- 今回の旅のパートナー
- チャイ専門店「Akash Cafe」オーナー
シャドマン・チョードリーさん - 高校卒業後に初来日。交換留学プログラムで大阪の大学に通い、卒業後は日本でデザイン会社に就職。2019年、「故郷の味を日本に伝えたい」とチャイ専門店をオープンしました。おいしいチャイづくりに日々没頭するシャドマンさんと一緒に、バングラデシュの朝食をカフカ(召し上がれ)♪
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バングラデシュの皆さんは、朝にどんなものを食べるんですか?
アツアツの野菜炒め「サブジ」と、「チャパティ」という薄焼きのパンを食べます。
サブジは、その日家にある2~3種類の野菜を選んで、大きなフライパンで豪快に炒めます。バングラデシュでポピュラーな野菜である、玉ねぎやオクラ、ジャガイモ、そら豆などが定番ですね。ほかにも、時季によってナスやカリフラワーなどをチョイスすることもありますよ。味つけは塩コショウとニンニク、そして唐辛子です。アツアツでピリ辛のサブジを食べると、寝不足の朝でもシャキッと目が覚めますね。サブジにはお肉を入れることもあって、私は羊肉を入れたサブジが大好きです。羊肉はホロホロとやわらかい食感で、野菜とよく合うんですよ。
サブジと一緒に食べるのはチャパティという平たいパンです。日本でも、カレー屋さんなどで見かけることがあるのではないでしょうか。バングラデシュでは、チャパティを各家庭で手づくりしているんです。小麦粉に水と塩を混ぜてこね、丸く伸ばしてフライパンで焼きます。強火で焼くと焦げ目がついて、パリッと香ばしくなるんです。チャパティは多めにつくって冷凍しておき、朝にトースターで温めて食べます。
私が子どものころは家族全員でチャパティをつくっていました。1日で一気に100枚くらいつくり置きするんですよ。兄弟たちと一緒に手を粉だらけにしながら、ワイワイにぎやかにチャパティをつくっていたのが懐かしいです。
ちょっぴり辛めのサブジと、素朴な味のチャパティは相性抜群。朝からおなかいっぱい食べていましたね。
家族でチャパティづくり、楽しそうですね!バングラデシュの皆さんは、大勢で食事をすることが多いのですか?
はい。バングラデシュに住んでいたころは、週末に親戚や友だちが開催するホームパーティーによく参加していました。パーティーには必ず手土産としてお菓子と手づくりのチャイを持っていくんです。バングラデシュでは「手土産にするお菓子は甘くて色鮮やかなもの」という風習があって、それらをテーブルに広げてみんなで食べます。
手土産の定番といえば、揚げ菓子の「ジャレビ」ですね!うずまき型が特徴のお菓子なんですよ。小麦粉と水を混ぜた生地を、熱した油に円を描くように絞って揚げてから、シロップ漬けにします。ひとくち噛むとシロップの甘さがジュワ~ッと口の中に広がります。バングラデシュではとても人気のあるお菓子で、ジャレビ専門の屋台もありますよ。お店の人が、油の中へ生地をうずまき型に絞り出すのは、見ていてとてもおもしろいです。
不思議な形のお菓子ですね!ジャレビのほかにも、パーティーで人気のメニューはありますか?
パーティーではいろいろな料理が並びますが、その中でも一番人気は「ビリヤニ」ですね。ビリヤニは、伝統的な混ぜごはんでお米とお肉、野菜を炒めてつくるのが一般的です。見た目はチャーハンと似ていますが、マスタードの種子から抽出した「マスタードオイル」という油で炒めているのでちょっぴり辛いです。仕上げにシナモンやブラックペッパーをふりかけるので、とても風味豊かなんです。食欲をそそるいい香りに誘われて、みんながおかわりするんですよ。パーティーでは一番最初にお皿が空になっていましたね。
私は友だちがつくってくれる家庭的なビリヤニが好きですが、お店で食べるのもおすすめです。実はビリヤニは、お店によって使っている食材や味が全然違うんですよ。牛肉を使っているお店もあれば羊肉が評判のお店もあり、海の近くには新鮮な魚介類を使ったビリヤニが食べられるお店もあります。スパイスも、クミンやコリアンダー、ターメリックなどお店によってさまざまなものを使っていて、味のバリエーションがとても豊富なんです。
組み合わせが多彩で、ひとつとして同じビリヤニはありません。私もバングラデシュに帰るたびにいろんなお店に行って、味の違いを楽しんでいます。食べるのも好きですが、つくるのも好きで、いつかビリヤニ専門店を開くのが夢なんです!