高槻のニューシンボル!?
巨大チョコレート看板消失の謎!
2016/07/04

電車に乗っていると高槻市あたりで見える、巨大なチョコレートが突如として消え、また現れたという噂を聞きました。そんなことがあるのでしょうか・・・?
JR京都線に乗車し、高槻駅~摂津富田駅間で窓の外を眺めていると、巨大なチョコレートが見えることを、ご存知の方は多いかもしれません。巷では、このチョコレートが「突如として消え、また現れた!?」と、にわかには信じがたい噂が飛び交っています。そこで今日は、この謎を調査すべく、大阪府高槻市にある株式会社 明治(以下、明治)の大阪工場へとやってきました!

施設内に入ると、明治さんの大人気キャラクターのカールおじさんが、探偵たちを歓迎してくれました。

今回、調査にご協力いただくのは、「明治なるほどファクトリー大阪」見学施設長の中川さん。入社して42年、明治のことなら何でも知っているスペシャリストです。この施設では、大人気の「カール」や「きのこの山・たけのこの里」が原料から包装されるまでの製造工程や、チョコレートが出来るまでの流れ、明治の歴史などを知ることができます。

早速ですが、巨大チョコレート看板にまつわるギモンを聞いてみました!あのチョコレートが消えてしまうって、本当ですか?

「いいえ!消失したことは一度もありません!」と、中川さん。チョコレートは、高温にさらされるとココアバターが溶けて表面に浮き上がり、その後、冷えて固まると白くなってしまいます(ブルーム現象と言います)。このチョコレート看板も太陽の熱を受けてブルーム現象が起き、白くなったので見えなくなってしまったのです…というのは冗談で、2011年に建設されてから、ずっと雨風にさらされ続けたことで塗料が落ちてしまったため、2013年の初旬から半年ほど、色の塗り直しを行いました。その際、少しずつ部分的に布を被せながら作業を行っていたので、角度によっては見えなくなり、「消えた!」と噂されるようになったのでしょう。
それにしても、一体なぜあんな大きなチョコレートを作ることになったのでしょうか。チョコレート看板について、中川さんにさらに詳しくお話を伺いました。

元々、工場を建て替えた2011年に、どうせなら何か楽しい仕掛けも一緒に作ろう、となったのがこのチョコレート看板建設のきっかけだそうです。そこで、明治の人気商品である明治ミルクチョコレート(通称:ミルチ)をモチーフとし、菓子の持つ楽しさやおいしさを感じてもらえるオブジェを作ることに。オブジェはミルチになぞらえて、「ビッグミルチ」と名付けられました。おいしいチョコレートのイメージであるツヤツヤでなめらかな表情を実現するため、素材を吟味し、建築的なディテールを徹底的に消去し、厳しい精度で一粒一粒手作りしたんだとか。

制作はベトナムで3ヶ月かけて行われ、日本で組み立てられました。全42粒を一粒一粒丁寧に設置し、その光景はSNSなどインターネットでも話題になったそうです。
ビッグミルチを構成する四角い一粒の大きさは幅11.9m×高さ9.4m。それを結集し、完成したビッグミルチの大きさは、高さおよそ27.6メートル×幅165.9メートル!ちょうど工場がすっぽりと隠れる大きさです。ちなみに、オブジェ一粒一粒に彫り込まれた「meiji」のロゴの「i」が人の背丈くらいです。

また、全体の大きさは、なんと市販されている明治ミルクチョコレート換算で47万個分!ビッグミルチを“食べきる”には、明治ミルクチョコレートを毎日1枚食べ続けても1,300年近く掛かるのだとか!そんなビッグミルチは、世界最大のプラスチック製広告看板としてギネスにも認定されています。2011年2月8日にギネスに認定され、2016年7月4日現在もその記録は打ち破られていません。
ちなみにビッグミルチは、広告看板以外にも、工場にあるたくさんの配管をカバーして保護するなど、機能面でも重要な役割を担っています。

今では、記念撮影のスポットとしても人気のこのビッグミルチ。看板としての効果も絶大で、工場見学に訪れるお客さんも何百人単位で増えたのだとか。常に美味しい商品を生み出す挑戦、お客さんに夢を与える努力を惜しまない明治さんだからこそ、こんな夢のある看板を作ることができたのですね。そして、今年創業100周年を迎えた明治さんの「明治なるほどファクトリー大阪」では、明治さんの歴史を知ることができるジオラマの展示なども行っています。
これからも、決してビッグミルチは消えることはありません。皆さんもぜひ近くでその大きさを体感してみてください。

取材協力:大成建設株式会社、公益社団法人日本サインデザイン協会(SDA)
