモーションに関する事業に携わっていた経歴の持ち主。「日本のおもてなし文化が気に入っている」と話すジラポーンさんと一緒に、タイの朝食をチューン ラップラターン(召し上がれ)♪

タイの皆さんは、朝にどんなものを食べるんですか?
「ジョーク」というおかゆを食べます。おかゆといっても、日本の白がゆとは味も見た目もだいぶ違うんですよ。どう違うのか、レシピを紹介しますね。
まず、お鍋にお米とたっぷりの水を入れて、ごはんを煮ます。米粒が溶けてきたら、鍋に鶏ガラスープとコンソメを入れて、じっくり煮込みます。それからさらに2時間以上かけてコトコト煮込んで、米粒が完全に溶けたら火をとめます。お椀によそったおかゆを揚げにんにくと大豆からできたタイのしょうゆで味つけして、さらに豚ミンチの肉団子と半熟卵、パクチー、ネギ、千切り生姜をトッピングすると、タイのおかゆ「ジョーク」のできあがりです。
できたてのジョークはやけどしそうなほど熱いので、フーフーと冷ましながらゆっくり食べます。まろやかなダシ汁にお米の甘さが溶け込んで、とっても優しい味がするんですよ。喉の通りがよく体も温まりますし、具だくさんなので朝から元気になれる、朝食にぴったりのメニューなんです。

さまざまな調理器具が並ぶ、昔ながらのタイの台所
朝から2時間以上もかけて調理するんですか?
そう、びっくりしますよね。そんなに早起きするのかって。もちろん手づくりしている人もいるでしょうけど、今は屋台でジョークを食べる人が大半ですね。タイには街のあちこちに朝早くから開いている屋台があるので、屋台でジョークを食べて一日がはじまります。タイの学校に通っていたころは、学校のすぐ横にもジョークの屋台が出ていたんですよ。学校に入る前に屋台に寄って、クラスメートたちとワイワイ言いながらジョークを食べていたのが懐かしい思い出です。
寝不足の朝にもアツアツのジョークを食べれば、不思議と頭がスッキリしましたね。風邪気味の朝には、揚げにんにくを多めに入れたジョークを食べていました。タイでは「にんにくを食べると風邪をひかない」と信じられていて、料理ににんにくをたっぷり入れるのが当たり前になっていますね。屋台にもにんにくを使った料理がいろいろありますよ。タイには街中に屋台がたくさんあるので、ぜひ立ち寄ってほしいですね。

ジョークをはじめ、タイでは、にんにくを使った料理が多いのだとか!
屋台の人気メニューが知りたいです!
「カオトム」と呼ばれるおかゆは人気がありますね。「またおかゆ?」と思われるかもしれませんが、タイの人々にとってカオトムとジョークはまったく別の料理なんですよ。
カオトムは日本でいう雑炊のような料理で、お米の形もしっかり残っています。日本の雑炊は、鶏雑炊や鮭雑炊、梅雑炊のようにさまざまな種類がありますよね。カオトムも同じで、魚の切り身やエビ、玉子などいろいろな具材があるんですよ。ジョークの具材は肉団子と半熟卵、揚げにんにくが定番ですが、カオトムは具材を自由に選べます。お米の形も違いますし、同じおかゆでも別の料理なんです。
さらに、カオトムは単品だけではなく、海鮮料理や肉料理などいろんなおかずと一緒に食べることが多いんです。タイのもやし炒め「パットトゥアゴーク」は特におすすめ。もやしとニラを炒めて揚げ豆腐を入れ、ナンプラーなどの調味料で味つけします。そこに玉子をからませる伝統的なタイ料理なんですが、ニラの香ばしさとナンプラーの甘酸っぱさがきいていて、やみつきになるおいしさです。
私たちタイ人は、仕事が遅くなって疲れたときやお酒を飲んだあとにカオトムが食べたくなるんですよ。日本でいう、飲み会のあとの締めのラーメンのような感覚です。一日の最初にジョークを食べて元気になり、一日の最後にカオトムを食べてほっとする。タイの人々にとっておかゆは、「今日もがんばるぞ」「明日もがんばろう」と思わせてくれる、優しく温かい食べ物なんですよ。

エビがトッピングされているカオトム。お米の粒が残っているのが特徴です