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炎の探偵社

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頭から苔が生えてる!?
見た目もお茶目な「苔おじさん」

2018/05/07
依頼内容

頭に苔の生えたおじさんが岸和田にいると聞きました。探偵さん調べてください!

「苔」と聞くと、ジメっとしたところでひっそりと生えている地味なイメージですが、ここ最近苔に魅了された女性たち=苔ガールが急増中。また、熱帯魚を飼育するアクアリウムに水草の一種として使用されたり、苔玉や苔を使ったテラリウム=苔テラリウムが人気だったりと、注目を集めています。しかし、苔が頭から生えている人とは、どんな人なのでしょうか?探偵たちは噂の真相を確かめに現場へ向かいます。

透明な容器に植物を栽培するテラリウムの苔版「苔テラリウム」
透明な容器に植物を栽培するテラリウムの苔版「苔テラリウム」

到着したのは、南海電鉄・蛸地蔵(たこじぞう)駅。道ゆく人に聞き込み調査をしていると、「苔おじさん有名やで。案内したろか」と申し出てくれる人がいたりと、どうやら地元では名の知られた人物のよう。よく出没すると言われる岸和田城周辺に案内してもらいキョロキョロと探していると……。

大阪府の史跡にも指定されている岸和田城
大阪府の史跡にも指定されている岸和田城

頭上が緑の山になっているおじさんを発見!近づいてみると、頭から苔が生えているのではなく、苔が生えた帽子をかぶっています。

山のような帽子には苔がびっしり
山のような帽子には苔がびっしり

まるで山のような帽子ですね~と探偵たちが話しかけると、「車も見てください!」とおじさん。なんと、ルーフパネル全体が苔で埋めつくされています。車の名前は「屋根苔着車(やぁね、こけちゃっかー)」だそうです。それにしても、いったいなぜこんなに苔だらけなのか。探偵たちの疑問に、“苔おじさん”こと泉原さんが答えてくれました。

これが「やぁね、こけちゃっかー」。屋根一面に苔がぎっしり!
これが「やぁね、こけちゃっかー」。屋根一面に苔がぎっしり!

「やぁね、こけちゃっかー」を使って、洗濯物を自宅や事業所まで取りに来てくれる集配専門のクリーニング業を営んでいる泉原さん。実は元々園芸高校の教師をしていて、そのころは生徒たちに環境緑化の大切さを教えていました。しかし、教師を退職して今の仕事を始めてからは、環境問題に関して貢献できていないことを、ずっと気に病んでいました。そこで、「業務用の車体を緑化したら車から排出されるCO2を吸収しながら、同時に酸素がつくれてエコになるぞ!」と思いつき、1998年ごろから車体緑化プロジェクトをスタート。つまりこの車は、地球温暖化防止と、そのための環境緑化を促進したいという思いで開発したものだったんです!

こだわりの苔について熱く語ってくれました
こだわりの苔について熱く語ってくれました

研究当初はルーフパネルに芝生やポット苗を置いたり、ツル植物を巻きつけたりするなどして車体緑化を模索していました。しかし屋根がゆるく曲線を描いているため落下したり、風圧で葉が飛ばされてしまったり、屋根が重くなって燃費が悪くなるなど、なかなかうまくいきません。


試行錯誤を繰り返していたところ、たまたまテレビでスナゴケを使った屋上緑化の取り組みを目にしました。苔は一般的には高い湿度・日陰の生育条件を好みますが、スナゴケはその逆。乾燥したり直射日光にあたっても生育するため、緑化対策に向いているということを知り、これなら車体緑化にも使えるのではないかとピンときました。スナゴケをキャッチする立体構造の網を屋根に固定し、ネットの上にスナゴケをのせたところ、高速道路を走らせても苔やネットが飛ばずに大成功!構想から苦節13年で、ようやく「やぁね、こけちゃっかー」が完成しました。

立体的な網でスナゴケを固定して、ネットごとを車に固定
立体的な網でスナゴケを固定して、ネットごとを車に固定

ところが、完成前夜、最後の関門が待ち受けていました。クリーニング店を一緒に営む奥さんが、「そんな恥ずかしい車には乗りたくない」と猛反対。それでもここで諦めるわけにはいきません。構想スタートから実現までの苦難を熱く語り、ついには小遣いなしという条件を出されても、それを受け入れるという苦渋の選択をして、奥さんのOKをもらいました!

完成当初の「やぁね、こけちゃっかー」
完成当初の「やぁね、こけちゃっかー」

車を緑化してからは、体感的に涼しくなったと実感している泉原さん。クーラーの使用の抑制につながり、大いにエコに貢献しています。そんな「やぁね、こけちゃっかー」で街中を走っていると、地元の人たちから「イイことやってるやん」と言われることも多いとか。興味を示してくれた方には、車の苔をおすそ分けして緑化活動を一緒にしませんかと誘ってみるのですが、「私のように自分の車を緑化するとなると、抵抗がある人が多いようです(笑)」。


少しでも緑化への関心を持ってもらうために苔テラリウムをつくるワークショップを開催したところ、こちらは大好評。「大人も子どもも手軽につくれる苔テラリウムを通じて、みなさんに苔の素晴らしさを知っていただき、将来的には、屋上や壁面・車両緑化に関心を持っていただけたらと思います」と泉原さんは語ります。

ワークショップは幼稚園や小学校、植物園、インテリアショップなどで開催
ワークショップは幼稚園や小学校、植物園、インテリアショップなどで開催

斬新なアイデアで緑化に取り組む泉原さんは多くの人たちの注目を集め、多数の賞を受賞。「第2回グリーンオーシャン大賞 優秀賞」を受賞した際の表彰式には、何かパフォーマンスをしたい!と考えて、こんもりと苔むした「モスメット」で出席し注目を集めました。

丸みのあるデザインがキュートなモスメット!
丸みのあるデザインがキュートなモスメット!

現在、泉原さんは大阪府地球温暖化防止活動推進員を務めています。「世界中の皆さんに、苔の魅力を伝えたいと野望を抱いています。将来は、やぁね、こけちゃっかーがたくさん走っているような社会になればいいなぁ」と語る泉原さん。その思いに共感する探偵たちなのでした。

屋根の上はふかふかの苔が気持ちいい~
屋根の上はふかふかの苔が気持ちいい~
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