私が住んでいる場所の近くに昆陽池という池があるのですが、その池の中に日本列島の形をした小島があるのです。あれは一体なんなのでしょうか?
昆陽池(こやいけ)は、兵庫県伊丹市にあるため池です。池周辺も含め公園として整備されていますが、実はその池の中に日本列島の形の島があるなんて初耳。びっくりです。そもそも何なのか?生まれた背景は?などを探りに、とにかく行ってみることにしました!
伊丹市の昆陽池公園(こやいけこうえん)に到着。入り口の看板にも日本列島の形をした島があります。
日本列島(の形をした島)を、太平洋に浮かぶ船から東京湾を眺めるつもりで撮影してみました。でも、大きすぎて形がわからない・・・
まずは、伊丹市みどり自然課・公園課のみなさんにお話を伺いました。昆陽池は奈良時代に行基(ぎょうき)というお坊さんが指導して、農業用のため池として作られたと言われています。魚の養殖もされていたそうです。そして、1973年(昭和48年)頃、伊丹市が公園として整備し、その頃にこの「日本列島」も作られました。
池の中の島を日本列島の形にしよう、と発案したのは当時の設計を担当していた伊丹市の職員さん。空港の街伊丹市のランドマークとして、飛行機から下を眺めたときに「この辺りが伊丹」とわかってもらうようなファンキーなもくろみだったそうです。
昆陽池は貯水池と自然池のふたつに分かれています。貯水池の目的は農業用水や伊丹市の飲み水を確保するため。もうひとつの日本列島が浮かぶ自然池は、野鳥や水辺の植物を観察するなど、市民に自然と触れ合ってもらうためのものです。そして、この日本列島の形は、水辺と陸地の割合や、鳥同士が縄張りを尊重して住み分けるのにも最適で、池に集う野鳥の生態系を守る上でも大切なのだそうです。
自然池は、秋から冬にかけてたくさんの渡り鳥で賑わう、野鳥を観察するには絶好のスポット。オフシーズンでも留鳥(あまり移動しない鳥)や「渡りそびれた渡り鳥」を観察することができます。
再度、日本列島を横から見てみました。石の壁みたいなものの周辺が、日本地図でいうと北海道の根室あたり。職員さんも、生態観察などの作業のために島に立ち入る時には「今日は新潟の佐渡島あたりから上陸」とか「北海道から水質調査」と呼んでいるのだそうですよ。なるほど。日本中を飛び回らないといけないお仕事、大変だ!
そして、島には、留鳥のカワウがたくさん。取材時(夏)には渡り鳥を見つけることはできませんでしたが、冬ごろには渡り鳥で賑わっていることでしょう。
伊丹市の昆陽池公園にある日本列島の形をした島は、野鳥たちのオアシスでした。今日も鳥達でいっぱいです。みなさんも良かったら、足を運んで自然と野鳥を楽しんでみてくださいね。