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風力発電で使われるタービンブレードが、私たちのよく知っているお菓子「グミ」になる。そんな研究を、アメリカ化学会(ACS)の会議が発表した。一体どういうことだろうか。

世界中で導入が進む再生可能エネルギー。その導入を求めるときに考えたいのが、廃棄の問題だ。風力発電に使われるタービンの寿命は、一般的に約20年とされている。

世界経済フォーラムが2021年10月に掲載した記事によると、風力タービンの85%はリサイクルが可能だが、羽根の部分である「タービンブレード(ガラス繊維またはガラス強化ポリマーを含むもの)」は再生が難しく、多くはそのまま埋立地に送られるという(※1)。

そこでアメリカ・ミシガン州立大学の研究者らは2022年8月、「リサイクル前提」のタービンブレードをつくるのに適した新たな複合樹脂を発表した。その複合樹脂をアルカリ消化することで乳酸カリウム(KC3H5O3)が生まれ、乳酸カリウムを精製すると、グミやキャンディーやスポーツドリンクといった飲食料品に使えるというのだ。

研究者のジョン・ドーガン氏は、タービンブレードを飲食料品にリサイクルすることについて、アメリカ化学会のニュースリリースで次のように語っている。

“とうもろこしなどの植物から得られる炭素原子は、化石燃料から得られる炭素原子と変わりません。すべては炭素の循環の一部です。私たちは、バイオマスからプラスチック素材をつくり、それを食品にもできることを示したのです。”

新しい複合樹脂は、新たなタービンブレードはもちろん、窓や車のテールランプなどにもリサイクルすることが可能だ。複合樹脂をアルカリ消化するとポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)が生成され、それをさまざまな製品に使うことができる。また、おむつの高吸水性ポリマーとしても使えるようだ。

研究者らは今後、この樹脂を使って、フィールドテスト用のタービンブレードをつくることを検討しているという。さまざまな用途での使用が期待される、新たな複合樹脂のこれからに期待したい。

Text by 木村つぐみ