銭湯で生演奏!?落語!?
大阪市住吉区におもしろ銭湯発見!
2016/06/06
最近、銭湯巡りにハマっています!普通とはちょっと違う、おもしろい銭湯はありませんか?
ここ数年、マンガやその映画化で大ヒットした「テルマエ・ロマエ」(ヤマザキマリ著) などの影響からか、“銭湯”に熱いまなざしが注がれています。「おもしろい銭湯が知りたい」というご依頼を受けていろいろと調べてみると・・・カフェが併設されていたり、アートイベントを開催していたりと、各地におもしろい銭湯がたくさんあるようです!そこで、今回は、中でも「いろいろな楽しみ方ができるおもしろい銭湯がある」と評判の大阪市住吉区にある「朝日温泉」さんに向かいました。長い煙突、おなじみの「ゆ」のマーク…見た目は普通の銭湯のようですが?
出迎えてくれたのは、朝日温泉3代目の若旦那・田丸正高さん。笑顔が素敵な田丸さんは、ご両親はもちろん、両家のおじいさんやおばあさん、そのまた上の代から銭湯を経営されていたという、根っからの銭湯家系。小さい頃から銭湯を継ぐのが夢だったという田丸さんに、朝日温泉さんの歴史や「おもしろ銭湯」と言われる理由をお伺いしました!
朝日温泉さんの大きな特徴は、番台ではなくホテルの受付のような“フロントスタイル”。昔はもちろん定番の番台スタイルだったのですが、2007年に今のフロントスタイルに改装しました。その理由は、田丸さん自身が、女湯と男湯の間にある番台に座ることに抵抗を感じていたこと。そして何より、どんどん減っている若い女性のお客さまへの配慮でした。
キレイで広いフロントには、子どもたちのお小遣いで買える駄菓子がズラリ。フロントのショーケースには人気漫画のキャラクターフィギュアが陳列されるなど、子どもたちを大切にする思いも伝わってきます。
実は、受付をフロントスタイルに切り替えた2007年の改修の際、大反対だった先代を何とか説得して「全面改修」を断行したそうです。お風呂場を広くしたり、露天風呂をつくったり、あれやこれやでなんと1億3,500万円もかかってしまったのだとか!
改修を終え、完成した広いフロントを見て、このスペースを何かに使えないか…と考えていたところ、思いついたのが「銭湯ライブ」でした。生演奏が聴ける飲食店のように、銭湯でも本格的なライブが観られないだろうか…。「銭湯に来たお客さまに音楽でさらにリラックスしてもらって、自宅のお風呂では味わえない“非日常”を楽しんでもらいたい。そうすれば、みんなが銭湯をもっと好きになってくれるはず」(田丸さん)。こうして、朝日温泉は、時にはフロント前のロビーで、時にはお風呂の中で音楽が楽しめる「おもしろ銭湯」に生まれ変わりました。
「銭湯ライブ」が開催されるのは年に3~4回。田丸さんイチオシのラテン音楽を中心に、ギターの弾き語りや50’sロック、ブルースなど、ジャンルはさまざま。プロミュージシャンの演奏が楽しめるイベントのほか、「お客さまと一緒につくりあげていく」ことをコンセプトにした若手ミュージシャンばかりを集めたイベントも開催されています。
その他、ライブ以外にも、落語家を招いた寄席や、子どもたち向けには銭湯見学やポンポン船を作ってお風呂で走らせるワークショップなど、さまざまなイベントを企画してきました。また、イベントの際は、田丸さんの人脈で人気のバーや食堂に出張してもらったりと、「少しでも多くの人が銭湯に足を運んでくれるように」という一心で、おもしろそうなことなら何でも取り入れています。そんな朝日温泉さんで開催されるイベントの入場料は、入浴料込みの440円!通常の入浴料が440円なので、つまり、追加料金なしで楽しめるんです。
今後は、7月にお風呂に入りながらの観劇会、そして10月10日の銭湯の日には、住吉区民センター大ホール(500人収容!)で「すみよし湯ズニーランド(仮)」というスペシャルイベントの開催も決定しています。このイベントには地元企業や住吉区も協賛についており、ライブイベントやキッズダンスのほか、銭湯あるあるのネタ披露、手作り石けんのワークショップのほか、シークレット企画もあるそうです。
ちなみに、田丸さんが今熱中しているのは、桶を使った「カーリング」や数字の描かれた板に桶を当てる「桶ストライク」など、「銭湯でできるスポーツ大会」の種目考案。田丸さんの夢はどんどん広がり、留まることを知らないようです。一方、お風呂で危ないことをしたりマナーを守らない子どもに対しては、時にはビシっと指導することも。「いつか、小学校の臨時授業で、お風呂マナーや銭湯の奥深さを伝えたいですね」(田丸さん)。
昨今、田丸さんのような銭湯の経営者さんたちの頑張りや、ここ数年の銭湯ブームとは裏腹に、廃業する銭湯は後を絶たず、銭湯の数は減ってきています。でも、もし、朝日温泉さんのようなHOTで楽しい銭湯がもっと増えたとしたら、そして、末永く銭湯を愛してくれる大人や子どもが増えれば、銭湯文化はまた元気を取り戻せるはず!大阪市住吉区の朝日温泉さんは、そんな銭湯の明るい未来を感じさせてくれる、革新的でおもしろい銭湯でした。