Vol.04
2022.07.19
連日30度を超える猛暑が当たり前になってきた日本の夏。実は家の中にいても熱中症になってしまうことがあるのはご存じでしょうか。熱中症で救急搬送されるのは、外出先よりも家の中の方が多いことが明らかになっています。ご自身とご家族の健康のためにも、室内の暑さ対策は欠かせません。今回は光熱費や環境への負担をできるだけ軽減しつつ、住まいに“涼”を取り入れる方法をご紹介します。
もくじ
夏の室内が暑くなる原因は「窓」といわれています。一般的な住宅の場合、外から入ってくる熱の約7割が窓などの開口部からというデータも。そこで、室内に大量の熱が入りこまないために、まずは窓まわりの工夫をしてみませんか。大がかりなリフォームをしなくてもできる、室内を涼しくするためのさまざまな工夫をご紹介します。
参照元:(一社)日本建材・住宅設備産業協会
太陽光を窓辺で遮るには、室内では遮光性や遮熱性のあるカーテンを使う、窓ガラスに遮熱効果のあるフィルムやシートをはるなどの工夫ができます。また、窓の外側にグリーンカーテンやサンシェードなどの日除けを設ければ、窓を開けても太陽熱の侵入をガードしつつ、通気性も確保できるので、室内にこもった熱を逃す役割も兼ねられます。窓辺に工夫をすることで、冷房に頼りすぎないエコな空調管理ができそうですね。
グリーンカーテン
ゴーヤやヘチマなどのつる性植物を利用した「グリーンカーテン」は室内への光や熱を遮るだけでなく、植物が吸い上げた水を葉から蒸発させることで、周囲の温度を下げる役割も果たします。
サンシェード
窓の外側に設置する大きな布製の日除けです。遮熱タイプのものを選べば、より快適に。
すだれ
細く割った竹や葦(あし)などを並べて、糸で編みつないだもの。窓の外側に吊るして日光を遮りますが、布製と違い隙間があるので、通気性も高いです。
よしず
窓などに吊り下げて使うことが多い「すだれ」とは異なり、玄関など広い開口部に立てかけて使用します。立てかけるだけなので設置も簡単。主な材質は葦です。
窓辺の暑さ対策だけでも、実にたくさんの方法がありますね。このほか、窓自体を断熱性のあるものに取り替えたり、今ある窓の部屋側に内窓を取りつけて二重窓にしたりするなど、手軽にできるプチリフォームもあります。住宅事情に応じた方法を実践してみてはいかがでしょうか。
京都の町家では、建具や敷物をそっくり夏のしつらえにする模様替えが、今も多くの家でおこなわれています。窓辺にはすだれを吊り、ふすまや障子も風通しのよい素材に替え、足もとにはひんやりと、木や竹、草などの植物を編んだ網代の敷物…いずれも、京都特有の蒸し暑い季節を少しでも快適にすごそうとする先人の知恵です。
昔から夏に使われてきた天然素材は、さらっとした感触で心地よく目にも涼しいだけでなく、温度調整や消臭作用など、さまざまな役割を発揮します。たとえば籐の椅子やついたて、リネンのファブリック、い草や竹で編んだラグやスリッパなどを、夏の暮らしに取り入れてみてはいかがでしょう。
家の前の路地や庭先に水をまく「打ち水」も、清涼感あふれる夏の風物詩。水の気化熱で地面の温度を下げるとともに、水が蒸発することにより上昇気流をつくって空気を対流させ、涼しさを運んでくれます。
家に面したアスファルトの道路やマンションのベランダなど、熱を蓄えやすい場所への打ち水は特に効果的です。注意点としては、ひなたの熱い地面にまくと湿度が上がり逆効果になるので、朝や夕方の時間帯、または日陰におこなうこと。お風呂の残り湯やためた雨水を使えば、さらにエコですね。
さまざまな工夫で冷房などに頼らない涼しさを少しでも体感できれば、それだけ環境にやさしい暮らしが実践できるはず。
もちろん必要以上に我慢せず、冷房を使用することも大切です。水分をこまめにとるなどの、基本的な熱中症対策もお忘れなく。年々長くなる猛暑シーズンですが、エコで元気にのり切りたいですね。
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