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手のひらのような形!?
郡山八幡神社の「夢つかみ御守り」
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2025/06/02
依頼内容

野球をはじめた息子が「夢つかみ御守り」という物を知人にもらいました。なんでも奈良の郡山八幡神社で授かったそうですが、手のひらに似ているものの、見たことのない変わった形をしています。いったい何をかたどっているのでしょうか?探偵さん調べてください。

「夢つかみ御守り」を探しに郡山八幡神社へ 「夢つかみ御守り」というのをはじめて聞きました。手のひらに似ているということですが、いったいどんな形をしているのでしょうか?ぜひ調査してみましょう。

さっそく奈良県の郡山八幡神社(こおりやまはちまんじんじゃ)に連絡をとり、宮司さんと現地で待ち合わせ。 
近畿日本鉄道橿原線(かしはらせん)の近鉄郡山駅から徒歩10分、住宅街の中にある郡山八幡神社に到着しました。

鉄燈籠としめ縄がある郡山八幡神社の門
鉄燈籠としめ縄がある郡山八幡神社の門

「夢つかみ御守り」の形に秘められた想いとは!? 入口で待っていると「ようこそ郡山八幡神社へ」と宮司の上本さんが笑顔で迎えてくれました。
「『夢つかみ御守り』についてお調べなんですね。ご説明しますので、こちらへどうぞ」と、境内のわきにある社務所に案内してくれました。

「夢つかみ御守り」について説明してくれた宮司の上本さん
「夢つかみ御守り」について説明してくれた宮司の上本さん

郡山八幡神社で授与されている「夢つかみ御守り」は、手のひらに似た変わった形をしていると聞いたのですが、どんなお守りなのでしょうか?

「確かに似ているかもしれませんね。こちらが郡山八幡神社で授与している『夢つかみ御守り』です」。

上本さんは、灰色の革のような素材でつくられた、縦5cm、横7cmほどのお守りを手わたしてくれました。

手のひらのような形をした「夢つかみ御守り」
手のひらのような形をした「夢つかみ御守り」

わっ!指のような形の突起が7つ!?確かに手のひらに似ていますね。真ん中には文字も描かれてるようですが……。

「あまり見る機会のない形ですよね。これは、野球のグラブをかたどっています。正確にいうと縫製前のグラブの形で、中央に漢字で『夢』と描いています」。

縫製前のグラブ!?はじめて見ましたが、こんな形をしているのですね。

「完成前のグラブの中央に『夢』を配置することで、『夢をこれからつかんでいってほしい』、そんな想いを込めています」。

なるほど!このお守りを持っていたら、夢を追いかけるときの励みになりそうです!

「お守りには、自分の手で夢をしっかりつかんでほしいという願いを込めています」と話す上本さん
「お守りには、自分の手で夢をしっかりつかんでほしいという願いを込めています」と話す上本さん

郡山八幡神社とグラブの関係とは!? 夢をつかむモチーフとしてグラブを使われていますが、郡山八幡神社とグラブには何か関係があるのでしょうか?

「実は、当神社は別名『グラブ神社』としても知られているんです」。

グラブ神社!?なぜそう呼ばれるようになったのでしょうか?

「2013年に地元のグラブ工房さんから、グラブをショーケースに収めた絵馬をご奉納いただいたことがきっかけです。奈良県はかつてグラブの生産が盛んでした。しかし、安価な外国製のグラブの増加で県内のグラブ生産量が減少したんです。そんななか『もう一度、グラブづくりを盛り上げたい』との願いを込めて、絵馬をご奉納いただきました。地元の産業を復興させたいという想いに当神社も賛同し、『グラブ神社』としての活動をはじめたんです」。

地場産業を応援する想いからだったのですね。グラブ工房の方は、なぜ郡山八幡神社にご奉納されたのでしょうか?

「当神社は戦いの神様である八幡神(はちまんしん)を祀っており、現代ではスポーツの神様としても信仰されています。地元の神社であり、スポーツの神様を祀っているということからご奉納いただいたのだと思います。よろしければ、拝殿に飾っているグラブの絵馬をご覧ください」。

上本さんに案内され、社務所から少し歩いたところにある拝殿に到着しました。

拝殿の上部に飾られているショーケース型の絵馬
拝殿の上部に飾られているショーケース型の絵馬

「拝殿の上部にあるのが、グラブ工房さんにご奉納いただいた絵馬です。『グラブ 夢のきせき』と記されていて、1869年から2013年にかけて製作されたグラブが年代順に並んでいます」。

1800年代から現代までのグラブの軌跡が見られる……だから夢の「きせき」なんですね!

「拝殿には、主に野球に打ち込む子どもたちが願いごとを書く紙絵馬もありますよ」。

確かに、たくさんの絵馬がかけられていますね。

グラブ神社オリジナルの紙絵馬
グラブ神社オリジナルの紙絵馬

「絵馬かけをよく見てみてください。何かお気づきになりませんか?」。

ええと……そうですね、なんでしょう……、あっ!野球場の形になっています。

「そうです。選手の守備位置に合わせて紙絵馬をかけることができるんですよ」。

野球場を模した絵馬かけ
野球場を模した絵馬かけ

自分のポジションに合わせて絵馬をかけられるというのは、おもしろいですね。
ところで、野球の守備位置は9つなのに、紙絵馬をかける場所は11ヶ所あるようなのですが……?

「残りの2ヶ所は『ベンチ』と『応援席』をあらわしています。試合に出る選手だけではなく、チームを支える方や応援する方の想いもご奉納いただけるように、かける場所を11ヶ所にしています」。

グラブ寄贈や野球上達の祈願を実施 グラブ神社として活動されていることがあれば、教えてください。

「野球上達や必勝のご祈祷をおこなっています。また、紙絵馬とは別にグラブが描かれた木製の絵馬も授与しています。拝殿の前にある絵馬かけをご覧ください」。

拝殿前にある絵馬かけ。木製の絵馬にはグラブと野球ボール、縁起がよいとされる鶴が描かれています
拝殿前にある絵馬かけ。木製の絵馬にはグラブと野球ボール、縁起がよいとされる鶴が描かれています

グラブが描かれた木製の絵馬がいっぱいですね。
やはり野球にまつわる祈願をされる方が多いのでしょうか?

「野球とは関係なくご参拝いただく方も大勢いらっしゃいますが、少年野球チームや中学・高校の野球部に所属している子どもたちの参拝が多く、『野球がうまくなりたい』『試合に勝ちたい』と祈願されていますね。また、監督・コーチや保護者の方々にもご参拝いただいています。以前、ある高校の校長先生が熱心に祈願されたあと、その学校が甲子園出場を果たしたということもありました」。

生徒たちの勝利を祈願する校長先生の熱い想いが伝わってきます。
絵馬かけの前に来てみて気づいたのですが、拝殿の左端にグラブが置かれていますね。

「あれはご供養したグラブです。ずっと一緒に練習に励み、試合を戦ってきたグラブの処分に悩む方が多くいらっしゃいます。そこで、当神社がグラブ一つひとつに感謝を込めてご供養させていただいているんです。バットをはじめ、グラブ以外の野球用品のご供養も受け付けていますよ」。

郡山八幡神社ではグラブやバットなど野球用品のご供養もおこなっています
郡山八幡神社ではグラブやバットなど野球用品のご供養もおこなっています

ご供養されたグラブはそのあとどうなるのでしょう?
「使えるグラブは手入れをして、海外や被災地の子どもたちに寄贈しています。寄贈活動は、地元のグラブ工房さんと一緒におこなっています。活動が浸透してきており、『私の使わなくなったグラブも、必要としている方に届けてあげてください』とグラブをお譲りくださる方も増えました」。

とても素敵な取り組みですね。

「野球に打ち込む子どもたちに、物を大事にする『もったいない精神』を身につけてほしいと願っています。また、海外や被災地では、満足に野球ができない状況の子どもたちがいることを知ってもらい、夢を追いかけられる環境にあらためて感謝の気持ちをもってほしいと考えています。グラブ神社の活動がその一助になれば、とてもうれしいですね」。

「夢つかみ御守り」の謎を調査しに訪れた郡山八幡神社は、「グラブ神社」として野球に励む人や地場産業、そして人々の夢を応援していることがわかりました。
「夢をつかみたい!」そんなときは、「グラブ神社」を訪れてみてはいかがでしょうか。

「夢つかみ御守り」(頒布料800円/税込)。マイマイも夢に向かって挑戦するぞ!
「夢つかみ御守り」(頒布料800円/税込)。マイマイも夢に向かって挑戦するぞ!

  • ※この記事は2025年5月1日時点の情報をもとに掲載しています。

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