冬の入浴にご注意!命にかかわるヒートショックの原因と予防
温かい湯船が気持ちいい冬のお風呂。しかし、そんな癒しタイムも、一歩間違えると命にかかわる危険性があることをご存じですか?
今回は、冬の入浴で気をつけたい、「ヒートショック」の原因と予防についてご紹介します。
- 目次 -
そもそもヒートショックとは?
寒くなる冬に起きやすい
■入浴中の死亡者数の推移(月別)
ヒートショックとは、急激な温度差で血圧が上下し、心臓や血管に負担をかけてしまうことで、命にかかわる深刻な事故につながる場合もあります。
浴室で起きるケースが多く、気温が下がる12月~2月の入浴中の死亡者数はほかの月に比べて増加傾向にあります。
- (出典)東京都監察医務院ホームページ公開データ(※)より作図(小数点第1位四捨五入)
- ※2018年~2022年の5年間の月当たり平均件数(東京都23区内)
ヒートショックが起きやすい場所
浴室や洗面所(脱衣所)、トイレなどは、暖房器具がないことが多いため冷え込みやすく、ヒートショックが起きやすい場所です。特に温度差が大きい浴室での発生が多くみられます。
どんなときに起きるの?その症状は?
温度差によって血圧が大きく変化したとき
ヒートショックは、急な温度差により、血圧が急激に変化したときに起きます。特に温度が大きく上下変動する入浴時は、注意が必要です。
入浴時に起きやすい
【室内】
リビングなど暖かい部屋では、血圧は安定。
【脱衣所】
寒い洗面所(脱衣所)で衣服を脱ぐと、寒さで血管が収縮し、血圧が上昇。
【浴室】
洗面所(脱衣所)から寒い浴室へ移動すると、血管がさらに収縮し、血圧が上昇。
【浴槽】
突然熱い湯に入ることで血管が拡張し、血圧が急低下。
ヒートショックの症状は?
軽度の場合は、脈拍が速くなったり、めまいや立ちくらみなどの症状が出たりします。
重度の場合には失神や心臓発作、心筋梗塞、脳卒中などを引き起こすことがあります。さらに、ヒートショックにより、転倒や溺死といった浴室内での事故につながる場合もあります。
<浴室で起きる事故の危険性>
- ●立ちくらみによる転倒事故
- ●浴槽内での溺死
高齢者にとって身近な事故
入浴中の65歳以上の高齢者に死亡事故が多く発生しており、厚生労働省人口動態調査(令和3年)によると、高齢者の浴槽内での不慮の溺死・溺水の数は、交通事故死亡者数の2倍以上※で、高齢者にとって身近な事故といえます。
高齢者は、血圧を正常に保つ機能が衰え、身体能力も低下している可能性があります。温度差が大きい冬の入浴時には、注意が必要です。
- ※消費者庁「無理せず対策 高齢者の不慮の事故」(令和4年12月)
こんな方は特にご注意!
ヒートショックは、高齢者だけでなく、若い人でも注意が必要です。
- ・高血圧
- ・糖尿病、高脂血症
- ・飲酒後に入浴することがある
- ・自宅の脱衣所や浴室に暖房器具がない
- ・熱いお湯が好き
- ・一番風呂が好き
- ・お湯に長くつかる など
入浴中のヒートショックの予防と対策
今すぐできる対策
入浴前にできること
・脱衣所や浴室を暖めておく
脱衣所には、暖房器具やマットなどを置きましょう。浴室暖房がある場合は暖房をつけ、ない場合は、浴槽のフタを開けたままお湯をはったり、シャワーを床や壁にかけたりして、浴室を暖めておきます。
・食後すぐの入浴は避ける
食後は、消化器官に血液が集まり、血圧が下がっているため、すぐの入浴は避けましょう。あわせて、飲酒後や薬の服用後の入浴は避けましょう。
・入浴前にひと声かけて
同居するご家族がいる場合は、入浴前にひと声かけて、意識してもらいましょう。
入浴中にできること
・温度と時間の目安
熱いお湯に長くつかるのは、心臓への負担になります。お湯の温度は41℃以下、お湯につかる時間は10分までを目安にしましょう。
・かけ湯やシャワーで体を温める
足→腹→胸へと、心臓に遠いところから温めていきます。
・湯船から急に立ち上がらない
湯につかっているときは、体に水圧がかかっています。急に立ち上がると、圧迫されていた血管が一気に拡張して血圧が下がり、立ちくらみの原因になります。
水分を補給する
入浴中は、かなりの汗をかきます。脱水症や熱中症を防ぐために、入浴前に水分を補給しておきましょう。入浴中や入浴後も喉が渇いたら水分を補給しましょう。
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