マイ大阪ガスは、2021年3月にポイント制度などのリニューアルを行いました。この記事はリニューアル前のもののため、ポイント関連の記述を含め、記述内容が古い場合がございます。あらかじめご了承ください。

マイマイ姉妹のようこそ!エネルギー偉人館

偉人File - No.9ジョン・フレミング

電気制御の進歩に大きく貢献!
フレミングが発明した「二極真空管」

プロフィール

  • 1849年

    イングランド・ランカスターに生まれる

  • 1877年

    ケンブリッジ大学で理論物理学者マクスウェルの実験助手に

  • 1881年

    ロンドン・エジソン電灯会社の技術顧問に就任

  • 1900年

    マルコーニ無線電信会社の技術顧問に就任

  • 1904年

    二極真空管を発明

  • 1945年

    新技術の支持者として活躍し続けたのち、デヴォン州シドマスの自宅で死去

偉人エピソード

あの有名な「右手・左手の法則」だけでなく
電気制御の仕組みもフレミングがつくった!?

幼いころから技師になることを夢見ていたジョン・フレミング。わずか11歳で自分の工房を持ち、エンジンつきの船の模型やカメラをつくることに励んでいたと言われています。好奇心も学習意欲も旺盛なフレミングは、ロンドン大学とケンブリッジ大学へ進学。ケンブリッジ大学では、電磁気学の草分け的存在である理論物理学者のマクスウェルに師事しました。同時に実験助手の仕事をこなしながら、電気技術者、物理学者として成長し、母校であるロンドン大学で電気工学の教授に就任しました。このときフレミングは大学で講義をする際に、なるべくわかりやすい授業を心がけるようにしました。その中で生まれたのが、あの有名な「フレミングの右手の法則・左手の法則」です。右手の法則は、電磁誘導の方向を、中指(電流)・人差し指(磁界)・親指(コイルの移動方向)でわかりやすく示したもの。左手の法則は、コイルに電流を流したときに生ずる電磁力の向きを、中指(電流)・人差し指(磁力線)・親指(電磁力)でわかりやすく示したものです。モーターや発電機が動作する仕組みを簡単に覚えられるこのアイデアは、すぐに世界中に広まり、現在でも教育現場などで活用されています。

フレミングは大学関連の仕事に携わるかたわら、いくつかの企業で技術顧問も務めていました。そのひとつが、白熱電球を発明したエジソンの会社です。フレミングが在籍していた当時、エジソンは白熱電球の改良に取り組む過程で「エジソン効果(熱電子効果)」と呼ばれる現象を発見しています。これは真空に近い白熱電球内に正電位(プラス)の電極を持つ金属板を入れると、フィラメントと金属板の間に電気が流れ、金属板を負電位(マイナス)にしたときには、電気が流れないという現象のことです。エジソンはこれを発見したもののあまり関心がなかったのか、それ以上研究を進めることはありませんでした。しかし、エジソンから実験球を譲り受けたフレミングはこれを使って、エジソン効果に関する研究を継続。これが後の「真空管の発明」につながり、さらには電気の力で機械や設備を安全に動かす「電気制御」という大きな成果に結びつくのでした。

エジソン効果についての研究は、しばらく思うような進展もなく一時は中断していたこともありましたが、無線電信を取り扱う会社の技術顧問に就任したことをきっかけに、フレミングは研究を再開させました。そのころの無線受信機には「コヒーラ検波器」が利用されていたのですが、動作がとても不安定。解決には、安定してプラスの電気だけを流せる仕組みが必要でした。そこでフレミングは、電気を一方通行で流すエジソン効果を応用することを思いついたのです。その結果、フレミングは電気の流れを整流して安定的に電波を検出できる「二極真空管」の発明に成功しました。エジソン効果が発見されて、実に21年後のことでした。
また、電気の流れを整流して安定的に電波を検出できるという二極真空管の機能は、電気製品を正常に動かし暴走する危険を回避する「電気制御」の仕組みに取り入れられ、二極真空管を利用した精度の高い検波ができるようになったのです。その後も多くの研究者の手で真空管は進化を遂げ、電話やラジオ、レーダー機器や発電機、テレビといった電気製品には欠かせないものとなりました。現在は真空管ではなく半導体が主流となって、より複雑な制御が可能となっていますが、フレミングが生んだ「電気制御」の仕組みが、わたしたちの暮らしを支え続けています。

フレミングのアイデア(右手の法則と左手の法則)と二極真空管

参考書籍:電波新聞社 真空管もの知り百科(著者:片岡 基)、学事出版 子どもを理科好きにする科学偉人伝60話(監修:菅谷正美 編著:山口 晃弘)、日刊工業新聞社 エレクトロニクスを中心とした年代別科学技術史 第3版(著者:城阪俊吉)

わたしたちの身近なエネルギー

真空管の進化は電気製品の進化!

「電気制御の祖」とも言えるフレミング。彼が二極真空管を発明した後には、多くの研究者の手によって三極真空管、四極真空管……と飛躍的な発展を遂げ、人々の暮らしをどんどん便利にしました。そしてテレビやラジオ、アンプなど、つい最近まで私たちの身の回りで暮らしを支えていたのです。