- 今回の旅のパートナー
- 台湾政府認定学校「フェフェスクール」代表の岡部フェリサさん
- 台中市出身のフェリサさん。関西の大学院で日本語を学んだ後、日本人男性と結婚し、現在は日本で語学講師としての活動や台湾文化の発信を行っています。日本大好き、なのですが「夏の暑さは尋常じゃない…」と苦笑い。そんなフェリサさんとともに「台湾の朝食」をチンマンヨウ(召し上がれ)♪
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台湾の食べ物といえば、小籠包やタピオカミルクティーなどが頭に浮かびますが、朝ごはんにはどんなものを食べるんですか?
台湾では、日本と違って朝から市場で外食するのが一般的です。市場で販売されている朝食はとてもリーズナブルで、30〜60元(約100〜200円)ほど出せば、お腹いっぱい食べられます。市場での朝食でよく食べられているのは、「ヨウティヤオ(油條)」という小麦粉を使った揚げパンです。甘くないドーナツのような味で、塩味の効いた豆乳や、米と落花生で作るスープにつけて食べる人が多いですね。その他にもヨウティヤオは、おにぎりの具材にしたり、炒め物のトッピングにしたりと、何かと活躍してくれる存在です。
台湾では、朝から外食するのが一般的なんですね!ところで、ヨウティヤオという食べ物を初めて知ったのですが、いつ頃から食べられているんですか?
実は、12世紀ごろから食べられているとても歴史のある食べ物なんです。ヨウティヤオの誕生については、少し怖〜い言い伝えがあるんですよ。中国・南宋は異民族の侵略に脅かされていましたが、南宋の名将「岳飛(がくひ)」は少ない軍勢で敵の大軍を打ち負かすなど、軍師として大活躍。しかし、敵国と内通していた宰相「秦桧(しんかい)」は妻と画策して、岳飛を無実の罪で処刑してしまいます。岳飛の死を国中が怒り悲しむ中で、とある茶屋の主人が、細長いパンを秦桧に見立てて熱い油で揚げることで鬱憤を晴らしました。こうして生まれたヨウティヤオは、「悪人・秦桧を油で揚げる」という意味で「油炸桧(ユーザクエイ)」とも呼ばれているんですよ。そんな話を知ってしまうと食べにくくなるかもしれませんね(笑)。
確かに怖いお話ですね。でも、ヨウティヤオ自体はおいしそうなので一度食べてみたいです!他にもオススメの食べ方はありますか?
温めた豆乳に黒酢、ザーサイ、干しエビなどの具材が入ったスープ「シェントウジャン(鹹豆漿)」に、ちぎったヨウティヤオを加えて食べるのが台北を中心に流行っています。このシェントウジャンは伝統的な台湾料理ではなく、最近生まれた新しいメニューです。しかも、その人気に火をつけたのは台湾人ではなく、日本からの観光客。日本のテレビ番組でタピオカに次ぐ台湾グルメとして紹介され、多くの日本人観光客がシェントウジャンのお店に足を運びました。そして、その人気ぶりから現地の人たちも注目するようになった……。そんなちょっと変わったきっかけで広まったスープです。台湾の朝の市場にはシェントウジャンのほかにも、おかゆや、台湾式卵焼きクレープなど、美味しいものがたくさん並んでいます。台湾を訪れたら、ぜひ早起きして朝食を楽しんでください!