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若い世代が都市部に出ていき、農村地域の高齢化が進む日本では、農業をする人が大きく減少している。

農林水産省によると、2019年の販売農家数は113万100戸で、1999年と比べて54%減少(※1)。また、1985年の農業従事者数は346万人だったが、2020年には136万人にまで減少している(※2)。

※販売農家とは、経営耕地(販売することが目的で作付けする田畑)の面積が30a以上または農産物販売金額が50万円以上の農家のこと。

私たちの健やかな体づくりに欠かせないのが、日々の食料だ。都市で生活する消費者も、農業に触れる機会を増やすには、どうすればいいだろうか。

スペインのカタルーニャ先進建築大学院大学の学生たちは、2021年夏、都会のビルの屋上に設置できるグリーンハウスこと「Solar Greenhouse」のプロトタイプを完成させた。

学生らは、バルセロナにあるクルサロラという森に11ヶ月間滞在し、現地での木材調達に取り組んだ。使用した木は、アレッポマツと呼ばれる、地中海地方に自生するマツの1種だ。

Solar Greenhouseの下の階では苗を育て、上の階では水耕栽培がおこなわれる。LEDテープライトを使ってブラックライトを当てることで、植物の成長を促進させる。

建物の屋根は一面だけで傾斜しており、ガラスが使われている。こうすることで、屋根に設置したソーラーパネルや育てている植物が、太陽光を取り込みやすくなるそうだ。

建物の外壁にもガラスが使われており、ブラインドのように隙間をあけた構造にすることで、換気をよくしている。植物の栽培には、土の代わりにおがくずを使用。木材を加工したときに出たものを再利用しているという。

栽培に必要な水やおがくず、建築材料を現地で調達しているSolar Greenhouseのコンセプトは「地産地消」。同大学によると、プロトタイプは都市部だけでなく、難民キャンプや危機的状況にある地域にも展開できるそうだ。食料不足やエネルギー不足に陥った際に、活躍することが期待されている。

グリーンハウスと聞くと、ビニール製のものを想像する人が多いかもしれないが、このように木でできたグリーンハウスも、目新しくてよいのではないだろうか。

Text by 木村つぐみ