
チベット自治区
標高約4,000mの雄大なチベット高原や、世界最高峰のエベレストなどの美しい自然に囲まれた地域。富士山とほぼ同じ標高にある区都ラサは「天空の都」と呼ばれ、ダライ・ラマの宮殿であった「ポタラ宮」など多くの建築物が世界遺産に指定されています。
- 今回の旅のパートナー
チベット人の母とネパール人の父のもと、幼いころから両方の食文化に親しんでいるマダンさん。先に日本でレストランを経営していた父のもとに4年前来日し、料理の腕を磨いています。今回はそんなマダンさんとともに、チベットの朝食をリシオス(召し上がれ)♪
チベットの皆さんはどんな朝ごはんを食べるのですか?
「チョウメン」という麺料理を食べることが多いです。うどんのようなもっちりした太めの麺と、豚肉やキャベツ、人参、ピーマンなどの野菜を炒めた料理で、日本の焼きうどんに似ていると思います。味つけは、しょうゆと酢、塩で下味をつけ、ニンニクや生姜、唐辛子のスパイスで辛さをプラスします。朝に食べると、シャッキリ目が覚めるんですよ。チョウメンにチキンスープを足した「トゥクパ」というアレンジ料理もあって、寒い朝によく食べていますね。
また、チベットでの食事に欠かせないのが「バター茶」。濃いめの紅茶にバターと塩、ミルクを入れて濃厚な味わいが楽しめます。栄養価が高いため、気温が低いチベットではポピュラーな飲み物なんですよ。体が温まるので、寒い日の朝は必ず飲みますね。日本では牛乳ですが、チベットではヤクという動物の乳からつくったバターとミルクを使いますね。

標高4,000m以上の草原に生息するウシ科の動物「ヤク」
他にはどんな朝ごはんを食べますか?
同じ麺料理の「テントゥック」も食べますね。すいとんのような太い麺を入れてつくります。具材は、トマトやほうれん草、チンゲンサイで、野菜がたっぷりとれるとてもヘルシーな料理。ニンニクと生姜を多めに入れるので、食べている最中から汗が噴き出すほど体が温まるんですよ。テントゥックの麺はあまり売っていないので手づくりしています。それぞれの家庭で麺の固さや形に違いがありますね。寒い朝はもちろんのこと、体の冷えが気になる人にも、ぜひ味わってほしいですね!

野菜がたっぷり入ったテントゥック
麺まで手づくりしているなんてすごいですね!
料理に使う野菜も、自宅の畑で育てている家庭が多いんですよ!私の家の畑ではほうれん草やインゲン、じゃがいもや唐辛子を育てていましたね。とれたての野菜はみずみずしくて味が濃く、とてもおいしいんです。我が家はかまどで、薪も自分たちで取ってきて調理していました。朝早くから手間をかけてつくったテントゥックはとってもおいしくて、家族全員が大好きなメニューなんです。日本に来てからも、変わらず食べているチベット料理の一つですね。

かまどの直火で調理する様子