関西は粉もんも多いけど、
地ソースも多い!?
2017/08/21

関西って独自にソースをつくっているメーカーがたくさんありますよね。全国的に見ても多いのでしょうか?
確かに大阪のヘルメスソースなど、独自に小規模でソースをつくっているメーカーが関西にはいくつもありますよね。そこで関西の家庭でどのくらいソースが使われているのかを調べたところ、総務省統計局の家計調査で、1世帯あたりの年間ソース購入量(2014-16)が各県庁所在市および政令指定都市ごとに紹介されていました。関西の都市は20位以内にすべて入っていて、どれも全国平均以上!

このグラフを見てもわかるように、関西ではソースをよく使っています。よく使う、ということは、地ソースメーカーも多い可能性大!期待に胸を膨らませながら、全国の地ソースをたくさん取りそろえているというお店「やん!なんば本店」の店長である澤田さんに話を聞いてみることにしました。

お店の入り口にある棚やカウンターには、たくさんのソースがずらり。その数なんと300種類以上!北は北海道から南は沖縄まで、全国の地ソースを扱っているそうです。このお店ではお客さんの好みやその日の気分を聞いて、この膨大な地ソースの銘柄の中からその人におすすめの一つを選んで、焼きそばやお好み焼きを焼いてくれます。

「この中で関西のものは80種類くらいかな。圧倒的に関西は地ソースメーカーさんが多いですよ」と澤田さん。「関西は何かにつけていちいちソースをかけます。たこ焼き、トンカツ、コロッケはもちろん、目玉焼きや天ぷら、ポテトサラダにかける人もいますよ」。確かになんにでもソースをかける人は、探偵の周囲にもかなりいます。

「関東では食事時にかけるのは醤油がメインで、ソースはあまりかけない人が多いので、ソースの流通量が全然違います」と教えてくれました。実際に関西の人はお昼ご飯にソース焼きそばをよく食べていますが、関東では蕎麦かラーメンという人が大多数です。「関東でも最近のB級グルメブームで、ようやく以前よりはソース焼きそばの登場回数が増えたみたいですけどね」と澤田さん。お好み焼きやたこ焼きなども関西ではよく食べますが、関東では毎日の食事で粉もんを食べることは圧倒的に少ないそう。ソースをつける料理の種類も数も、関西は圧倒的に多いし、味の好みにうるさい人も多いから、ソースの量だけでなく種類も増えていったようです。

ところで、澤田さんはどうしてこのお店を始めたのでしょうか?と尋ねると、それは粉もん屋さんでソースについて質問したことがきっかけでした。
粉もんのお店で食事をしていたとき、お好み焼きがとてもおいしかったので、「何のソースを使っているんですか?」と質問したところ、「秘密のブレンドだから」と教えてくれなかったのです。その後、他のお店でも同じように聞いてみましたが、どこもソースについては「秘密」。澤田さんはようやく、粉もん屋さんは使っているソースを、お客さんには教えてくれないものだと気づいたそうです。

それなら、とひらめいたアイデアが、「たくさんのソースを集めて、お客さんが選べるようにしたら面白いんちゃう?」というもの。それがお店の原点となったのです。初めは大阪の地ソースだけでしたが、9年という月日をかけて、全国300種類以上まで地ソースを集めました。
今でも地ソースの情報収集に余念がない澤田さん。情報を集めるうち、どの地ソースもメーカーさんが苦労して製造していることに気づいたそう。地ソースへの思いと、メーカーさんへの思いが高じて、なんとこんなものを制作しましたと見せてくれたのが……。

なんと、メニューの中には、工場の紹介ページが!神戸市灘区にあるプリンセスソースの工場に、澤田さんみずから取材をして制作したものなんだそう。「プリンセスソースは仕込みからボトルのラベル貼りまで、全部手作業でやっています。いろいろなメーカーさんに見学に行ったけど、どこも味を守るのにすごく苦労をしているから、そのこだわりを伝えたい」と話してくれました。
そうやって苦労して世に出されている各地の地ソースだから、「一番おすすめはどれ?」と聞かれると非常に困るとのこと。「どれも個性があっておいしくて、一番なんて決められない」のだそうです。そこには、澤田さんのソース愛があふれています。「地ソースは地酒と同じだと思ってください!それぞれの違いを味わいながら楽しんでほしいですね」。
関西人だからこそ、日ごろ当たり前に食べているソース。「やん!なんば本店」を訪れたときは、ぜひその奥深さにふれてみてください。

