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「役目を終えた風力タービンを、どのように処理するか」という課題を、耳にしたことがある人は多いかもしれない。

2016年末時点で、全世界に34万台以上の風力タービンがある(※1)。風力タービンのリサイクルを推進しなければ、大量の廃棄物が発生することは想像に難くない。

スウェーデンの大手電力会社であるバッテンフォールによると、実は風力タービンの90%は、すでにリサイクル可能だという(※2)。

しかし、リサイクルが難しいのが、羽根の部分であるタービンブレードだ。2種類以上の素材を組み合わせた複合材料を使用しているため、リサイクルが難しいという。

バッテンフォールは2022年、ノルウェーのリサイクル企業であるGjenkraftとパートナーを組み、タービンブレードをスキー板やスノーボードにリサイクルすると発表した。解体が予定されている、オランダのIrene Vorrink風力発電所のタービンブレードを使い、リサイクルのパイロットプロジェクトを実施する。

Gjenkraftは、複合材料のリサイクルを専門としている会社だ。デンマークの大手風力発電機メーカーであるベスタスとも、パートナーを組んでいる。

Gjenkraftは熱分解を活用したリサイクル技術により、ガラス繊維と炭素繊維を再生し、それを使ってスキー板やスノーボードをつくる。タービンブレードには、ガラス繊維や炭素繊維以外にもさまざまな素材が使われているため、リサイクル工程は複雑だという。

バッテンフォールは2030年までに、使われなくなったタービンブレードを100%リサイクルする目標を掲げている。これにともない、タービンブレードを営農型太陽光発電(農地の上部空間に太陽光発電設備を設置する取り組み)設備の建築材料としてリサイクルする計画なども立てている。

再生可能エネルギーの大量導入を支えるには、使用済再生可能エネルギー設備を可能な限りリユース・リサイクルすることが大切だ。風力タービンのリサイクル率100%達成に向けて、着実に進んでいくことを期待したい。

冬スポーツが好きな人はぜひ、風力タービンをリサイクルしたスキー板を使ってみてはどうだろうか。

Text by 木村つぐみ