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廃棄ビールが役に立つ。窓ガラスに貼るだけで室温を快適に保つ断熱シート

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廃棄ビールが役に立つ。窓ガラスに貼るだけで室温を快適に保つ断熱シート

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米コロラド大学ボルダー校の研究チームが、室温を快適に保つ透明なシートを開発した。廃棄されるビールを利用したものだ。

資源エネルギー庁の「エネルギー白書」によると、家庭のエネルギー消費の約29%を冷暖房が占めているという。長時間の冷暖房使用が必要になる理由の1つは、多くの窓ガラスの断熱性が低いことだ。

今回開発された室温を快適に保つシートは、これを大きく改善する。このシートは、ほとんどガスでできたエアロゲルの薄膜で、空気を閉じ込める数十億の小さい穴を持った素材を交差して作られた。これにより、部屋を夏は涼しく、冬は暖かく保つことができる。

このシートを作るのに欠かせないのがビールだ。エアロゲルをさらに透明にするために砂糖のセルロースを使おうと考えた研究チームは、未使用の麦汁、もしくはビールの醸造中に出た廃液にバクテリアを加えると、セルロースが作られることに着目した。近郊のビール醸造所を回って廃棄予定のビールを集めたという。

博士課程学生のアンドリュー・ヘス氏は「われわれは貴重な材料を再利用して廃棄を減らすだけでなく、原料を安く生産する」と語っている。

このエアロゲルはガラスより100倍軽くて遮熱性に優れているが、窓ガラスそのものを作るには高価すぎると、ヘス氏は考える。同氏は「窓ガラスにこのシートを貼ることで、窓から熱が逃げるのを防いでくれる。このシートがホームセンターなどで販売され、裏のシールを剥がして貼るシートとして使用されたらいいと思っている」と語る。

NASAもこのシートに着目した。2018年夏、NASA主催の人類の宇宙への旅に役立つ技術を探求する「2018 iTech competition」で研究チームは賞を受賞している。また、エアロゲルの生産速度を改善するため、窓ガラス製造会社との共同研究を開始したという。

ヘス氏は、「このエアロゲルは、車の断熱や消防活動など、さまざまな場面で使用できる。とても暖かい洋服も作れるだろう。これは想像が膨らむよ。南極に行ってペンギンと一緒に遊んだり、氷の上で肌を焼いたりもできる」と語っている。

コロラド大学ボルダー校の研究チームが開発した、廃棄ビールからつくる透明シート。自宅の窓ガラスという私たちの身近な物から宇宙船まで適用可能ということで、今後の研究が期待される。研究者たちの努力が、私たちの生活をもっとエコに、楽しく、豊かにしてくれる。

Text by クリューガー量子

参照元: CU Boulder Today/経済産業省資源エネルギー庁 /From beer to windows, University of Colorado Boulder    画像提供: University of Colorado Boulder   

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