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花の形をしたソーラーパネルを見たことがあるだろうか。それは四角いソーラーパネルを見慣れた私たちからすると、異様で新鮮だ。オーストリアで生まれたSmartflowerというソーラーパネルは、ひまわりの形と動きにインスピレーションを得て開発された。この彫刻のようなソーラーパネルは、サステナビリティの象徴として大地に屹立する。

母なる自然から学べるものは大きい。ひまわりは太陽光を最大限浴びることができるように、太陽の動きに合わせて向きを変える。この習性をソーラーパネルに活かせば、多くの太陽光を取り込み、より多くのクリーンエネルギーを生成できるのではないか。そう考えたのがSmartflowerの誕生のきっかけだったという。

Smartflowerは日の出から日没まで、常に太陽に対して90度の角度で傾くよう、太陽の動きに合わせて向きを変える。これによりSmartflowerは、従来のソーラーパネルより40%も多くのエネルギーを生成でき、その電力量は年間4,000~6,200kWhになるという。

また、花の花びらが閉じるのと同様に、Smartflowerも夜や風が強い日には自動でパネルを閉じる。天候が悪い日に閉じることで安全面も確保でき、閉じたときには自動洗浄も行うので、綺麗に使えてエネルギー生産性の低下を防ぐことができる。

Smartflowerは、従来のソーラーパネルのように屋根に取り付けられているのではなく、自然の風がパネルの裏側を通るデザインになっている点も、エネルギーの生産性向上に役立っている。地域にもよるが、この風の自然冷却の効果で、パネルの生産性が10%向上するという。

生物が長い年月をかけて最適化した形態や仕組みを、技術開発に活かすことを「バイオミミクリー」と呼ぶが、Smartflowerはまさに偉大なる自然から構想を得たバイオミミクリーの一例だ。考えてみれば、植物は太陽光を生きるエネルギーに変えているという点で、自然のソーラーパネルなのだ。

Smartflowerの調査によると15~35歳の消費者の73%が、サステナビリティに貢献している企業のサービスや製品に対してより多くの金額を支払うことを惜しまないという。地球環境のために尽力していることをわかりやすく示したい企業は、この圧倒される形をしたソーラーパネルを設置してみてはどうだろうか。

Text by 木村つぐみ

  • 参照元・画像提供: Smartflower

    バイオミミクリーとは…生物の仕組みから学んだことを技術開発に活かすこと。この言葉を最初に唱えたのは1997年に「自然と生体に学ぶバイオミミクリー」という本を出版したサイエンスライターのジャニン・ベニュス氏。生物を意味する「Bio」と模倣を意味する「Mimicry」を合体させた言葉。学術用語にとどまらず、近年は実社会でもこの考え方の適用が進んでいる。


    この記事は、2019年6月10日に書かれたものです。