世界の省エネ

2月

街ぐるみで推進 自転車利用でCO2削減

  • デンマーク

街ぐるみで推進 自転車利用でCO2削減

昨年完成した高架自転車専用道「Cykelslangen」
(写真提供 ”DISSING+WEITLING architecture”)

世界一の自転車都市をめざす、コペンハーゲン

デンマークの首都、コペンハーゲンの朝は、自転車であふれます。自転車道路をかなりのスピードで走るビジネスマン、子供をカートに載せてマイペースで走るお母さん。通学の子供たち。2人に1人*は自転車を通勤、通学の足として使い、交通手段として生活の中で浸透しています。

それもそのはず、ここコペンハーゲンは「世界一の自転車都市になる」ことを目指し、「2015年までに自転車で通勤、通学する人の割合を50%にする」という目標をかかげ、すでにその目標をクリアしています。自転車利用は、車の渋滞緩和やCO2削減という意味でも大きな効用があるからです。

日本においても、家庭でのCO2排出量は、車によるものが全体の2割を超える**というデータもあるように、自転車に乗り、車利用を減らすことは、ガソリン使用を減らすため、大きな省エネ&節約につながるのです。

デンマークは、CO2を削減しながら経済成長も実現し、風力などを活用した再生可能エネルギー導入を着実に伸ばしている環境先進国。CO2削減を確実なものにするために、自転車インフラ整備にも国を挙げて力を入れています。

道路は自転車で信号待ちをする人でいっぱいに。

道路は自転車で信号待ちをする人でいっぱいに。

世界初のCO2ニュートラルな首都を目指す一環として整備 (写真提供 ”DISSING+WEITLING architecture”)

世界初のCO2ニュートラルな首都を目指す一環として整備
(写真提供 ”DISSING+WEITLING architecture”)

市内には自転車ハイウェイも登場

たとえばコペンハーゲン市内には、一般の道路にも必ずといっていいほど自転車専用レーンがあります。色分けされたり、自動車路面と段差をつけたり、専用のサインがあって誰もが間違わずに使えるようにデザインされています。そして、2014年6月には、まるで東京の首都高のようにビルの合間を走り抜ける高架自転車専用道(Cykelslangen)が完成しました。これだと信号待ちをせずに、ノンストップで走れます。

市内には全長約350kmの自転車専用道路がはりめぐらされ、今後は市外から市内に向かう専用道路なども整備が予定されています。

交差点には自動車用と歩行者用に加え自転車用の3つの信号を見かけることがあります。よく見ていると自転車用は自動車用より先に信号が変わり、優先されます。これによって交差点での巻き込み事故を防止しているのです。さらに朝の時間帯は、市内中心部は自転車道の信号待ちをなくすように計画。これにより時速20kmを超える平均時速で走れるようになり、利用者に好評を博しています。また冬は零下にもなり、積雪もあるコペンハーゲン。日本の大都市に比べても気候的には決していい条件ではありませんが、それでも自転車利用をする人がいます。そのため、雪が降れば真っ先に、車道よりまず自転車レーンから除雪されます。ハード面だけでなく制度面の整備もきめ細かく行われていることが市民の自転車利用を支えているのです。

自転車を入れやすいバリアフリーの自転車専用車両

自転車を入れやすいバリアフリーの自転車専用車両

自転車と公共交通のリンケージもスムーズ

デンマークでは、鉄道や地下鉄のホームに、自転車を持ち込む利用者を見かけることが多々あります。

この国では鉄道に自転車専用の車両があり、地下鉄にもラッシュ時以外は車両内に乗せられるので、日本のように自転車をわざわざ分解してかかえて乗る必要もなく、スムーズに自転車を伴った長距離旅行ができます。EUでは、スウェーデンやドイツなど、鉄道に自転車を載せられる国も多く、自転車で欧州を旅する人が多いのもうなずけます。

郊外でも、自転車に乗って最上階まで行ける設計になっている人気のデザイナーズマンションを見かけました。このマンションでは、ドアを出て、自転車に乗って下に降りて鉄道の駅までいき、鉄道の車両に自転車を載せて最寄りの駅まで行き、そこからオフィスや学校まで自転車に乗るといったように、障害がなくスムーズな自転車移動が可能です。コペンハーゲンでは、生活全体が自転車利用を前提にデザインされているのがわかります。

日本では交通政策や渋滞解消と言うと、真っ先に道路整備があげられますが、環境先進国デンマークではなるべく車を使わないようにする政策、そして自転車を誰もが優しく使える政策が主流なのです。

健康にもダイエットにも良く、時間短縮になり、CO2削減にもなる自転車利用。意識をして私たちの暮らしにも、もっと積極的に取り入れていきたいものです。

* デンマーク政府広報(2015.1月)
**「家庭からの二酸化炭素排出量(2012年世帯当たり、用途別)」温室効果ガスインベントリオフィス

Word&Photo:yayoi minowa