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炎の探偵社

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世界中の鬼が大集合!
鬼が集まる交流博物館

2018/06/04
依頼内容

昔話によく出てくる「鬼」についての博物館があると聞きました。探偵さん、気になるので調査してきてください!

鬼は怖いものというイメージを持っている方は、多いのではないかと思います。その怖い鬼を展示している博物館があるなんて!調べてみたところ、噂の博物館は京都の福知山市にあると判明。探偵たちはさっそく博物館に向かいました。のどかな田園風景を歩いていくと、前方に何やら派手なものが。近づいてみると……。

2本のツノに牙のはえた口に、かわいいでべその鬼を発見
2本のツノに牙のはえた口に、かわいいでべその鬼を発見

立ち並ぶ鬼の中には、指をさしている鬼もいます。もしかして、親切に道案内をしてくれているのでしょうか。意外にもなかなかいいヤツのようです。

「あっちだよ~」
「あっちだよ~」

鬼たちの示す方向へと進むと、風変わりな建物を発見。2本の角がニョキニョキと生えているようにも見えますが、どうやらあれが「日本の鬼の交流博物館」のようです。鬼の館にふさわしい風貌ですね。

鬼の顔をイメージした博物館の外観
鬼の顔をイメージした博物館の外観

建物の近くには、超ビッグサイズの鬼瓦が!スゴイ形相と、高さ約5m・幅4mの大きさに圧倒されます。

迫力満点の巨大な鬼瓦
迫力満点の巨大な鬼瓦

博物館の中にはどんな鬼たちがいるのでしょう。不安と期待が高まるなか、館内に入ってみると、いくつかのコーナーに分かれてたくさんの鬼たちが展示されています。その数に圧倒されている探偵たちを、館長の塩見さんが出迎えてくれました。

塩見さんの優しそうな笑顔にひと安心
塩見さんの優しそうな笑顔にひと安心

さっそく塩見さんに、博物館が誕生した経緯をお聞きしました。もともとこの地には、大正から昭和にかけて河守(こうもり)鉱山という銅山があり、600~800人が住む活気のある町でした。その鉱山が昭和44年3月に閉山すると、町は一変して過疎化。そこで人をどう呼び込むかと考えたときに、鬼伝説が残っていることから「鬼」に着目したまちづくりを行うことにしたそうです。

まず、「大江山鬼瓦公園」をつくり、全国各地の鬼師(鬼瓦を製作する瓦技師)が製作した72点の鬼瓦を設置。続いて、地元に伝わる鬼の頭領・酒呑童子(しゅてんどうじ)にちなんだ「大江山酒呑童子まつり」や「全国鬼サミット」を開催。これらのイベントを踏まえて、日本全国に伝わる鬼伝説をつなげる施設として、「日本の鬼の交流博物館」が平成5年に誕生しました。

地元・大江山の鬼伝説にまつわる希少な絵巻や資料
地元・大江山の鬼伝説にまつわる希少な絵巻や資料

続いて、塩見さんに館内の案内をしてもらいます。まずは、「日本の鬼」コーナーです。ここには、豊作や子孫繁栄や村を敵から守るためにつくられたわら人形など、民衆の暮らしに溶け込んでいる「暮らしの中の鬼」や、雷神や風神など神さまとしてあがめられている「祀られる(まつられる)鬼」があります。ほかにも魔を払い、福をもたらすために祭で表現された「演じられる鬼」、節分の豆まき行事に代表されるような疫鬼としての存在「追われる鬼」など、実物の面と写真を数多く展示。福をもたらしたり、あがめられたりする鬼もいるんですね!

左上:暮らしの中の鬼、右上:追われる鬼、左下:祀られる鬼、右下:演じられる鬼
左上:暮らしの中の鬼、右上:追われる鬼、左下:祀られる鬼、右下:演じられる鬼

中には、「女の鬼」と題した展示も!口はカッと裂け、目は吊り上がり、怒りと悲しみが入り混じった表情は、まさに怨念・情念の極致といえるかもしれません。

鬼の形相とはこのこと!
鬼の形相とはこのこと!

魔除けの意味で神社やお寺に配されてきた鬼瓦もズラリと展示されています。実物とレプリカが織り交ぜられていますが、飛鳥時代のものから鬼瓦の変遷がわかるようになっています。

時代を経るほどに立体的なデザインに
時代を経るほどに立体的なデザインに

いろいろな概念の鬼に触れた探偵たち。ここで鬼とは何だろうか?という疑問があらためてわいてきました。古くは『日本書紀』に、佐渡ヶ島に北方系の外国人が流れ着き、魑魅(おに)が来たと逃げ惑った、という古い記録もありますが、「諸説ありますが、異なる民族の風習や容貌に脅威を抱いて『鬼』と感じていたようです」と塩見さんは語ります。また、雷や地震、自然災害などの天変地異も、鬼の仕業と思われていたそうです。「政敵、歯向かうもの、異端な存在、自分たちの力以上のものをもったものが鬼とされました。特に時代が大きく変わるときに、人の恐怖心や脅威が形となって表れたんでしょうね」。

秋田県のなまはげは「悪いことをしてはいけないよ」と戒めてくれます
秋田県のなまはげは「悪いことをしてはいけないよ」と戒めてくれます

ここまでは日本の鬼ばかり見てきましたが、何やら気になる展示が目に入りました。展示名をよく見ると「世界の鬼」……。えっ、鬼って日本以外にもいるの?と不思議に思う探偵たち。国や民族によってさまざまですが、超越した力を持つ存在を「鬼」として、展示で見るコーナーです。たとえば、西欧の「デーモン」「デビル」「サタン」などの悪魔を、人間以上の力を持つ異端な存在として展示しており、前述の鬼との共通性がうかがえます。一方で、アジア圏では守り神としての存在にあたるものを、鬼として展示しています。

左:ヨーロッパの代表的な悪魔サタン、右:町を悪から救う守り神として伝わるネパールのラケー
左:ヨーロッパの代表的な悪魔サタン、右:町を悪から救う守り神として伝わるネパールのラケー
写真はどちらもインドネシア・バリ島に伝わる守り神としての鬼たち 上:聖獣バロン、下:いたずらもするけど、子どもたちを守る精霊のバジ鬼
写真はどちらもインドネシア・バリ島に伝わる守り神としての鬼たち
上:聖獣バロン、下:いたずらもするけど、子どもたちを守る精霊のバジ鬼

「悪と善は正反対のように思われますが、それは人間の両面性を表しているのかもしれません。どんな人間にも裏表がありますし、悪があるから善の部分が評価されるという見方もできます。昔の人々は人間の両面性を、鬼で表現していたのでしょう」と語る塩見さんです。

塩見さんに館内をくまなく案内してもらいました
塩見さんに館内をくまなく案内してもらいました

昔話の『桃太郎』に出てくるように、鬼とは人間の物を盗むなどの悪さをする恐ろしいものだと探偵たちは思っていました。しかし、塩見さんのお話を聞いて展示を見ることで、こんなにたくさんの鬼がいるのだとわかりました。さまざまな鬼の形態に触れるだけでも価値がある日本の鬼の交流博物館。この鬼伝説の残る地に、皆さまも足を運んでみてはいかがでしょうか。

青鬼さんと記念撮影
青鬼さんと記念撮影
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