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エネルギーの低炭素化が求められる昨今、さまざまな再生可能エネルギーが注目されている。

太陽光発電や風力発電のライフサイクルCO2(※)は、石炭や石油を使った火力発電のライフサイクルCO2より低く抑えられているが、設備の製造時や運搬時にはCO2を排出する。

※ライフサイクルCO2とは、発電所が建設されてから廃棄されるまで、また燃料が採掘されてから最終的に廃棄物として処理されるまでの一連の流れの中で排出されるCO2のこと。

そんな中で関心を集めているのが、光合成によりCO2を吸収して成長するバイオマス資源を用いた発電だ。テクニオン・イスラエル工科大学の研究者たちは、2021年12月、海藻の一種であるアオサから電流を得ることができたと発表した。アオサが光合成をおこなうことで、電流が生じるしくみだ。

アオサを使うメリットは、大きな電流を生み出せることだ。たとえば、シアノバクテリア(藍藻)も光合成をおこなうことで電流を生むが、太陽電池を利用したときよりは電流が少なく、商業利用が難しいという課題がある。

一方、同大学の研究者たちが開発した新しい方法では、アオサがシアノバクテリアの1千倍の電流を生んだのだ。これは、一般的な太陽電池を利用したときと同程度の電流だという。研究者によると、アオサの光合成速度が速いことが大きな電流を生み出せる一因だという。

アオサは光合成ができない暗いところでも、明るいところの50%程度の電流を生めるというメリットもある。これは、アオサが呼吸をすることにより生じる電流だという。

また、アオサは食品、化粧品、医薬品に活用するために多く生産されており、比較的手に入りやすいのも可能性のひとつになりそうだ。イスラエルが位置する地中海沿岸でも、アオサが多く栽培されているという。

同研究は、シアノバクテリアについて学んでいた大学院生のヤニブ・シュロスバーグ氏が、海で泳いだときに海藻を見てひらめいたのがきっかけとなってはじまったという。研究者らは、アオサを育てるタンクで電流を集めるプロトタイプ装置を製作。今後はこの技術を改良することで、クリーンエネルギー技術を生み出せると期待を寄せている。

日本でも味噌汁などによく使われるアオサが、次世代を担う新エネルギーとなるのか、今後の展開に注目したい。

Text by 木村つぐみ