関西国際空港のエスカレーターは
右立ち?左立ち?
2016/01/18

大阪では、他の地域とは違いエスカレーターでは立ち止まる人が右側に並び、歩く人が左側を使うという習慣があります。では、外国人の方もたくさん利用する関空の場合はどうなのか?を調べてください。
みなさまごぞんじ、関西国際空港に到着しました。関西人なら旅行やビジネスで利用したことがある方も多いはず。国内はもちろん、海外の方もたくさん使う西日本最大の空港のエスカレーターは左立ち?右立ち?いったいどちらなのでしょうか。

まずは、国内線・国際線ともに発着する第1ターミナルビルにやってきました。この建物だけでもエスカレーターは14基!

手はじめに、2階の国内線フロアから3階レストランフロアに向かう上りエスカレーターで調査をスタート。エスカレーターの前で5分間、行き交う利用者の立ち位置が「右立ち」「左立ち」のどちらかカウントしてみました。
結果は・・・右立ち15人、左立ち12人、真ん中立ち2人、「右立ち」の勝ちです!ただ、その差はわずかで、駅やビルのエスカレーターのようにハッキリ分かれている様子はありません。

お次は、場所を変えて、別の下りエスカレーターへ移動。このエスカレーターは、国際線出発フロアから下の階へ降りる際に使われます。場所を変えると違いはあるのでしょうか。
同じく、5分間の定点観測。。。こちらは、右立ち10人、左立ち13人、真ん中立ち2人・・・先ほどの結果とは逆転して、「左立ち」の勝ち!ただし、またもやはっきりした差は出ませんでした。場所によって違いはあるのか?それとも国際線フロアだから?まだまだ結論は出せなさそうです。

つづいて、利用者の数が一番多そうな、国際線の到着ロビーから2階への上りエスカレーターへ移動。ここは、海外から到着した利用者が、鉄道の駅に乗り換える際の動線となるエスカレーターです。
結果は・・・右立ち12人、左立ち14人、真ん中立ち9人。左立ちの勝ち!ではあるものの、他よりも真ん中立ちの人が多いですね。このままでは傾向や法則性が掴めそうにないので、思いきって外国人の方にインタビューしてみることにしました。

まずは、イギリスとアメリカからの旅行者で、日本を1週間かけて回るというお二人にインタビュー。英語でのインタビューとなったので、空港でガイドを務める関西エアポートエージェンシーの松本華奈さんにお手伝いいただき、お話をお伺いしました。

このお二人のエスカレーターの立ち位置は右側。その理由は、「前の人にならって立っていた」とのこと。それぞれのお国では、イギリス・アメリカともに右側が主流。ロンドンの地下鉄のエスカレーターでは、Stand on the right.と書かれているそうです。「日本では、地域によってエスカレーターの立つ位置が違うんだけど、どう思う?」と質問すると、イギリスの彼女は「あんまり気にしたことなかったけど、一つの国で場所によって立つ位置が違うなんて、少し変な感じがするわ」とのこと。

つづいて、韓国から来た妹さんと一緒に、京都の伝統的なミュージアムを見に行く予定だという若い男性にお話を伺いました。この方は左立ち。「仁川でもソウルでも、韓国では右側だよ。東京も行ったことあるけど、前の人にならうようにしてる。まあ、そんなに気にしたことはないよ」とのこと。

どうやら、エスカレーターの立つ位置と、国籍・行き先の間には特に関係がなさそうです・・・。海外からの旅行者のみなさんも、「郷に入れば郷に従え」で、その場所ごとで立つ位置を決めている様子。スーツケースを転がす旅行者さんを眺めながら、うーん、このままあいまいな結論になるのかなぁと思っていると・・・スーツケース・・・もしかして!?

このエスカレーターは、国際線で海外から到着する人の利用がほとんど。普段は右側に立つ人も、このときだけは重~いスーツケースを右手で持つために左側に立つのでは(右利きの人の場合)。その結果、特に国際線の到着フロアでは、左立ちや真ん中立ちの比率が高まるのかもしれません。ちょっとだけ、合点がいきました。
そして、調査当日は12月のはじめで、出国ラッシュもまだ。空港の中は比較的のんびりしていて、旅行者は大きな荷物を持っていることが多いせいか、エスカレーターを歩いて昇降している人が見当たりません。歩行の邪魔にならないので、立ち位置がバラバラでも問題ないんですね。
さらに、場所をJR関西空港駅に変えても、スーツケースを持っている人が多いエリアでは左立ち・真ん中立ちの比率が高いという傾向は同じでした。

というわけで、今回の調査結果をまとめてみました!
・関空は大阪なので、もともと右立ちの人が多い
・でも、重いスーツケースを持つ人が多いエリアでは、右手でスーツケースを持つ人も多い
・そして、重い荷物を持っているのでエスカレーターを歩いて昇降する人も少ない
・その結果、そういったエリアでは、右だけでなく左・真ん中に立ち位置が分散しがち

今回の調査を通して、日本人だけでなく海外の方も、”Going my way!”ではなく状況に応じて柔軟に行動していることが分かりました。私たちも、海外に行く際には現地の慣習やルールに積極的に触れてみたり、その成り立ちを調べてみると面白いかもしれませんね。
ガイドの松本さん、今日は調査のお手伝いをありがとうございました!
※当記事は、エスカレーターでの歩行を推奨するものではありません。エスカレーターは安全にご利用ください。
