白良浜の白い砂は、
どこからやってきた?
2016/03/22
和歌山県白浜町の砂は、地元のものではないと聞きました。いったいどこからやってきた砂なのですか?
和歌山県の白浜町といえば、夏休みには大にぎわいの、関西屈指の海遊びスポット。「白良浜(しららはま)」という名のとおり、サラサラした白い砂がとってもキレイな海水浴場ですが、実はこの砂は白浜産ではないという情報が…!今日はその真相に迫ってみたいと思います。
白良浜には、JR白浜駅から車に乗り15分ほどで到着します。冬のビーチは観光客も少なく閑散としていますが、砂浜は夏と変わらず真っ白でキレイに保たれています。この砂はいったいどこからやってきたのでしょうか。
そこで、事実を確認するために白浜町役場にやってきました。「パンダのまち 白浜」という大きな看板が気になりますが、今回はパンダに惑わされずに砂についてお伺いしたいと思います。
今回対応してくださったのは、白浜町観光商工係の山崎さん。職業柄、山崎さんのデスク周辺はパンダのぬいぐるみでいっぱいです。ちょうど12月には双子のパンダの赤ちゃんが1歳の誕生日を迎えたところで、観光商工係のみなさんも「パンダの町」としてPRを強化すべく、気合いが入っているとのこと。
でも、今回のテーマは「砂」。山崎さんに、ストレートに「白良浜の砂は、白浜産ではないって本当ですか?」と質問すると、こんな答えが返ってきました。「オーストラリアの砂を使っています」。・・・えー、そんな遠くの国から輸入してるんですか?!
はるばるオーストラリアから砂をもってきた経緯について、山崎さんに詳しく伺いました。
山崎さん 白良浜の砂は、波で細かく砕かれた珪砂砂岩(けいせきさがん)でできています。この珪砂砂岩は、ガラスの原材料としても使われるもので、雪のように白く明るい色をしています。
白良浜に限らず、砂浜では、砂が波でさらわれて徐々に減っていきますが、河川から砂が再び供給されることで砂浜は適正量を保つことができます。しかし白良浜周辺では、観光や宅地などの開発が進んだ結果砂の供給が減り、昭和の終わり頃から砂浜が痩せてきました。
そこで、観光資源であるこの白い砂浜を守るために、和歌山県では1989年(平成元年)より、砂浜に砂を足していく「養浜(ようひん)」事業を行うことになりました。
たしかに現在よりもだいぶ砂浜が痩せています。
山崎さん 養浜を進めるにあたって、まずは国内各地から砂を取り寄せてみましたが、白良浜ほど白い砂は見つかりませんでした。そこで海外の砂にも調査対象を拡げたところ、オーストラリアのパースの砂が相性ぴったりだと判明。その後、12年間にわたって、約14万トンもの砂を継ぎ足していきました。
現在でも、白浜町では、砂の流出を防ぐ突堤を設置したり、風で砂が飛ばされないようにネットを張るなど、砂浜の保全活動に努めています。
また、実はビーチに放置される「ゴミ」も保全活動の大敵。放置されたゴミに砂が付着して、ゴミが回収される際に、付着した砂までも捨ててしまうことになるんです。そのため、山崎さんをはじめ白浜町のみなさんは「キレイな砂浜を守るために、ビーチで楽しんだ後のゴミはちゃんと各自で持ち帰ってほしい」と日々願っています。 そして、地元の有志のみなさんも自分たちで、美しい砂浜を維持するためにゴミ拾いをすることもあるそうです。
今回の取材では、オーストラリアからの砂の輸入をはじめ、この真っ白な砂浜を守るためにいろんな工夫や努力をされていたことがよ~く分かりました。これからも、いつまでも美しい白良浜で海水浴ができるように、ビーチではゴミを捨てずにマナーよく楽しみましょう!