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国連開発計画(UNDP)によると、エチオピアの首都アディスアベバにある36ヘクタールの広大な「コッシュごみ廃棄場」には毎日、約4千トンの有機ごみが持ち込まれるという。2017年、ここで地滑りが発生した際は、ごみを拾って再販売しようとしていた人々や周辺の集落をのみ込み、114人の尊い命が奪われた。

この事故の反省から、1億2千万米ドルを投資し、ごみ廃棄場に発電所を併設する「Reppieプロジェクト」が発足した。この計画は、毎日1,400万キロの廃棄物を電気に換えることによって、同国の廃棄物問題に取り組むことを目的としている。

Reppie発電所の仕組みは、都市の家庭ごみ等を燃焼させた熱で蒸気タービンを回すというもので、年間発電量は1億8,500万kWhに達する見込みだ。これはエチオピアの首都で発生する廃棄物の約80%に相当する量で、首都アディスアベバの30%の世帯の電力をまかなうことができる。

2025年までに全国民に電力を供給することを計画しているエチオピアのテショメ大統領(当時)は、プロジェクト発足時に「水力、地熱、風、バイオマスエネルギーに多額の投資を行い、クリーンで再生可能なエネルギーを供給して製造セクターを強化します」と述べた。このプロジェクトは、シンガポールのCambridge Industries、中国のCNEEC、そしてデンマークのRambollから成る国際企業コンソーシアムとエチオピア政府のパートナーシップにより進められている。

国連(UN)のゼルバベル・ゲタチェウ氏は、「Reppieプロジェクトは、汚染問題に取り組むとともに、経済のあらゆる分野で再生可能エネルギーを取り入れる方法の一つです。このプロジェクトが世界の他の国のモデルとしても役立つことを願っています」と述べた。

Cambridge Industriesのアフリカ担当マネージング・ディレクターであるサミュエル・アレマイエフ氏は、「いまは(廃棄物が多くて)新しい埋立地を建設する必要性のある都市に注目しています」と述べ、ラゴス、ナイロビ、カンパラ等のアフリカの都市で同様のプロジェクトを行うことを目指している。

廃棄物による発電には、土地の節約、有毒化学物質の地下水への流出防止、大気中へのメタンの放出低減といった複数の利点がある。

大惨事を教訓にし、環境対策を行うと同時に、アフリカ諸国で不足しがちな電力も供給するという、官民を巻き込んでの一大事業に発展しているこの廃棄物発電所プロジェクト。何とも合理的だ。ごみを電力の源と認識するようになれば、ごみが散乱する都市の美化にもつながることだろう。

Text by Yakuta