- 今回の旅のパートナー
- インド料理教室mama’s ouchigohan ハルプリート・セティさん
- インドの首都・ニューデリー出身。自国だけでなく世界各国の料理に精通する料理研究家で、現在は神戸市を拠点に料理教室をしています。貿易商を営む男性と結婚後、共に来日して約38年。「日本大好き!ずっと日本に住むと決めているの」とニコニコ笑顔のハルプリートさんとともに、インドの朝ごはんをブ・キージエ(召し上がれ)!
インドといえばやっぱりカレーが思い浮かびますが、朝ごはんにはどんなものを食べるんですか?
私が生まれ育った北部では、インド式パンとカレーを朝ごはんによく食べます。インド式パンには「アタ」という全粒粉の小麦粉を使い、薄く伸ばして揚げたり焼いたり具材を混ぜたりと、いろんな種類のものを作るんですよ。中でも、「プーリー」はよく登場します。プーリーとは、薄く伸ばした生地を油で揚げたもの。カレーなどをたっぷりと付けて、熱々のうちに食べてくださいね。今回作った朝ごはんは、プーリーに、アルーキサブジ(じゃがいもを入れたカレー)、マンゴーの漬物やミントのソース。さらに、ニンジンとミルクを使ったデザートも添えました。このような付け合わせやデザートを添えた朝ごはんは、お正月などのおめでたいイベントやお客さまをおもてなしする際に作るんですよ。
北部ではパンをよく食べるんですね。ほかの地域では違うのでしょうか?
はい、地域によって食文化はさまざまです。特に北部と南部で大きく違いますね。主食に関しては、北部ではプーリーやナンなどのパン、南部では細長くパラパラとしたインディカ米を食べるのが一般的。また、よく使われる食材にも違いがあって、海に囲まれた南部では魚を、北部では鶏肉をメインに使う料理が多いんですよ。そして味つけは、南に行くほど辛くなる傾向があります。特にカレーは北部だと素材を煮込んでスパイスと塩で味を整えるのみで、南部ではさらにレッドチリやレモン、ココナッツミルクなどを使って辛味・酸味・甘味を加えるのが特徴です。ただ、どの地域の料理にも共通して言えるのが、スパイスを組み合わせて深い味わいを作っていることですね。
たしかに、インド料理といえば香辛料が効いているイメージがあります。インドの人たちは、みんなスパイスをよく活用しているのでしょうか?
そうですね、どの家庭でもいろんな種類のスパイスを常備しています。今日作ったプーリーやカレーにも、アジョワンやターメリック、クミンなどさまざまなスパイスを使いました。各家庭のスパイスを使ったレシピは、その効能と一緒に親や祖父母から教えてもらいます。例えば、プーリーに入れたアジョワンは、胃もたれに効果があります。また、カレーに使ったターメリックは関節の痛みや腫れに、クミンは胃もたれや貧血によく効きますね。実は、日々の体調によっても使うスパイスを変えているんですよ。最近では、日本のスーパーでもいろんなスパイスが手軽に購入できますよね。普段ご家庭で作っているカレーに少し加えるだけで、インド風の味わいを楽しめるので、ぜひチャレンジしてみてください!