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パデュー大学の科学者らが、ビニール袋をリチウムイオン電池の部品に変える技術を開発した。プラスチック製品を減らす動きが世界中で見られるが、ビニール袋の流通を完全にゼロにすることは、今の時点では非現実的だ。ならば使用済みのビニール袋をより価値の高いモノにつくりかえよう、という発想である。

科学者たちが考案したのは、ビニール袋を電池のアノード(陽極・プラス極)として利用できるカーボンチップに変換する方法。ビニール袋に含まれるポリエチレンは、炭素を生成する際に安価な材料として使える可能性があることは、以前から知られていた。しかし、ポリエチレンをより価値の高い純炭素にアップサイクルするための方法は、これまで複雑で非効率的、さらにコストも高かった。

今回新しく開発されたアプローチは、より簡単に、低コストで“プラスチックゴミ”を有用な素材に変換できる点が画期的だ。このプロセスでは、ビニール袋を硫酸に浸して密封し、その中のポリエチレンが溶け始めるまで加熱する。そこから純粋な炭素を取り出して粉砕し、リチウムイオン電池のアノードに使用する。このようにして製造された電池は、市販の電池と比較してもよく機能することがわかった。実証実験の結果、商業生産に応用できる見通しもついた。

また、同大学では他にも、ビニール袋に限らずさまざまなプラスチック廃棄物をクリーン燃料に変える方法の研究に取り組んでいる。2019年3月に発表された研究によると、毎年排出されるポリオレフィン(プラスチックの一種)廃棄物を変換して得られるクリーン燃料は、ガソリンやディーゼル燃料の年間需要の4パーセントをまかなえるという。

さまざまな団体や企業がプラスチック使用の削減に取り組んでいるなか、今回の開発のように、廃棄されたプラスチック製品を他の製品やその原料として生まれ変わらせることもできる。プラスチックは、「環境を汚すゴミ」から「貴重な資源」にかわり、廃棄物の回収とリサイクルを大規模に促進する原動力となることが期待される。

※2019年9月24日追記:分かりにくい表記があったため、アノード(負極)からアノード(陽極・プラス極)と変更しました。なお、化学的な働きとしては、このカーボンチップは、リチウムイオン電池内で負極として利用されます。

Text by Yakuta