- 今回の旅のパートナー
- マサヤン タハナン コミュニティー
(フィリピン人コミュニティー)
代表 野田メアリージィーンさん - 2000年代初頭に観光で日本を訪れてから日本が大好きに。その後、日本人男性との結婚を機に日本に移住し、現在はフィリピン人コミュニティーの代表として、日本で暮らすフィリピン人を支援しています。今回はそんなジィーンさんと一緒に、フィリピンの朝食をカイン ナ タヨ(さあ食べましょう)♪
フィリピンの皆さんは、朝にどんなものを食べるんですか?
「タプシログ」というワンプレート料理が朝食の定番です。甘辛いタレに漬け込んで焼いた牛肉と目玉焼き、ガーリックライスがワンプレートに盛りつけられているんですよ。タレは、しょうゆや砂糖、レモン汁、みじん切りしたニンニクをたっぷり入れてつくるのが一般的。ライスにもニンニクが入っているので、朝から元気になれる、フィリピンのソウルフードです。私の母がつくる焼肉は、唐辛子入りで、ピリ辛の味つけなんです。私も母の影響で辛い焼肉が好きなのですが、子どものためにつくるときは甘めの味つけにしています。日本人にとっては味が少し濃いかなと思いましたが、日本人のママ友に食べてもらったときにはとても好評でした。
朝からしっかり食べるんですね!タプシログは昔から食べられていたんですか?
今でこそ毎日のようにお肉を食べていますが、実はフィリピンではもともとあまりお肉を口にせず、魚や芋を中心とした食生活でした。その後、諸外国の文化が入り、食文化も多様化していったんですよ。特に大きく変わったのは、1980年代にアメリカのファーストフードが入ってきてからです。当時のフィリピンは、国民のライフスタイルも大きく変わりつつあり、企業に勤める人が増えていくなかで、外出先でも手軽に食べられるハンバーガーを中心としたファーストフードが一大ブームになったんですよ。
その際に、ハンバーガーよりも腹持ちがよく、スタミナがつくファーストフードとして生まれたのが「タプシログ」です。フィリピン人になじみ深い味つけが人気となった理由だと思います。はじめはマニラの小さな食堂で提供されていたものが全国に広がり、さまざまなお店でバリエーションが生まれていきました。焼肉をメインにしたタプシログだけじゃなくて、いろいろな「シログ」があるんですよ。
いろいろな「シログ」?ほかにはどんなメニューがあるんですか?
「シログ」とは、ごはんとおかずがセットになったワンプレートのことで、メイン料理によって名前が変わるんです。たとえば、牛肉のかわりに甘辛いソーセージをメインにした「ロングシログ」や、マリネした魚のフライの「バンシログ」。どちらもタプシログと同じくらい人気なんですよ。フィリピンを旅したら、いろいろなシログを探してみてくださいね!フィリピーノ・ホスピタリティ(フィリピン人のおもてなし)であなたを歓迎してくれるはずです。そうそう、家庭でのおもてなし料理といえば、「シニガン」という酸っぱいスープ。こちらもタプシログと並ぶフィリピンのソウルフードで、各家庭の冷蔵庫にはいつもシニガンの定番の材料であるエビや青菜などがストックされています。フィリピンで食事をする機会があれば、ぜひフィリピンのソウルフードを味わってみてください。