- 今回の旅のパートナー
- 「AKARENGA STEAK HOUSE
(アカレンガステーキハウス)」
シェフ パオロ・セルジオ・ルピさん - アルゼンチンのサンルイス生まれ、ブエノスアイレス育ちのパオロさん。約20年前に日本人女性と結婚したことをきっかけに来日。6年前から同店のシェフとして、本格的なステーキのコース料理をふるまっています。今回はそんなパオロさんと一緒に、アルゼンチンの朝食をブエンプロ・ベッチョ(召し上がれ)♪
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アルゼンチンの皆さんは、朝にどんなものを食べるんですか?
「三日月」を食べるんですよ。やわらかくて香ばしい三日月……、そう、クロワッサンに似た三日月形のパン。アルゼンチンでは「メディア ルナ」と呼ばれています。メディア ルナとはスペイン語で「三日月」のこと。焼き立てのメディア ルナとミルクをたっぷり入れたカフェオレの組み合わせが定番ですね。バターの風味がきいたメディア ルナはほんのり甘く、日本のパリパリとしたクロワッサンとは違ってしっとりやわらかいのが特徴です。クロワッサンは、いくつもの生地を重ねて層にして焼き上げますが、メディア ルナはパン生地をそのままこねて三日月形にして焼いているんですよ。
メディア ルナにはいくつか種類があって、ふっくらとしてほんのり甘いものは「メディア ルナ マンテカ」、細長く塩味のものは「メディア ルナ デ グラッサ」といいます。私はどちらも大好物なんです!
アルゼンチンには早朝からオープンしているパン屋さんが街のあちこちにあって、毎朝その日の朝食のパンを買いに行きます。メディア ルナやデニッシュなど、甘いパンはそのまま食べますが、フランスパンなどには牛乳と砂糖を煮詰めたミルクジャムをつけるのがポピュラーです。このミルクジャム「ドゥルセ・デ・レチェ」もアルゼンチンの朝食に欠かせないですね。キャラメルに似た味でものすご~く甘く、私も大好きです。
パンがよく食べられているんですね。アルゼンチンの食文化はどのような特徴がありますか?
現在のアルゼンチンではヨーロッパ各国の食文化がミックスされています。なかでも大きな影響を受けているのはスペインとイタリアですね。地中海料理をベースにしたものも多いですし、パスタ料理店やピッツェリア(ピザ専門店)も多くあります。
ヨーロッパの影響を受けた料理が多いなかで、アルゼンチンのオリジナル料理といえば「アサード」ですね。ガウチョと呼ばれる牧畜をしていた人々がはじめたバーベキュー料理で、アルゼンチンではみんなアサードが大好きなんです。多くの家の庭にバーベキュー用のかまどがあって、週に一度は家族みんなでバーベキューパーティーをします。鶏肉を丸ごと豪快に焼いたり、豚肉や子羊の肉をジューシーに焼いたりするんです。はじめて食べる方には、脂身が少し入った牛カルビがおすすめですよ!塩で味つけし、大きなかまどで調理します。焼き上がった食材に、「チミチュリ」という、パセリとニンニクをベースにしたソースをつけて食べるのもおすすめです。あともうひとつ忘れてはならないのが「マテ茶」ですね。すっきりとした味なので、食後にぴったりですよ。
マテ茶は聞いたことがあります!アルゼンチンでは、食事のときにマテ茶を飲むんですか?
食事中はもちろん、家族の団らんやゲストが来たときなど、人が集まる場にはいつもマテ茶があります。つぼのような形のカップにたっぷりの茶葉を入れ、何度もお湯を注ぎ足しながら専用のストローで飲むんです。そのまま飲んでもおいしいですが、私はスペアミントの葉やオレンジの皮を入れて、香りをつけるのも好き。子どもたちはミルクや砂糖で甘くしたものを飲むことが多いですね。鉄分やビタミンが豊富で「飲むサラダ」とも呼ばれるマテ茶は滋養強壮効果があるといわれているので、スポーツをしている方にもおすすめですよ。皆さんも機会があれば、ぜひ飲んでみてくださいね。