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偉人File - No.8
ルドルフ・ディーゼル

蒸気機関よりも経済的なエンジンを!
飽くなき挑戦から生まれた
「ディーゼルエンジン」

プロフィール

  • 1858年 フランス・パリでドイツ人のもとに生まれる
  • 1875年 ミュンヘン工科大学へ奨学金をもらって進学
  • 1890年 アンモニアの蒸気を使った蒸気機関を開発
  • 1893年 内燃機関の論文を発表し、ディーゼルエンジンの開発研究が進む
  • 1897年 のちのディーゼルエンジンを発明
  • 1913年 航海中、イギリス海峡にて死去

偉人エピソード

数多くの失敗にもめげずに前進!
エネルギーの無駄を減らした新エンジンを発明

1858年、ドイツからフランスへと移住した製本職人の息子として、パリで産声をあげたルドルフ・ディーゼル。当時、「世界で最も技術が進歩した町」として知られていたパリで、ディーゼル少年は幼いころから機械に興味を持ち、両親の目を盗んで高価なカッコー時計を分解するなど、技術者らしい好奇心を育みながら成長しました。1873年、工業学校へ進んで機械技師になる勉強をした後は、ミュンヘン工科大学へ奨学金をもらって進学。見事に歴代最高の成績で卒業し、卒業後は恩師であるリンデ教授の助手として働くことになりました。当時、大学で冷凍技術に関する研究をしていたリンデ教授は、自ら開発した冷凍装置を製造するリンデ製氷機会社を設立し、ディーゼルは冷凍・製氷工場の設計と建設を担当することになったのです。製氷機会社で目にしたものは、当時の動力源として主流だった「蒸気機関」。蒸気機関は、水蒸気を膨張させたり収縮させた力でピストンを動かし、そのピストン運動が動力源となるしくみの「外燃機関」でした。熱効率と燃費を研究するうちに、水ではなくアンモニアガスを加熱してアンモニアの蒸気を使った蒸気機関をつくることをひらめいたディーゼル。実験は順調に進み、従来の蒸気機関よりも大きくエネルギーを出力する動力源の開発に成功したかに見えました。しかし、アンモニアは取り扱いが難しい物質で、広く実用化されるには不向きなうえ、熱効率を考えると外燃機関では大幅な性能向上には限界があったのです。外燃機関は、外部機器で燃料を燃焼し動力を得る構造上、熱エネルギーの90%をロスしてしまう効率の悪さが欠点でした。そこでディーゼルは「熱の力を無駄にすることなく、もっと大きな動力を得ることはできないものだろうか……」と、独自の研究をはじめたのです。

ディーゼルの関心は、機関内で燃料を燃焼させて発生した熱エネルギーを直接動力源にする「内燃機関」へと次第に移っていきました。内燃機関は動力機関内部で直接燃焼させるので、熱効率の向上が見込めたからです。 ディーゼルは1893年に内燃機関に関する論文を発表した後も研究を重ね、ついに新しい内燃機関を発明しました。その最大の特徴は、燃料に軽油を利用すること。軽油はガソリンを蒸留する過程でできる副産物で安価に入手できることから、燃料の大幅なコストダウン化に成功しました。さらに、軽油にはガソリンに比べて自然発火しやすく、一気に爆発燃焼させることができるなどの特徴があります。この特徴を生かすことで、ディーゼルが発明した内燃機関の熱効率は、これまでの外燃機関(蒸気機関)の約4倍、従来の内燃機関と比較しても約2倍になりました。安価で高効率を両立させたこの内燃機関はたちまちビッグニュースとなり、ディーゼルは一躍時の人となったのです。

ディーゼルは当初、この発明品のことを「合理的熱エンジン」と呼んでいましたが、伝わりにくいことからそれに代わる名前を探しはじめるようになりました。デルタ、ベータなど、次々と候補が挙がる中で、1895年に妻のマルタが、彼の名を冠した「ディーゼルエンジン」がふさわしいと提案。以降、同じタイプのエンジンは、ディーゼルエンジンと呼ばれるようになりました。 ディーゼルは、世界の発展のために発明品の権利を独占することを潔しとはせず、適正な特許料を支払えば、だれもがディーゼルエンジンをつくれるようにしました。出力が大きく経済的なこの動力機関は、発電所・潜水艦・トラック・重機など、幅広い分野で活躍するようになります。そしてディーゼルの死後もとどまることなくさまざまな研究者たちの手によってますます進化。近年も排気ガスの問題を改善したクリーンディーゼルエンジンや、菜種油や廃食用油などを使ったバイオディーゼルエンジンなどが次々と登場し、これからも重要な動力源として大きな期待が寄せられています。

ディーゼルが開発したエンジン

参考書籍:東京図書 ディーゼルとエンジン/科学・発見のパイオニア(著:J.F.ムーン) 山海堂 ディーゼルエンジンはいかにして生み出されたか(著:ルドルフ・ディーゼル, 原著:Rudolf Christian Karl Diesel, 翻訳:山岡 茂樹)

わたしたちの身近なエネルギー

使用済みの天ぷら油が役に立つ!
バイオディーゼルエンジンも普及中

昨今、バイオ燃料を用いたバイオディーゼルエンジンの活用が進んでいます。京都市では、さまざまな拠点の「家庭用使用済みてんぷら油回収BOX」で回収された廃食用油からバイオディーゼル燃料を製造し、ごみ収集車や市バスの燃料に年間約100万リットル利用しています。