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炎の探偵社

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ころんとかわいい!
夫婦の思いが詰まった
まゆ人形専門店に潜入

2020/06/22
依頼内容

京都に、まゆ人形専門店「あだしのまゆ村」というお店があると聞きました。まゆ人形ってどんな人形なんですか?

今までも神戸人形やひな人形などいろいろな人形を調査してきた探偵たちですが、まゆ人形は見たことも聞いたこともありません。いったいどのような人形なのでしょうか。興味を持った探偵たちは、さっそく京都のまゆ人形専門店「あだしのまゆ村」を訪れることにしました。京都・嵐山から嵯峨野方面へと歩いていき、山の近くの化野(あだしの)という地域に到着すると、京町家が並ぶ通りにお店を発見。扉を開け入って見てみると、店内には白いころんとした人形がズラリと並んでいました。どうやらこちらがまゆ人形のようです。犬や鳥といった動物をモチーフにした人形のほか、お地蔵さんやひな人形などとってもバラエティ豊かです。

写真左:お店の前の大きなちょうちんが目印、写真右:店内には小さく白い人形がたくさん!
写真左:お店の前の大きなちょうちんが目印、写真右:店内には小さく白い人形がたくさん!

探偵たちが小さな人形を眺めていると、店主の蒲田幸子さんが声をかけてくれました。「全て生糸のもととなる『まゆ』で作ってるんですよ。手作りなので一つひとつ表情が違うでしょ。うちのかわいいまゆ人形を、ゆっくり見ていってくださいね」。

素敵な雰囲気の店主の幸子さん
素敵な雰囲気の店主の幸子さん

さっそく幸子さんにまゆ人形についてお聞きしました。「まゆ人形は、その名の通り、蚕(かいこ)が作り出す天然のまゆ玉で作られた人形のことで、5年前に亡くなった夫の哲夫が日本で初めて作ったんですよ。同じモチーフの人形でも、まゆの形を生かして作ることで微妙に表情が違うでしょ」。そうお聞きしてからじっくりとまゆ人形を見てみると、確かに表情が違いますね。

写真左:まゆ人形を作る幸子さん、写真右:同じカエルでもよく見ると表情が微妙に異なります
写真左:まゆ人形を作る幸子さん、写真右:同じカエルでもよく見ると表情が微妙に異なります

さて、こんなに細かな表情のまゆ人形はどのようにして作られるのでしょうか?「使っている材料はまゆと和紙のみなんですよ。今から実際に作ってみますね」と幸子さんが作り方を教えてくれることに。「まず、まゆ玉をハサミやカッターで切って形を整え、それを貼り合わせて人形の形を作っていきます。使用するまゆ玉は、形が丸く大きい『中国種』と真ん中にくぼみがあり細長い形の『日本種』の2種類。どちらも長野県産なんですよ。『中国種』を胴体部分に使用し、そこに細長い形の『日本種』を切って付け加えていきます。部分ごとにまゆの種類を変えることで、それぞれ特徴のある人形の形を作ることができるんです。そして、最後に色付けや和紙を使った装飾を施して完成です」。

カッターやハサミでまゆ玉を切ってパーツを作り、それらを組み合わせて形を作っていきます
カッターやハサミでまゆ玉を切ってパーツを作り、それらを組み合わせて形を作っていきます
人形の形ができ上がったら、色付けをして完成!こちらは「牛」をモチーフにしたまゆ人形です
人形の形ができ上がったら、色付けをして完成!こちらは「牛」をモチーフにしたまゆ人形です

続いて、まゆ人形が生まれた当時のエピソードをお聞きしました。まゆ人形の生みの親・哲夫さんは、京都の生糸問屋の長男でしたが、人と同じことをするのを嫌ったため家業を継がず、博多で家具販売の仕事に就いていました。1966年に博多のお菓子屋さんの娘だった幸子さんと出会い結婚。この頃から、哲夫さんは「昔から慣れ親しんだ『まゆ』の個性を生かしたオリジナルの商品を作り出し、地元京都で一番のお土産店を作りたい!」という思いが少しずつ高まってきたそうです。そして、何かヒントはないかと、養蚕業の本場である長野県へ足を運び農家を訪れた哲夫さん。そこで農家の人たちがまゆ玉をハサミで切り、色をつけて花にアレンジして飾っている姿を目にしたことから、まゆを使って人形を作ろう!と思い立ったのです。

それから約2年間、哲夫さんはまゆ人形の作品作りに没頭。作業場の窓から見えるスズメ、散歩途中に見かける犬や猫、お地蔵さんなど身近なモチーフからデザインを考え、一つひとつの人形を作っていったそうです。幸子さんは、「すごく細かな違いなんですが、小鳥のくちばしひとつとっても、付ける位置によっては表情がうまく作れないんです。納得がいかず、ボツになる作品もたくさんありましたが、主人はまゆ人形と懸命に向き合っていました」と、当時哲夫さんが試行錯誤していた様子を振り返ります。

写真左:和紙の着物が華やかなひな人形、写真右:ころんとしたフォルムとつぶらな瞳がかわいい小鳥たち
写真左:和紙の着物が華やかなひな人形、写真右:ころんとしたフォルムとつぶらな瞳がかわいい小鳥たち

ようやく、哲夫さんの納得のいくまゆ人形が完成し、蒲田さんご夫婦はまゆ人形専門店「あだしのまゆ村」をオープンさせました。もともと詩や和歌が好きで自身でも創作を行っていた哲夫さんは、小倉百人一首ゆかりの地である奥嵯峨の化野(あだしの)に目を付け、この場所でお店を始めると決めたそうです。ここ化野を村のような賑やかな場所にしていきたい、という思いから店名を「あだしのまゆ村」と名付けました。開店してまもなく、テレビや雑誌で紹介されたこともあり、日本各地から多くの人が訪れるようになったそうです。

「あだしのまゆ村」を開店した当時の哲夫さんと幸子さん
「あだしのまゆ村」を開店した当時の哲夫さんと幸子さん

お店がオープンして数年経った頃、哲夫さんは新たな取り組みとして「あんまり細かいところにこだわらず、みんなで同じ人形を作った時間を楽しんでほしい」という思いから体験教室をはじめることにしました。お客さまから好評で、現在は幸子さんが哲夫さんの思いを引き継いで続けられています。

哲夫さんがまゆ人形づくりや体験教室を行う一方、幸子さんはお店の看板を掲げてから42年間毎日お店に立ってお客さまを迎えました。「私と会うことを楽しみに来てくださるお客さまもいらっしゃるので、毎日休むことなく、心を込めて接客してきました」と語ります。

写真左:体験教室でまゆ人形作りを教える哲夫さん、写真右:現在の体験教室では、銭形平次のまゆ人形を作っています
写真左:体験教室でまゆ人形作りを教える哲夫さん、写真右:現在の体験教室では、銭形平次のまゆ人形を作っています

京都で一番のお土産屋さんになろうと決意し、お店を始めた哲夫さんと幸子さん。幸子さんは、「お客さまが喜んでくれることが一番大事という考えは、開店した当時から変わっていません」と話してくれました。蒲田さんご夫婦は、まゆ人形づくりはもちろん、お客さまへの接客など全てに対して心を込めて向き合ってきました。だからこそ、たくさんのお客さまに愛されるようなお店ができあがったのですね。ぜひ皆さんも、哲夫さんと幸子さんの思いが詰まった「あだしのまゆ村」を訪れてみてはいかがでしょうか。

※現在、体験教室は5〜6名の少人数制で行っており、事前の予約が必要です。

白くてかわいいまゆに包まれてうっとり
白くてかわいいまゆに包まれてうっとり
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