- 今回の旅のパートナー
- 「NPO法人 関西ブラジル人コミュニティ」の長谷川ルシアさん
- 1957年に移民として一家でブラジルへ渡り、その後約30年間ブラジルで生活。泳ぎを覚えたのはアマゾン川……という元わんぱく少女とともに「ブラジルの朝ごはん」をボン・アペチッチ(召し上がれ)♪
ブラジルといえば美味しいコーヒーがまず頭に浮かびますが、ブラジルではどんな朝ごはんを食べるんですか?
国土の広いブラジルでは地域によって食文化が異なります。たとえば、ヨーロッパとの玄関口だった南部はパンと卵、ベーコンなどの西洋式。その一方で私の育った北部はローカル色が色濃く残り、伝統的なタピオカクレープがよく食べられていました。「タピオカ」という名称は、先住民族が使用していたトゥピ語でデンプンの製造法を「tipi'óka」と呼ぶことに由来します。日本ではタピオカというと、黒くて丸い粒々に加工した「タピオカパール」を想像しますよね。タピオカクレープは、タピオカの粉と水を混ぜたものを一晩寝かせて、フライパンの上に薄く伸ばし焼き上げます。焼き上がった生地にチーズやお肉など好みの具材を挟んだものが、私が育ったブラジル北部の朝ごはんでした。
ブラジルではタピオカをクレープにして食べるんですね。そもそもタピオカって何から作られているんですか?
タピオカはキャッサバというイモから作られています。キャッサバは、15世紀ごろから北部地域で暮らす人々の食生活に欠かせないものでした。ブラジルの北部地域は、熱帯気候のためなかなか農作物が育ちません。そんな環境下でやせた土地でも栽培でき、あまり手間もかからないキャッサバは主食として貴重な存在です。そのためブラジル北部ではキャッサバを蒸す、茹でる、揚げるほかにも、いろんな調理法を駆使して余すことなく食材として使いきる知恵が育まれてきました。その一つが「タピオカ」です。タピオカは、キャッサバをすりおろして絞った汁から、沈殿したデンプンを取り出して乾燥させ粉状にしたものです。他にも、タピオカを作った際に出る絞りカスを炒めた「ファリーニャ」。香ばしいおからのような食べ物で、肉料理や豆料理など、いろいろな料理にかけて食べられています。
キャッサバは、昔からブラジル北部の主食だったんですね。タピオカクレープは、今も北部でしか食べられないのですか?
タピオカクレープは、もともとブラジル北部の伝統的なローカルフードでしたが、ヘルシー志向の高まりもあり、現在ではブラジル全土で食べられるようになりました。スーパーなどでは、その場で好みの具材を選んでテイクアウトできますよ。食事として楽しむならチーズやハム、チキンなどを、おやつとして楽しむならチョコレートやフルーツなどを包んで食べるのがおすすめ。ブラジルを訪れる機会があれば、いろいろな具材のタピオカクレープに挑戦して、ぜひお好みの味を見つけてみてください!