




速い!綺麗!あっという間!
和歌山県有田市でみかんのむき方を調査
2026/03/02

みかんが大好きなのですが、皮をむくのが苦手です。和歌山県には、素早く綺麗に皮をむく方法があると聞きました。探偵さん、ぜひ調査をお願いします。
綺麗な皮のむき方を求めて、みかんの産地・和歌山県有田市へ
実は探偵も、みかんの皮むきには人一倍苦戦しています。皮がバラバラとちらばったり、気づけば指先がベタベタになったり……素早く綺麗にむく方法、探偵もぜひ知りたいです。
まずは和歌山のみかんについて調べてみると、有田(ありだ)市でみかんの生産から加工、販売までを手がける「早和(そうわ)果樹園」を見つけました。何やら、みかんのことに詳しそうな会社のにおいがします。ここなら、素早く綺麗にみかんをむく方法を知っているかもしれません。
淡い期待を抱いて連絡をしてみると「和歌山のみかんのむき方といえば……きっと『有田むき』のことですね。よかったらお話ししますよ」とのこと。
アリダムキ!?なんとむき方に名前までついているようです!さっそく、詳しい情報を聞きに行きたいと思います。
大阪から阪和自動車道を経由して車で約90分。有田インターチェンジを降りると、景色が一変!どーんとみかん畑が広がっています。土地があればみかんの木、空き地であっても数本ですが植えられているところもあります。見上げると山肌はほぼ一面みかん畑。この景色を見るだけでも、すでに来たかいがある気がしてきました。

みかん畑の間を走ること数分。早和果樹園の本社に到着しました。

皮まで使うみかん愛に密着 車を降りると、かんきつ系のさわやかな香りでいっぱい。見わたせば、あちこちでみかんが山のように積み上げられています。まるで「みかんの聖地」に足を踏み入れたよう!胸が高鳴ります。

みかんの量に圧倒されていると、「ようこそ早和果樹園へ」と男性が近づいてきて声をかけてくれました。社長の秋竹さんです。

素早く綺麗にみかんの皮をむく方法が和歌山にあると聞いて調べに来ました。お電話では「アリダムキ」とお聞きしたのですが……。
「有田むきのことですね!」とニッコリ笑うと、「まあ、見ていてください……はい、どうぞ」。
秋竹さんが手もとで少し指を動かしたかと思えば、次の瞬間には、皮がつながったまま綺麗に4等分されたみかんが差し出されました。
「えっ!?」
何が起きたか一瞬わからずに驚いていると、「これが有田むきです(笑)。続きはあとでじっくりお教えしますね。さぁ、ぜひむきたての有田みかんを、召し上がってください」と、4等分されたみかんからさっとふさをとり、手わたしてくれました。

先ほどからみかんの香りに包まれて、おいしそう~と思っていました!いただきます。……うわ、口いっぱいに甘みが!有田みかんは、驚くほど甘いんですね。
「ありがとうございます。有田は1年を通じて温暖で、雨が少ないんです。さらに水はけのよい傾斜地がたくさんあり、みかんの木に余計な水分を与えません。水分を制限された木は果実に養分を凝縮させるため、甘みたっぷりのおいしいみかんができるんです。せっかくの機会なので、まずは本社1階にあるショップをご案内しましょう」。
店内にはみかんのジュースやゼリー、スムージー、さらにはみかんでつくったポン酢や七味などがズラリとならんでいます。
どれもとてもおいしそうです!いろいろな商品がありますが、ここにある商品はすべて、早和果樹園でつくられているんですか?
「はい。生産から加工・販売まで一貫して手がけています。愛情を注いで育てたみかんですから、皮の一枚まで無駄にしたくないんです。みかんは、いろいろな商品がつくれますし、捨てるところなんてひとつもないんですよ」。
みかんへの熱い想いが伝わってくる秋竹さんの言葉に、思わず深くうなずいてしまいました。
「さて、みかんの可能性を知ってもらったところで……事務所へ戻りましょうか。いよいよ本番、『有田むき』を体験していただきますよ!」。
とても簡単!有田むきのコツ 事務所の2階にある応接室に案内されました。室内には、みかん官能審査委員会で最高得点を獲得した際の賞状など、みかんに関する表彰状がたくさん飾られています。

机にはたくさんのみかんが用意されていました。

「さぁ、有田むきをお教えしますよ!では一緒にむいていきましょう」。
よろしくお願いします。腕まくりをして、気合い十分です!
「まず、ヘタの反対側のお尻の部分を上に向けてください。このお尻の部分は、『果頂部(かちょうぶ)』と呼びます。この果頂部に軽く親指を入れて穴をあけ、その穴を起点として一気に半分に割ります。半分に割るというのが有田むきの最大のポイントなんですよ」。
なるほど、でも、親指をどこまで入れていいものなのか……。
戸惑っていると、
「奥まで入れる必要はないんです、軽く指を入れて開こうとしてみてください。簡単に割れますよ」と秋竹さん。

教わったとおり、果頂部に親指を少し入れて……、できた穴から半分にする……よいしょ。本当だ!驚くほど簡単に2つに割れました。
「探偵さん、上手ですね!続いて、2つに割った片方を、さらに半分に割ります。ふさを触らず、皮ごと割るのがコツです。

皮ごと半分に割るんですね……、あっ、ほとんど力を入れることなく、簡単に割れました。
「その調子です。もう片方も同じように皮ごと2つに割りましょう。みかんが4分割されましたね。有田むきの完成です!」。
まだ皮はむけていませんが……?
「有田むきはこれでいいんですよ!」。

「とても簡単でしょ!慣れると子どもでも数秒でできますよ。しかも、ほら!手が全然汚れていません」。
本当だ!最初に果頂部に穴をあける一瞬をのぞいて、皮しか触っていないから汚れないんですね。
「皮がヘタでつながっているからバラバラになりません。こまかなゴミを出さず、まわりも汚さないんです。ただ、皮が薄い早生(わせ)といわれる品種などは果汁が出やすいので、丁寧に割ることを心がけてくださいね」。
はい!とはいうものの……、皮はついたままですよね?いつむくのでしょう?
「それが、もうひとつのコツなんです。食べるときにむくんです。4分割されたふさを、ヘタ側から少し指で押してみてください」。
試してみますね。……あっ、ペリペリとふさが浮いて、皮から綺麗にはがれました。

「有田では、ヘタ側から押してふさを浮かせた状態で、そのまま口に運んで食べるんです。『むく』のと『食べる』のが、一連の動作としてつながるのが有田むきの極意です」。

なるほど!食べる瞬間までふさを触らないので、手が汚れないんですね。有田むきは素早く綺麗にむけるだけでなく、手際よく食べられるむき方だとわかりました。
「有田むき」誕生の背景とは!?
こんなに簡単にむける方法、今まで知りませんでした。名前から想像すると、有田で昔からあるむき方なのですか?
「はい。私の両親や親戚もこのむき方をしているので、少なくとも50年以上前にはすでに広まっていたと思います。このむき方は、みかん農家が収穫作業を効率化するために生まれたといわれています」。
なるほど、あの素早さは作業効率と関連しているのですね。
「収穫期になると、みかん農家は軍手をはめて長時間の作業をおこないます。その際、みかんの糖度や酸味のバランスを確かめるため、何度も試食する必要があるんです。

でも、試食のたびに軍手を外すのは面倒ですよね。そこで、軍手をしたままでみかんを素早くむく有田むきが生まれ、農家の間で定着していったといわれています。そして、家庭でも、日常的なむき方として根づいていったのではないでしょうか」。
有田むきで幸せのお裾分けができる?
有田むきは、みかん農家さんの日々の工夫から生まれたものだったのですね。
「そうなんです。さらに、『幸せを運んでくるむき方』とも地元では呼ばれているんですよ」。
幸せを運ぶって、すごく素敵ですね。
「探偵さん、有田むきをしたみかんを上からじっくり眺めてみてください。何かに形が似ていませんか?」。
似ている形ですか……。あっ、四つ葉のクローバー!?
「そう!正解です!みかんをむくたびに、幸運の象徴といわれる四つ葉のクローバーが、食卓に広がるんです。だから、幸せを運んでくるむき方といわれているんですよ」。

確かに、四つ葉のクローバーの形にみかんがむけると、ハッピーな気分になります。
「そうでしょう。さらに4つのふさが合わさるから『4あわせ』で、同じ響きの『幸せ』になるという説もあります。シェアもしやすいんですよ。『幸せ』を分け合えるむき方なんて、素敵だと思いませんか?」。
なるほど!「幸せのお裾分け」ということですね。その考え方を聞くだけでも、気分が明るくなりますね。
「実際に有田では、家族や友人と同じみかんを分け合って、『このみかんおいしいね』と語らうことが多いですよ」。
誰でも簡単に素早く、手を汚さずにみかんをむくことができる有田むき。それは、おいしいみかんを育てる農家さんの知恵により生まれた、幸せを運ぶむき方であるとわかりました。
みかんを食べる際には有田むきに挑戦して、四つ葉のクローバーの形を楽しみながら、家族や友人と幸せな時間を分け合ってみませんか?

- ※この記事は2026年2月1日時点の情報をもとに掲載しています。






