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Vol. 13
芦屋市川西町、さくら通りに面したモダンなビルの2階にある『ワインとお酒と和心料理 Takasaki』は、芦屋の食通たちが足しげく通う隠れた人気和食店。今回ご紹介する「フォアグラの羽二重蒸し」は、フランスの日本国大使館(パリ市)で公邸料理人を務めたオーナーシェフが開発した、店の看板メニューとして大人気の逸品です。高﨑シェフご本人にお話をうかがいました。
オーナーシェフ高﨑 智浩(たかさき・ともひろ)
奈良県出身。大学卒業後、料理の道へ。
大阪の名門ホテルで修行したのち、フランスをはじめ数ヶ国の公邸料理人に就任。帰国後、外務省から「優秀公邸料理長」の称号を与えられる。
ワインとお酒と和心料理 Takasaki
芦屋で愛される人気和食店。“Bon Vivant – 美味しいものを食べ、美味しいお酒を飲み、人生を楽しく生きる"をコンセプトに、ワインやお酒に合う遊び心のあるメニューを提供している。
フランスの日本国大使館で公邸料理人をしていたときに、「フランスを代表する食材『フォアグラ』を使ったおいしい和食がつくれないか」と考えて開発したメニューです。フォアグラの持つ風味を損なわずに、うまくいかすためにはあまり手を加えすぎてはダメ。そこで、イメージとして思い浮べたのが茶わん蒸しでした。フランスにもフランという茶わん蒸しに似た料理がありますし、いけるんじゃないかという直感がありました。
まずフォアグラを丁寧に裏ごししたものに、出汁、牛乳、各種調味料、そして最後に玉子を合わせて、容器に入れて蒸します。さらに、蒸し上がったものに銀あん(※)をかけることで、茶わん蒸しのなめらかな食感とともに、出汁の香るクリームスープのような味わいを楽しんでいただけます。
※片栗粉や葛粉をかつおだし・水で混ぜ合わせ、色目をつけないように低温で煮立たせたあん
はい。大使館に来られるさまざまなお客さまにお出ししました。なかには、フランスでも指折りの美食家だという方もいらっしゃいました。その方は出汁のにおいを嗅いで、「何か薫香を加えたのか?」とおっしゃるんです。材料に燻製は使用していませんし、最初はピンとこなかったのですが、きっと出汁を取るときに使ったかつお節の燻した香りを感じ取られたんでしょうね。「そこまで敏感に風味を感じ取るのか」と、びっくりしました。このように、大使館のお客さまには舌の肥えた食通の方が多く、どんな反応があるか少し不安でしたが、皆さん「おいしい」と喜んで召し上がっていらっしゃいましたね。
手の込んだ難しい料理ではないからこそ、とにかく丁寧につくることですね。一番のポイントは、裏ごしする直前までフォアグラを冷やしておくこと。常温のフォアグラのほうがやわらかいですし、楽にこせるんですけど、出汁と合わせたときに脂が分離してしまっておいしく仕上がらないんです。ミキサーも試しましたが、それもスフレのように泡立ってしまってうまくいきませんでした。労力はかかりますが、やはり冷やして硬くなった状態のフォアグラを、網目のこまかい裏ごし器を使って丁寧にこす。これがおいしく仕上げるポイントです。また、すべての材料を混ぜ合わせたあと、もう一度こすのですが、「フォアグラの羽二重蒸し」という名称は、二度ごしすることで絹のようななめらかさになることから名づけました。
基本、フォアグラと出汁と玉子だけでつくっているので、どんな料理と合わせてもおいしく召し上がっていただけると思います。お店でも焼き物、揚げ物、酢の物など、さまざまなアラカルト料理と一緒にお出ししています。お酒と一緒に召し上がりたいとおっしゃるお客さまも多く、その際は、「甘いお酒のほうが合いますよ」とお伝えしています。フランスでは糖度の高いブドウを原料にした貴腐ワインを合わせる方が多かったですね。ほかにもシャンパンやスパークリングワイン、あと梅酒にもよく合います。日本酒であれば純米吟醸がおすすめです。銘柄でいうと、個人的にはみずみずしくフルーティーな「鳳凰美田」とすごく相性がいいなと感じています。
この「フォアグラの羽二重蒸し」は、お店の名刺代わりのようなメニューです。だからこそ、できるだけ多くの方に召し上がっていただきたいと、インターネットでもご購入いただけるようにしています。一つひとつ手づくりで、防腐剤なども入れず、お店で出すそのままの味をお届けしますのでぜひご賞味ください。容器のまま2~3分湯煎していただくと、ちょうどいい仕上がりになると思います。ふだんの食卓に華を添える一品として召し上がっていただいてもいいですし、綺麗なお皿などに移し替えてホームパーティのテーブルに並べていただくのもいいですね。
日本ではフォアグラはあまりなじみのない食材かもしれませんが、フランスではマルシェやスーパーで普通に売っている食材です。和食が好きな常連さまも必ず頼まれる「Takasaki」でしか味わうことのできないこの逸品、きっと満足していただけると思います。