よく小さい頃に食べていた駄菓子「モロッコヨーグル」を子どもにも食べさせてあげたいのですが、まだ売っているのでしょうか?探偵さん、調べてきてください。
「モロッコヨーグル」と聞いて、みなさんはどんな駄菓子を思い浮かべましたか?商品名にピンとこなくても、パッケージをみると「懐かしい!」「見覚えがある!」という方も多いのではないでしょうか。「モロッコヨーグル」とは、小さな丸い容器に入った、白いクリーム状の駄菓子です。商品に付属している木のヘラですくって食べます。依頼を受けた探偵たちが調べたところ、現在もサンヨー製菓株式会社で製造、販売されていることがわかったので、さっそく現地へ向かうことにしました。案内してくれたのは3代目社長の池田さんです。
案内されて工場に入ると、山盛りの白いクリームが探偵たちの目に飛び込んできました。まさかこれが全部ヨーグル!?「びっくりしたでしょう。これができたてのヨーグルです。ぜひ食べてみてください」と池田さんにすすめられた探偵たち。こんなに山盛りのヨーグルをすくって食べるなんて、なかなか体験できません。一口食べると、その名の通りヨーグルトのような酸味と、口の中で溶けて不思議な食感が口いっぱいに広がります。
ところで、ヨーグルって何でできているのでしょうか?ヨーグルトのような味がするので、きっと牛乳などが使われていると考えた探偵たち。池田さんにお聞きすると、「ヨーグルの材料は植物油脂です。口どけの良い食感を出すために2種類をブレンドしているんですよ」と教えてくれました。ヨーグルトの材料とは、全然別物だったんですね!ちなみに、ヨーグルトのような甘酸っぱさは砂糖や酸味料で表現しているそうです。
材料を混ぜ合わせてできたヨーグルは、丸い容器の中へ注入され、ゾウのイラストが入ったカラフルなフタで密封されます。一つひとつを手作業で点検した後、箱に詰めたら完成です。一日におよそ60,000~70,000個ものヨーグルが作られ、全国へ出荷されています。
続けて、探偵たちはヨーグルがどのように誕生したのか聞いてみることにしました。サンヨー製菓の始まりは、昭和34年に池田さんのお祖父さんが創業した池田製菓。その頃は、水あめとチョコを混ぜたチューブ状のソフトチョコや、ウィスキーボンボンを製造する会社でした。池田さんは、当時の様子をこう話します。「チョコレート菓子は暑い夏の間、ドロドロになって製造することができませんでした。そこで祖父は、夏でも作りやすく、子どもたちの食欲がわいて喜んで食べられるお菓子はないだろうかと考えました。そして、その頃はまだ珍しかったヨーグルトのような、酸味のあるお菓子なら暑い時期も食べやすいのではと思いついたそうです。祖父はアイデアマンで、思い立ったら即行動するタイプ。1週間徹夜して酸味や甘みの配合量を調整し、『モロッコヨーグル』を完成させました」。
ところで、なぜ「モロッコヨーグル」という名前にしたのでしょうか?「商品名を考えていた祖父が、そもそもヨーグルトはどこが発祥なのかを調べてみたところ、エジプトやモンゴル、モロッコなどの諸説がありました。その中でも一番語呂が良かったので『モロッコ』にしたと聞いています」と笑う池田さん。また、イメージキャラクターは、お祖父さんの「子どもたちがゾウのように強く、優しく、たくましく育つように」という思いからゾウになったそうです。
ここで、池田さんが「当社では先ほど見ていただいた通常のヨーグルの他に、大きいサイズの『ジャンボヨーグル』も作っているんですよ」と持ってきてくれました。ジャンボヨーグルの大きさは、通常のヨーグル11〜12個分。このボリュームは、ヨーグル好きにはたまりませんね!
ジャンボヨーグルは、サンヨー製菓と昔から取引がある駄菓子屋チェーンの部長さんからの依頼で平成8年に誕生しました。その部長さんはヨーグルの熱狂的なファンで、幼い頃にヨーグルをたくさん買ってきて食パンに塗って食べるのが大好きだったそう。でも、何個もフタを開けないといけないし、少しずつ塗るのが面倒……。そんな子どもの頃の思いがあって「『大きいサイズのヨーグルを食べるのが夢だったんだ!』と熱い思いをぶつけられました(笑)」と池田さんは当時を振り返ります。
駄菓子のヨーグルを他の食材と組み合わせて食べるなんて初めて聞いた探偵たち。他にもおもしろい食べ方があるのではないかと、インターネットで調べてみると、ヨーグルファンたちがいろいろな食べ方を考えて発信していることが分かりました。例えば、クラッカーやおせんべいにヨーグルを塗ってみたり、アイスクリームにトッピングしてみたりすると、酸味やコクが加わって格段においしくなるのだとか。
他にもヨーグルを使ったレシピについて池田さんからこんな話を聞くことができました。まずは、大学の学園祭模擬店でのクレープ。クレープの出店を考えていた大学生から、学園祭では生モノが扱えなかったので、生クリームの代わりにヨーグルを使えないか?と相談がありました。試作で作ってみたときからヨーグルとクレープの相性に間違いはないと感じていた学生たちでしたが、予想通り学園祭当日も大好評だったそうです。
次に、サンドイッチ屋さんのフルーツサンド。フルーツとヨーグルの相性の良さに目をつけたサンドイッチ屋さんからオファーがありました。フルーツの甘みとヨーグルの酸味の組み合わせが好評でたちまち人気商品となったそうです。
ヨーグルファンによって、アレンジレシピがどんどん生み出されるヨーグルですが、その味も時代に合わせて新しいものが生み出されているのでしょうか?「発売から59年、実はヨーグルの味は変わっていないんです。祖父からの『安全でおいしいものを作り続ければ、お客さんは必ずついてきてくれる』という言葉を大事にして昔から変わらない商品づくりに取り組んできました」と池田さんは教えてくれました。昔から変わらない味を守り続ける池田さんと、新たな楽しみ方をつくり出すヨーグルファンたちの今後が楽しみですね。懐かしさを感じる駄菓子としてヨーグルをそのまま味わうのはもちろん、新しい食べ方にも是非挑戦してみてください!