
スリランカ民主社会主義共和国
インドの南に位置する島国、スリランカ。その中心にあるキャンディ市は、街全体が世界遺産に登録されており、ヨーロッパ風のロマンティックな景観が特徴です。キャンディ市の人気観光スポットのひとつ「仏歯寺(ぶっしじ)」には、仏教の開祖・ブッダの歯がまつられているとあって、毎年多くの観光客が訪れています。
- 今回の旅のパートナー
2005年に来日。「愛・地球博(愛知万博)」内のスリランカパビリオンのシェフとして、自国の名物料理を提供していました。その後、関西のレストランに長年勤務し、現在はスリランカ料理店「ラッキーガーデン」のチーフシェフとして自慢の腕をふるっています。そんなクマールさんと一緒に、スリランカの朝食をカンナ(召し上がれ)♪
「森のレストラン ラッキーガーデン」のホームページはこちら
スリランカの皆さんは、どんな朝ごはんを食べるのですか?
ハーブをたっぷり入れたおかゆ「コラキャンダ」をよく食べますよ。
わが家のコラキャンダづくりは、朝摘みの新鮮なハーブを使うために、庭に生えているハーブを両手いっぱい摘んでくるところからはじまります。摘んできたハーブを水に浸しておいて、その間に白がゆを炊きます。おかゆが煮えてきたら、すりつぶしたハーブのしぼり汁とすりおろしたニンニクを、ココナッツミルクと一緒におかゆの鍋に入れて、さらに煮込みます。煮込むうちに、ハーブのきれいな緑に色づいたトロトロのおかゆができあがり、家中にいい香りが立ち込めるんです。
コラキャンダと一緒に、「ハクル」というお菓子もよく食べますよ。ハクルは、ヤシの木からとれる蜜を煮詰めて固形にしたもので、日本の黒糖のような味がします。ちょっとした口直しや食後のデザートとして出てくることが多いですね。

コラキャンダに、ヤシの蜜を固めたお菓子「ハクル」を添えたスリランカの朝ごはん
コラキャンダは、どんな味がするのでしょうか?
はじめてコラキャンダを見る日本の皆さんは、濃い緑色に苦そうなイメージを持つかもしれませんが、ココナッツミルクで煮込んでいるので、ほんのり甘いんです。摘みたての新鮮なハーブをたっぷり入れるので、甘さのなかに少しだけ爽やかさを感じるのが特徴ですね。温かいコラキャンダを食べると、おなかの中からポカポカしてきて元気に一日をスタートできますよ。

コラキャンダには、新鮮なハーブが欠かせません
朝からポカポカすると、体にもよさそうですね。
はい。コラキャンダは、体を温めるだけでなく、体調をすっきり整えてくれる効果もあります。日本の七草がゆの原型ともいわれているそうですよ。コラキャンダと一緒に発酵茶である紅茶を飲むことも多いんです。紅茶のすっきりした味わいがコラキャンダによく合いますよ。
スリランカの人々の生活には「アーユルヴェーダ」が根づいています。アーユルヴェーダとは、東洋医学に基づいた伝統医療のことで、日本の言葉でいうと「医食同源」が近いでしょうか。
風邪ぎみの朝には、紅茶に体を温めるショウガを入れて飲んだり、疲れがたまっているときには、コラキャンダに入れるハーブを多めにしたりして、食による健やかな毎日を意識しています。

体がポカポカするショウガ入りの紅茶
コラキャンダにまつわる思い出を聞かせてください!
そうですね、スリランカの学校では、生徒の母や姉たちが学校に集まってコラキャンダをつくってくれる日があるんです。その日がとっても楽しみで、前日になると兄弟みんなではしゃいでいましたね。コラキャンダづくりが大得意な私の母も張り切って大きな鍋を準備していました。学校でワイワイいいながら、大勢でコラキャンダを食べるのはとても楽しかったです。
あと、私の実家では、週末に家族みんなが集まってコラキャンダを食べることが多かったです。大好きな家族と食べるコラキャンダは格別で、週末の朝がとても待ち遠しかったです!

スリランカの母親たちは、コラキャンダづくりが大得意!