Vol. 07
1952年に創業。街の彩りを取り戻してきた戦後の神戸で、モダンなスタイルが人気となりお客さまに親しまれてきた喫茶・洋菓子店『G線』。創業当時からお店に通う常連客も多く、今では親子3代揃って訪れるお客さまの姿も。今回は数あるメニューのなかでも大人気の「職人手焼きワッフル」のお話を中心に、代表取締役社長の梅崎明彦さんにお話をうかがいました。
代表取締役社長梅崎 明彦(うめさき・あきひこ)
G線
1952年創業、神戸の喫茶・洋菓子店。変わらぬ味を守り続ける焼き菓子の数々は、そのおいしさはもちろん、グラフィックデザイナーの早川良雄氏の手によるパッケージデザインなども人気で、神戸土産として愛されている。
創業は1952年。今の店舗は新神戸にありますが、もともとは三宮センター街にあったんです。当時のセンター街は今のようなきらびやかな雰囲気はなく、店先に商品が並ぶ昔ながらの商店街だったようですが、そこにクッキーやワッフルなどを出すちょっとおしゃれな喫茶・洋菓子店として出店したのがG線のはじまりです。店舗設計から家具・食器の選択、パッケージデザインにいたるまでを、日本を代表するグラフィックデザイナーの早川良雄氏に頼むなど、神戸ならではのモダンな文化を提唱していこうという狙いがあったみたいですね。ちなみにG線という店名も早川さんの命名なんですが、G線というのはバイオリンの一番太い弦のことで、「太く、強く、切れずに長くやっていこう」という意味が込められていると聞いています。
創業当時のG線は財界人や名士の方々の人気を集めていたそうです。そういう方たちはすでに本場の洋菓子を召し上がっていて、親しんでいた味だったのかもしれません。当時まだ珍しかったであろう洋菓子をつくることができた理由は、創業者がドイツ語を嗜んでいて、ドイツの方とも交流があり本場のレシピを取り寄せることができたから。そのレシピをもとに、試行錯誤しながら日本人に合うように改良を重ねて完成したものが、ワッフルをはじめ今も受け継がれるG線の味になっています。その味を好んで来店される常連のお客さまも多く、「ご期待を裏切らないようにこの味を守り続けなければ」と強く感じています。まあ、私自身が「この味を食べ続けたい」というのもあるんですけど(笑)。
材料も基本的に同じものを使っています。特にバターにはこだわりが強く、大山高原産のバターを使っていますが「これがないと同じ風味は出せない」という一品です。季節や乳牛の食べる草が違うだけで、ワッフルの風味が変わってくる繊細な味が特徴的なんです。もちろん卵や小麦もこだわって選んだ国産のものを使用しています。一度、バイヤーに輸入小麦を薦められたことがありますが、試しにつくってみると小麦の香りが全然変わってしまったので、採用はしませんでした。また、お年寄りの方からお子さままで、安心して食べられるものを提供するためにも、私自身、素材にはこだわり続けています。
機械生産にしたほうが生産量も増え、均一な仕上がりになるメリットがありますが、そうすると機械に合わせて生地を変える必要が出てくるため、伝統的なG線の味とまったく違うものになってしまいます。特にワッフルはつくり方も材料もシンプルなだけに、作業工程が味に及ぼす影響も大きいんです。なので、このワッフルの味を保つためには、機械では出せない職人の技術が必要不可欠なんです。G線には毎日2,000枚以上ものワッフルを何十年も焼き続けてきたベテランの職人がいて、いつでも変わることなく提供し続ける味を、G線のお客さまは「これこれ!」といいながら喜んで食べてくれています。
ワッフルというとベルギーやアメリカの、パンケーキのようなやわらかい食感のものを思い浮かべる方が多いと思います。でも、G線でお出ししているのはそれとは別もののハードワッフルです。ハードといっても硬くはなく、サクサクっと軽快な噛みごたえで、口の中でホロっとほどけるような食感ですね。さらに食べ進めていくと小麦やバターのいい香りが鼻に抜けていくんです。これがお客さまに長年愛されているG線ならではの味。本当にシンプルで素朴な味ですけど、それだけに「何枚でも食べたくなる」とおっしゃる方が多いです。生クリームが苦手などの理由で「他店のワッフルは食べられないけど、G線のワッフルは大好き」といってくださる方もいて、とてもうれしいですね。G線という名前を出して提供する以上、この味は守り続けなければいけないと思っています。
はい、70年以上愛され続けている味をご自宅にお届けします。創業当時から唯一変えたのはパッケージの方法です。昔はそのまま紙筒に入れてお渡ししていたんですが、今は1枚1枚個包装して、いつでも焼き立てのおいしさを味わっていただけるように進化しています。ぜひ、この機会にその味を楽しんでいただければと思います。今回の「職人手焼きワッフルとサブレのセット」に入っているサブレも、ワッフルと並ぶG線の人気商品です。味はバター、ココア、ココナッツ、黒ごまココアの4種類。それぞれ風見鶏、イカリ、異人館、船と、神戸の風景がモチーフになっていて、神戸土産としても喜ばれています。お渡し時の包装紙は、創業当時から変わらない早川良雄デザインのもの。このデザインも人気で、常連のお客さまから「絶対に変えないでほしい」と強くいわれているんです(笑)。
当社商品にご興味をお持ちいただきありがとうございます。G線は1952年の創業以来、変わらぬ味をベースに、神戸らしい商品づくりに日々精進しております。今回出品しております「職人手焼きワッフルとサブレのセット」は、数ある商品のなかでも長きにわたりお客さまに愛されている人気商品です。素材そのものの風味をいかした素朴な味で、幅広い年齢層のお客さまからおいしいとご好評をいただいております。はじめて食べる方もどこか懐かしく感じるこの味を、ぜひご家庭でも召し上がっていただければ光栄です。